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絵本のはじまり

のんびり更新できそうな目処がつきましたので書き直してみたところ、ほとんど別物のお話になりました。


最初の1〜7話は残しますが、今後はこのお話を1話として続けていこうかと思っています。



よろしくおねがいいたします。

僕が10歳を過ぎた頃、母様は分厚くて重たい本を僕に手渡してよく聞きなさい、といった。



「遠い遠い、昔の、4つの季節が巡る国のお話。」



普段の母様とは違う、お国をおさめてゆく人としての振る舞いをちゃんと見たのはあれが初めてで、僕は少し怖かった。




「エグランテリアという、精霊や妖精ととても仲の良い小さな国の王妃様と王様は、長いこと子供を欲しがっていました。ですが、子供は天からの授かり物です。




ある日、王妃様が庭園の池のほとりを散歩していると、池の水上の花の妖精が、王妃様に言いました。




あなた方の願いはもうすぐ叶えられます。かわいい王子様が産まれますよ。




妖精のいった通り、ほどなく王子様が産まれました。


王子様はヴァルトと名付けられ、たくさんの愛をもらい、たくさんの愛を返しました。そう、たくさんの愛を。


大切なことなのでもう一度いいましょう。


たくさんの愛を返したのです。




つまり、たくさんの女の子に言い寄られ、それら全てに応える、愛情深い方になってしまってね?


その女の子達のなかに、すこーし嫉妬深く、精霊に愛された魔法が得意な魔女がいたの。




その子は王子様が自分のことを本当に愛していてくれた訳では無いと知って、ひどく悲しんでしまった。悲しんだ女の子をみて、精霊は怒り、女の子は王子様に、王子様の子孫にも続く呪いをかけてしまった。









自分と同じ心を向けてくれないのなら、そんな心はなくていい。


自分と同じように傾けてくれないのなら、他の誰にも心を傾けてほしくない。


種族が違ういうのなら、そのようなもの気にしなくなればいい。


同族に縛られるというのなら同族など捨てさせてしまえばいい。


誰にも選ばれず誰にも望まれず、私のところに転がり込んできたらいい。




ああだけど、絡めて縛って繋いで、呪っても。


それでもあなたを選ぶものがいるのなら、



守って見せればいい。守れるものならまもってみせろ。








そうしてのぞみ、のぞまれ、むすばれるというのなら、そのときは。








だから、エグランテリアの王族の男児は精霊に好かれないし、この国の守りてには呪いが強く現れる。


呪いは、ともに歩んでくれる人が現れなければ、愛する者が15歳になるまでに愛してくれなければ、感情の無いお人形になってしまう、というもの。


まだ難しかったかしら‥?でも、今知っておかないといけないことなの。




だから、貴方は、愛する人ができたとき、その手を離してはいけませんよ」








おとぎ話はおとぎ話のままではなかった。僕はそれをとうに知っていたはずなのに、どうしてこんなに何もできないのだろう。



愛した人の手をとるのは、ひどく難しいことみたいです、母様。


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