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転生天使エノク  作者: 藤咲流
20/23

第20話・代用~???視点~

「エノクのDNA……。


そんなもの、本当にあったの?」


ベーコンの言葉を半信半疑ながらつぶやくも、


彼は不敵な笑みを崩さなかった。


「そうだ。私は何度も転生している中で、


エノク言語が理解できるという男に出会った。


たしか、エドワード・ケリーとか言ったか。


周りからは詐欺師扱いを受けていたが、


彼は本当にエノク言語を理解していた。


私はすぐ彼に接触を試みて体細胞を調べたよ。


するとどうだ、人間とは


全く違う配列を持っているではないか!


私は確信したよ、


彼さえいればこの世界に


エノクの遺伝子を持った生物を


生み出すことができる。


ヴォイニッチ手稿と


ヤドリギの技術があれば、


すぐに実現できると思っていた。


しかし、残念ながらそんな簡単に


事が進まないのが人生というものだ」


彼はまるでおもちゃでも放り投げるように、


羽山の体を枝の上に捨て去る。


「エノクの細胞を


埋め込んだヤドリギを使うと、


身体が耐えきれないのか


意識をコントロールできない


植物人間か緑皮病しか


症状として表出しなかった。


その代わり、お前のような


エノクと人間の配列がまざった


まがい物が生まれてきた。


お前はエノクの導きなどうけていない。


ただの失敗作と変わりないさ。


まあ、ただの植物人間や緑皮病に


止まる人間よりは使えたので、


お前を側に置いただけの話だが……」


いまだ立ち上がることの


できない羽山の側に向かい、


ベーコンは座り込んで彼女の髪をつかむ。


「まがいものはまがいものらしく、


器にはなってもらおうと考えたのだ。


お前は確かにエノクには程遠い。


しかし、少なからず植物人間よりは


身体をコントロールできるお前の体ならば、


この世界樹とも親和性がいいと私は考えた」


「や、やめろ……」


羽山の言葉もむなしく、


触手はすでに羽山の体を覆っており、


すでに顔部分にまで侵食は進んでいた。


「いよいよ、お前の役割を果たす時が来たのだよ。


さあ、私と共にエノクそのものになろうではないか」


「いやああああああ! あ、あああっ……」


羽山の雄叫びもむなしく


触手は羽山の体全体を包み、


ベーコンが伸ばすツタと完全にリンクする。


そして、ベーコンの体が徐々に解けていき、


すべて繭に吸収されていく。


しばらくすると繭がてっぺんから避け、


そこから手が伸びてくる。


バリバリと卵のように繭を剥ぎ取っていき、


中から猫人間が現れる。


その姿は羽山のままだが、声は男のものだった。


「ふん、まさか女の体になるとはな。


さて、これで邪魔する者はいなくなった」


「ベーコン!」


「まだいたのか。


……まあいい、


そこで本物の神が現れるのを待っておれ」


ベーコンは私を放置したまま大樹と融合していく。


彼の下半身が完全に植物と合致すると、


ベーコンの身体は再び変化を始め、


強靭な男の肉体へと変貌していく。


そして、背中からは六枚の羽が飛び出すと共に、


大樹全体が大きく揺れ始めた。

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