バレた!
紫藤君から何とか逃げ出した翌日、なんだか嫌な予感がする。
…うん、なんでだろうね。
目が覚めて1番に感じるのが嫌な予感とはいったいどうゆうことだろうか。
イベントがなければ休むのに…。
そう、今日はイベントがあるのだ。
例の紫藤君のやつである。
今回は廊下でたまたま会う感じなので、こっそりついて行かなければいけない。
人目が多いから美月になるのはなし。
てゆうか、昨日紫藤君に美月の姿を見られてしまっているから絶対に出来ない。
カメラは置いてきてしまったから今日は設置できない。
今回はポッケに盗聴器だけいれていく予定である。
「ふあぁ、準備しよ。」
どうやって桜ちゃんのあとをつけようか考えながら仕度を進めた。
今日も朝から琉理ちゃんに抱きつかれた。
だんだんスキンシップが過剰になっている気がする。
そしてまた藍野先生の空気の読めない行動によって視線の針がさらに痛くなった授業を2つほど乗り越える。
ふぅ、やっとイベントかな?
桜ちゃんが席をたった。
こっそりあとを付けるぐらいしか方法がないため桜ちゃんに気づかれないようにそっと動いた。
姿も地味子のままだし、ここに来てまさかのアナログとゆうかなんとゆうか。
まぁそのうち紫藤君とぶつかるだろうから、それまでは付かず離れずついて行けばいい。
あっ!紫藤君いた!
さらに隠れながら、でもさっきよりも近づいて桜ちゃんのあとをつける。
もう立派なストーカーだ。
「きゃっ」
「あ、すいません。」
再会イベント登場!
お互い予期せぬ再会に桜ちゃんは驚いて、紫藤君は驚いたけど嬉しくて、つい仲良く話してしまうのだ。
当然人目のある廊下だから噂になる。
このイベントでストーリーが大きく進み始めるかなり重要なイベントだ。
ま、今は可愛い2人を見て癒されるくらいしかやることないけど。
「えっと、昨日ぶり。」
「うん、昨日ぶり。紫藤君同学年だったんだ。」
「え、気づいてなかったのか?普通リボンみたらわかるだろ。」
「く、クーちゃんに夢中だったのよ!てゆーか、そんなの気にしなきゃ気づかないわよ!」
「お前がドジなだけだと思うけどな。」
「なによーう!クーちゃん大好きな癖に!」
「ば、バカ!ここで言うなよ!」
はぁー。
可愛いわぁー。
真っ赤になって言い合いとかほんとに眼福だよ。
「も、もうこの話はよそうぜ。」
「う、うん。そうだね。」
むぅ、終わりかー。
まぁただの休み時間だしなぁ。
「あ、そうだ!一つお願いがあるんだけど。」
「ん?なんだ?」
おっとぉ、嫌な予感だ。
「私と生徒会長のみんなと、あと神月さんで、探してる子がいるの。手伝ってくれない?」
桜ちゃん!
もうやめておくれ!
これ以上敵を増やさないでー!
「別にいいけど、とりあえず神月って誰だ?」
「同じクラスの子で…っていた!」
うわっ!
見つかった!
桜ちゃん、目、良すぎない?
だいぶ隠れてたのに!
「神月さん、来て。また協力してくれる人が増えたの!」
「え、ちょっ!」
あっという間に引っ張り出される。
どんな力してるんですか桜ちゃん。
今バッチリ紫藤君に見られてる。
だ、大丈夫!地味子のかっこしてるし!
「この子が神月さんだよ。神月さん、彼は紫藤君。
猫好き仲間の協力者なんだ!」
「は、はぁ、そうですか。よろしくお願いします。」
「だから桜さん、それ言うなって。それに、神月さん、知ってるよね?」
「なにがですか?質問の意味がわかりません。」
バレてないよね?!
知ってるってどうゆうことかな?!
私分かんなーい!
