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琉理と沙夜

  いろいろあった次の日の朝、私はイベントに備えて早めに学校に登校した。

 若干疲れてるけど、桜ちゃんたちを見て癒されるさ。


 「んっと、こんなもんかな?」


 私は今、教室にカメラを仕掛けている。

 今日の昼休みに生徒会がここに来る予定だからだ。

 私は自分の席から見るつもりだけど、それじゃあみんなの顔は見れないんだよね。

 かといって、白川先輩の顔を見ようと鏡を見た時みたいに変な行動をすれば怪しまれるかもしれない。

 そこで思いついたのがカメラである。

 桜ちゃんの席あたりを撮すように設置してある。

 放課後に回収して家で見るのだ。


 「よし、できた!」


 あー!楽しみだなぁ!

 さぁて、本でも読んでいようかなー。


 「うーん、ちょっと早く来すぎちゃったな。」


 え?!

 この声は...!


 「ドキドキして、早く目が覚めちゃったんだけどさ~。こんな早く来てもいないよね~。」


 やっぱり琉理ちゃんだ、昨日ぶり。

 一体全体どうしてこんなに早く来たんだろ。

 誰かを捜してるみたいだけど。

 って、ん?

 誰か...捜す...。

 い、嫌な予感が。


 「しっつれいしまーす。」


 「あ」


 「え」


 琉理ちゃん来たし!

 嫌な予感が私の中で膨れ上がってるよ!


 「いた。神月さん。」


 ふぁ?!

 なぜに私の名前を?!


 「え、えと、なんで、名前。」


 「あたし、生徒手帳を拾って、届けにきたの。」


 なんだと?!

 急いで確認する。

 ...ない。

 うっそー。やっちまったー。

 うっかりにもほどがある。


 「ありがとうございます。」


 どーしよー!

 もしかしなくても、あの時落としたんだよね。

 気づかれてる?それともまだセーフ?

 なんにせよ、しらばっくれよう。

 知らないふりをしよう。


 「いつの間に、落としてたんでしょう。助かりました。」


 「いいよー、気にしないで。あたしも助けてもらったし。」


 「なんのことでしょうか?」


 やっぱりー!

 でも素知らぬ顔をするんだ!


 「ふーん」


 「?!」


 な、何?!

 急に近づいてきた!

 ちょっ、座ってるし、逃げれないから、怖いんだけど!

 私何か怒らせるようなこと言っちゃった?!


 「ちょっとごめんね。」


 「な?!」


 琉理ちゃんが私に手を伸ばす。

 殴るの?!

 とっさに目をつむると私の顔からあるものがなくなった。


 「あ!」


 しまった、また失敗した。

 私から一歩離れた琉理ちゃんの手が握っているのはダッサい眼鏡。

 私の顔を隠す、眼鏡だ。


 「やっぱり、神月さんがあの人だったんだ。」


 にっこり笑う琉理ちゃん。

 ...参りました。

 まさかこんな行動力を発揮するとは思わなかった。


 「よくそこまで私とその写真が同一人物だって確信できたね。」


 「よーく見たら、似てるとこあるし、実際にあって、絶対同じ人だって思ったよ。」


 「なんで?」


 「だって、神月さん甘ーい花の香りがするんだもん。」


 「え?!」


 私そんなにおいするの?!

 そんな香りがつくようなこと、覚えがないんだけど。


 「そうなの?」


 「そうだよ。」


 今度からゲームのキャラクターと接近するのは極力避けよう。

 香りって、どうしようもないじゃん。


 「生徒手帳、ありがとう。それで、その、お願いがあるんだけど...」


 「神月さんとあなたが同一人物だってことを内緒にしてほしいの?」


 「え?」


 「あれっ?違った?」


 「そうだけど、なんで?」


 どうしてわかったんだ?

 

 「あの時のあなたと、写真が別人だったから、もしかしてって思ってたの。実際なんか隠そうとしてたからね。」


 「あぁ、なるほど。」


 って、頭いいな!

 それはゲームでも知らなかったよ。

 他のキャラでも、予想外なことあるかもしれないなー。


 「いいよ。」


 「え?」


 考えごとしてたから、びっくりしちゃった。

 てゆうか、私は今日何回琉理ちゃんに驚かされてるんだろうか。


 「内緒にするよ。」


 「本当?ありがとう!」


 いい子だ!

 琉理ちゃんライバルだけどいい子だ!


 「そのかわり、」


 ん?


 「あたしと友達になってよ!」


 なぬっ!

 と、友達?私と、琉理ちゃんが?

 え、なって良いの?

 私モブなのに、ゲームキャラクターと友達って、良いの?

 てか、ばれないかな、他の人たちに。

 

 「無理っていったら?」


 絶対ばらすって言うよね。

 そんなの。


 「嫌...なの...?」


 え?

 なんか急に座り込んじゃったんだけど?


 「な、なんで?あたしのこと、嫌いなの?やっぱり、キモいの?」


 な、泣いた?!

 うそ!予想の遙か斜めをいく反応なんですけど?!


 「い、いや、別に嫌いってわけじゃ...」


 「じゃあ、友達になってくれる?あたし、ずっとひとりぼっちなの。わかってくれたの、あなただけなの。お願い、捨てないで。」


 潤んだ目で私を見上げてくる琉理ちゃん。

 ざ、罪悪感が...!

 それに、なにより、


 「神月さん...」


 かわいいー!

 もう、もう!

 こんなのずるいよー!


 「うん、友達になるよ。だから泣かないで、ね?」


 昨日も似たようなこといった気がする。

 ま、いいよね。


 「本当?!」


 「うん、本当。」


 「嬉しい!」


 輝く笑顔。

 もうなにこの子、かわいすぎ!


 「あたし、紅野琉理。よろしくね!神月さん!」


 「沙夜でいいよ。よろしくね、琉理ちゃん。」


 「うん!あたし、沙夜のこと大好き!」


 その後、眼鏡を外した時の私のことは美月と呼ぶこととかを話して琉理ちゃんとわかれた。

 かわいかったけど、本当にこれでよかったのかな?

 入学して三日目、ゲームのライバルキャラと友達になりました。

 やばい気がする。

 

  ありがとうございました。

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