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放課後2~沙夜side~

入試があって遅くなりました。

すみません。

  藍野先生のお手伝いで、思わぬ収穫ができて上機嫌で廊下を歩く。

 今の私は美月の格好をしている。

 理由は地味子さんだと静かにゆっくり歩かなきゃいけないから。

 キャラ作りは大切なのだ。

 桜ちゃんも生徒会もいないし、いっかなって思ったしね。

 一階に降りるために、階段に近づいていったら、声が聞こえてきた。


 「あんた、ちょっとかわいいからって調子乗んないでよね。」


 おや、修羅場ですね。

 

 「調子に乗ってなんか...!」


 ん?この声知ってる。

 そーっとのぞいてみると、そこにいたのは...


「自分が男子に見てもらえないからって僻まないでよ!」


 あ!

 あの責められているほうの子って、ゲームでライバルキャラだった子じゃん!

 紅野琉理(コウノルリ)は、赤茶色の髪をツインテールにした、かわいいけど、若干つり目という悪役顔な女の子で、ゲームでは桜ちゃんを生意気だといじめる役割だった子だ。

 逆ハーレムエンドでは仲間になってて、「自分もいじめられていたのに桜ちゃんみたいに助けてくれる誰かがいなくて、それが悔しくていじめてしまったの...!」と泣く姿にポロリとさせられたものだ。

 そして今のこれが、いじめられていた頃の琉理ちゃんってことか。

 助けてあげたいけど、私はモブだからな。

 桜ちゃんが琉理ちゃんの心の傷に気づいてくれるよう祈ることしかできないや。

 ごめんね。

 気づかれないうちに帰ろうとしたときだった。


 「キモいんだよ!」


 「きゃあ!」


 何かを押す音と悲鳴。

 これはやばい!

 考えるよりも先に体が動く。

 私の視線の先には落ちてくる琉理ちゃんがいる。

 階段の上には青ざめて固まっている少女たち。

 琉理ちゃんに向かって手を伸ばす。

 届いた!

 一気に自分の方に引き寄せて琉理ちゃんを抱き抱える。

 そのまま引き寄せた勢いで後ろに倒れる。


 「ぅぐ...ったー。」


 背中を少し打ってしまった。


 「え、あっ!ごめんなさい!」


 琉理ちゃんが状況に気づいて謝ってきた。


 「大丈夫だから、謝らないで。悪いのは、あなたじゃないでしょ?」


 安心してもらえるように微笑んで琉理ちゃんを見つめる。

 そう、悪いのはあいつらだ。

 まさか階段から突き落とすなんて。

 呆然とこっちを見ている少女たちをキッと睨みつける。

 さすがにこれはむかついた。

 取り返しのつかないことになってもおかしくなかった!

 琉理ちゃんが震えているのが伝わってきて、抱えている腕に力がこもる。


 「あんたたち、何してんの?」


 少女たちは取り繕うようにしゃべりだす。


 「まさか落ちるだなんて」


 「そんなつもりじゃなかった」


 あぁ、うんざりするな。

 出てくるのは言い訳だけか。


 「じゃあ、どんなつもりだったって言うのよ。」


 「そいつが生意気だったから、ついカッとなって」


 「ちょっと脅してやろうと思っただけで」


 「...わざとじゃなかったって言うの?」


 「そ、そうよ!元はといえば、そいつが悪いのよ!」


 「男子に色目使ったりしてるから」


 「な、そんなことしてない!」


 琉理ちゃんが叫ぶ。


 「あたしは、そんなことしたことない!媚びなんて売ってない!ぶりっ子なんかじゃ...そんなんじゃ...」


 ポロポロと涙を流す琉理ちゃん。

 辛かったんだろうな。


 「もういいよ、わかってるから。ね、だから、泣かないで。」


 もう一度、腕に力を込めて抱きしめる。


 「本当に醜いね。」


 「え?」


 「つまんない嫉妬で人を傷つけて、挙げ句の果てに殺しかけて、しかも言い訳ばかりで謝ることもできない。自己中で、浅はかで、なんて醜いんだろう。」


 「な...」


 少女たちは絶句する。


 「あんたたちみたいな性根の腐った奴らじゃあ、誰だって見たくないわよ。自業自得よ。それを人のせいにしてくだらないいじめなんてしてないで、愛されるような人になれるよう努力したらどうなの?」


 「い、意味わかんない!あなたに関係ないでしょ!」


 「関係あるとかないとかの問題じゃない。」


 こうゆうときの正論は相手を黙らすのにちょうどいい。


 「悪いのはあんたたちよ。彼女に謝りなよ。」


 少女たちは大きく顔をゆがめた。


 「い、嫌よ!誰がそんなやつに」


 「私たちは悪くないわ!そんなやつ庇ったりして、絶対に後悔するから!」


 「あ、待ちなさいよ!逃げんなー!」


 あ、あいつら、逃げやがった。

 うーわー!むかつくー!

 昔の悪役みたいな捨てぜりふ残しやがってー!


 「あ、の。すみません。」


 あいつらが去ってった方を睨んでいたら、琉理ちゃんがおずおずと話しかけてきた。


 「ん?なぁに?」


 「その、もう平気だから、離してもらっても良いですか?」


 「あ、あぁ!ごめんね、大丈夫だった?」


 パッと離すと琉理ちゃんは私の上からのいてくれた。


 「う、うん。助けてくれたから。本当に、ありがとう。」


 「そっか。良かったよ、怪我がなく...て...」


 「あの、どうしたの?」


 やっばー!

 つい夢中になっちゃったけど、琉理ちゃんもゲームの登場人物じゃんか。

 モブが関わってはいけない人ってゆーか、あんまり関わるとばれるかもしれないよね?!


 「え、えっとー、無事でよかったねー。それじゃ、私はこれで!さよなら!」



 「え、ちょっと待って-」


 返事はもう聞かないで走る。

 次はイベントの時に、元気な姿を見せてください!

 私は今日も全力で走って帰った。

 ありがとうございました。

 今の時期は忙しくて、あまり投稿できませんが、時間を見つけて書いていこうと思ってるので、これからもよろしくお願いします。

 ブックマークありがとうございます。

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