「ふーん。ま、今はいいや。で、探してる子の特徴とかないの?ないとさすがに見つけるとか無理だけど。」
「あ、そうだね!あの子はね、可愛くて運動神経が良いんだ!いっつも逃げられちゃうの。」
「へぇー、逃げるのが上手いねぇ。桜さん、見た目の特徴ないの?そんなんじゃ見つけられないよ。」
きゃーやばい。
めっちゃ逃げたい。
「えっとね、髪が長くてポニーテールをよくしてるよ。あと、一年生のはず、リボン赤かったから。あとはー、優しそうなのに小悪魔感のある見た目だったよ。あと普段は違う姿をしてるみたいなの。」
やばーい。
桜ちゃん達が持ってる情報を完璧に知れたのはいいけど、紫藤君がめっちゃこっち見てるー。
な、なんでー?
「なるほどねー。俺その子知ってるかも。」
「ほんとに?!」
「うん、だって桜さんの隣りに?!」
わぁぁあ!
つい紫藤君のネクタイをつかんでしまった!
こうなったら仕方ない!
「桃井さん、彼と話さなければならないことがあるので、連れていかせてもらいます。」
「え、知り合いだったの?」
「まぁ、そのようなものです。桃井さんはそろそろ教室に戻られた方がいいかと。藍野先生に遅れるとだけ伝えといてください。」
きっとそのうちLINEで確認が来るだろうから、そしたら事情を説明すればいいや。
「うん、わかった。じゃ、またね。」
よし、こうなったら仕方ない。
近くの二人で話せる場所は…屋上かな。
力で勝てないことはわかり切っているからネクタイを引っ張って連れていく。
「う、あ、ちょっ、ま、おい!」
とりあえず無視で。
屋上に着いた。
ネクタイを離す。
「ゲホッ、まじで痛い。」
「それはごめん。でも力じゃ勝てないし。」
「お前、それが素かよ。」
「まぁね。」
紫藤君にはどうやら完璧にバレてしまっているようなので取り繕ったりはしない。
ここは彼にも協力を頼むしかない。
「お前だろ、桜さんが探してる奴って。」
「なんでわかったの?私とあの子は似ても似つかないと思うんだけど。」
実際今までバレなかったのに。
「お前みたいなちっちゃい奴めったにいないからな。」
あ、なるほど。
紫藤君は背が低い。
それこそコンプレックスになるくらいには。
桜ちゃんですら同じくらいだ。
私は桜ちゃんより背が明らかに低い。
つまり紫藤君よりも明らかに低いってことだ。
だから気にしている紫藤君にはあっという間にバレてしまったのか。
でも、
「そんなんあり?」
背が低いとかどうしようもないんだけど。
「そんなことより、神月さん。バレちゃったわけだけど、どーすんの?」
「協力、してください。」
ここからが大切だ。
上手いことばらさないようにお願いしなくては!
「協力?」
「ばらさないでください。」
「うん、まぁいいよ。」
「自分勝手なことを言っているのは分かって…え、いいの?」
「いいよ。」
藍野先生といい紫藤君といい、この世界の人はなぜ理由もきかずOKしてくれるんだろう。
「ただし、条件はあるよ。」
「え、何?」
そんな上手い話ないよね!
「とりあえずLINE交換してくれる?」
ぬ?
「LINE?」
「そうそう。」
なんでだ?
ま、いっか。
従うしかないし。
「はい。」
「ん、おけ。神月沙夜ね。」
紫藤君は楽しそうに笑うと近づいて来た。
そして耳元で囁く。
「沙夜、これからよろしくね。」
「なっ!」
い、今、呼び捨てで!
屋上を出ていく紫藤君の背中に悪魔の羽が見えるー!
紫藤君に声に弱いのがバレたの?!
こんなの心臓が持たないわ!
って、ん?
「これから…?」
ありがとうございました。
ついにバレました。
次は真キャラをだしたい予定です。
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