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6 おっさんはペットを手に入れる

 ドラゴンは思ったより弱かった。

 いや、能力は十分にあるはずなんだが、すごくヘタレだった。

 ちょっと切り裂いたくらいでもう戦意喪失。

 たいして血も流れてないし、そのキズ自体は自分でヒールして治っている。


 神々しいとか思って損したよ。

 なんて見る目がないんだ、俺は。


「負けました……

 もう勘弁してくださいよ……

 そもそも何も悪いことしてないのに……

 ガムスがいきなり来て私をいじめただけだよ……」


 確かにそう言われてみるとそういう気もしてきた。

 いや、違う。


「お前、俺の馬を殺しちまったじゃないか。

 愛馬のかたきだ、殺す理由には十分だな」


「え、それ私のせい?」


「お前のブレスで死んだのだからお前のせいだ。

 かわいい愛馬だったのに」


「ごめんなさい。

 長年いっしょに旅してきた馬だったのね」


「いや、10日間くらいだが」


「みじかっ!

 たいして愛着湧いてないんじゃ?」


「いや、そんなことはない。

 短かったけど乗り心地はよかったし、よく俺の言うことを聞いてくれたいい馬だった」


「そうだ、なら私が代わりに乗せていくから。

 だから許して」


「やだよ、ドラゴンとかって乗り心地悪そうだし、街に乗り付けたら大騒ぎになりそうだし」


「姿くらい変えれるから、ほら、このとおり」


 ドラゴンはそう言うと、馬に姿を変えた。

 銀のたてがみの白馬だ。


「ほー、なかなか良さげな馬じゃないか。

 ちょっと乗ってみてもいいか」


「どうぞうどうぞ」


 白馬に跨ると馬は軽やかに駆け出した。

 くらあぶみとかないと操作しにくいんだが、まぁハミはなくてもいけそうだな。


「おー、なかなか乗り心地いいな、気に入ったぞ」


「よかった」


「そうだ、さっきからの口調なんだが、お前ってもしかして雌か?」


「うん、そうだよ」


「変身できるみたいだけど、人間の姿にもなれるのか?」


「うん、なれるよ」


 俺が降りると今度は人間の女の子の姿に変わった。

 15歳位の女の子、真っ白な肌に銀髪、緑の眼をしている。

 背はあまり高くなく少し痩せ型、胸は小ぶりだが均整の取れた体だ。

 すっげぇかわいいじゃないか。


 これだけの女の子が惜しげもなく裸身を晒しているって、どんなご褒美だよ。


「よし、やるぞ」


 その場で押し倒すことにした。


「えっ」


 有無を言わさずやった。

 そのまま3発。

 すっごく具合が良くて満足した。


「よし気に入った。

 名はなんだ?」


「はい、私の名前は……」


 おい、それ真名ってやつだろ。

 それ人間に教えたらどうなるか知らないのか?

 しかも俺に服従の意思まで示してるし。


 だがまぁそういうことなら遠慮はいらないな。

 俺はドラゴンの真名を使って契約を果たした。


「これで一生、俺の奴隷だな」


「え?

 奴隷って?」


「真名とか他の人に教えちゃいけないって習わなかったのか?」


「うん、小さい頃から1人だったから」


「まぁ俺でよかったぞ、悪いヤツに契約されたら何されたか、わかったものじゃない」


「ガムスは酷いことはしない?」


「あー、気持ちいいことしかしないぞ」


「よかった」


「で、真名しかないのかお前は?」


「うん」


「じゃ、俺がつけるか。

 そうだな、シルバでいいか?」


「ちょっと安直な気がするけど、いいよそれで」


「よし、普段は馬の姿でいろ。

 俺が命じたときだけ、ドラゴンや人の姿になるんだ。

 わかったな」


「うん、わかったよ」


「そういえばお前はお宝とか貯め込んでないのか?」


「何もないよ?」


「ドラゴンって言ったら光り物貯め込むのが趣味って聞いたんだけどな」


「ふーん、そうなんだ。これから貯めるようにするね」


 思いがけず、いいペットが手に入ったものだ。

 馬としても女としても一級品だ。ドラゴンとしてはヘタレで三級品だが、まぁそこはガマンしておこう。

 今回は収入はゼロだが、このペットは金じゃ買えないからな。

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