入学式で気づいた
短めです
私は今焦っている。
今日は高校の入学式だったのだが、ステージでお話ししている生徒会長を見てすぐに気づいた。
これ、乙女ゲームだ…。
前世ではまってた乙女ゲームの世界じゃないか!
いや、主人公私じゃないけどね、私は全然ゲームで見たことない人なんだけどね。
これがゲームだと気づいてすぐに、私は前世の記憶を思い出した。
まあ全部ではないっぽいけど。
ただこのゲームの記憶と、大好きだったことと、割と若いうちに死んだことは思い出した。
つまり今の私は生まれ変わりってことだ。
しかも前世よりもかわいい。
この世界の人は基本的に整った顔立ちをしてて、前世では美人といわれてもおかしくない人がごろごろいるから、今まで気にしてなかったけど、前世を思い出したら急に今の自分の外見を客観的に見れだした。
腰より長い黒髪ストレートでまつげの長い目は大きくパッチリとしている。口は小さいうえに、唇の色はピンクのバラの色って感じだし、肌は雪みたいに白いし、身長は少し低めだけど悪くはないしなー。
うん、ナルシストじゃないけど、かわいいな。
でも、私はとある事情で超地味な格好をしている。
前髪は長く、レンズが大きくて丸い眼鏡をかけているし(本当は両目とも2,0である)三つ編みのおさげだしね…。
自分からこの格好をしているけど、少しもったいない気がしなくもないけど。
ま、地味子さんでいたいな。
地味子さんは私の中学の時からのあだ名で、ずっとそう呼ばれている。
本名は神月沙夜っていうんだけど、そう呼ぶ人はほとんどいない。
・・・あ、生徒会長の話いつの間にか終わってた。
ま、いっか。ゲームと変わらないでしょ。
このゲームは学校にいるたくさんのイケメンたちから好かれる逆ハーレムなゲームで、最終的には誰か一人と結ばれたりもする。
主人公はパーマのかかった栗色の髪をした明るい元気な超絶美少女、桃井桜
ちゃんである。
そういえば同じクラスにいた気がする。
これはもしかしたらあの数々のすてきなシーンをこの目で見るチャンスなのでは?!
わー神様ありがとー!
この地味な見た目を生かして尾行しよう!
そして常にゲームの背景にいるモブのごとく自然に後ろにいればいいんだ!
おっと、もう入学式も終わりか。
教室へと帰る生徒たちの中、私は一人ほくそ笑んだ。
ありがとうございました