第17話・劣勢~???視点~
私はシンゴ目掛けて突撃していくも、
彼の前の前にいる男がツルを伸ばしてくる。
それらをすべて刃で切り崩していくも、
ツルは際限なく伸びてくる。
それらを振り払いながら
男との距離を縮め、
ついに眼前に捉える。
彼の皮膚はすでに植物化しており、
人と判別するのが難しい状態だった。
「ベーコン様!」
一瞬の隙をつかれ、私の身体は大きく
吹き飛ばされることになる。
あばらを抑えながら距離を取ると、
先ほどまで闘っていた
猫の獣人間が彼の援護にやってきていた。
「ベーコン様、ご無事でしたか?」
「ああ、助かったぞ。羽山」
私は数の上で圧倒的不利な状況になるも、
なんとしてもシンゴを助けなければいけなかった。
彼らが何か話しているとき、
私はシンゴを観察してみる。
よくみると腰から下が木がくっ付いており、
埋められているというよりは融合している感じだった。
「お前は誰なのだ、この男の知り合いなのか?」
ベーコン、と呼ばれた男が私に語りかけてくる。
しかし、交渉や話し合いなどをしている暇はない。
一刻も早く、私は彼を助けて
ここを脱出しなければいけなかった。
私はベーコンの言葉を無視し、
再び彼目掛けて突っ込んでいく。
しかし、次はあっさりと動きを読まれ、
羽山によって腹に思い切り蹴りを入れられてしまう。
「いやだね、見境なく男に飛び込む女なんて」
息がつまり、次の動きを取ることができずにいると、
ベーコンが私の身体に
ツタを巻きつけて
私を地面に叩きつけた。
私はベーコンを見上げるも、
敵意を下げることはなかった。
「これだけ劣勢となっても、
未だに私に闘う意思を示すか」
「あんた達、シンゴに何をしたの?
そして、今から何をしようっていうの」
「お前は何か勘違いをしているようだが……。
こやつはすでに死を迎えている」
私はベーコンの言葉を信じられなかった。
そんな、シンゴが。
私がずっと守ると誓ったはずの彼が、
すでに死んでいるなんて。
「ふざけたことを!」
私は全身の毛を逆立てて
ツタを切り裂こうとする。
しかし、ツタは何度切っても私に絡みつき、
挙句の果てには皮膚に
侵食して私の体を乗っ取ろうとする。
「止めておいた方がいいぞ。
そのツタは振り払おうとすればするほど、
お前の体を蝕む。さて」
ベーコンは身体を翻し、シンゴの前に立った。
「ついに、私の悲願を叶えるときがやってきたのだな」
羽山は彼の前に膝をつき、
ベーコンはゆっくりとシンゴ身体に触れる。
すると、彼の体はひかりだし、
融合していた部分が解けるようにはがれていく。
その体には興味がないように枝の上に放り出し、
ベーコンはシンゴがいなくなった部分に自分の体を入れていく。
「これで、私はついに!」
シンゴがいなくなった部分から新たな触手が伸び、
ベーコンの身体を受け入れようとしたときだった。
羽山が彼の心臓を一突きしてしまった。




