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転生天使エノク  作者: 藤咲流
15/23

第15話・混沌~???視点~

「いやだ、離れて……。お願い、シンゴ!」


あまりにも大きな声に


私は自分の声に目を覚ます。


周りをすぐに見回すも、


どうやら私は廃墟にいるようだ。


壁は完全に崩れ去っており、


その面影を確かめるのは難しかった。


どうも肌寒いなと思うと、


私の体を包むものは何もなかった。


周りに人の気配はしないけれど、


それでも恥ずかしいのが女心というものだった。


私は周りに何か身に


着けられるものが


ないか探して回る。


しかし、私が歩く場所は


木の根っこのようなものが


地面を覆っており、


コンクリートで舗装されている床は


見る影もなかった。


その中で私はこけないように


歩くので精一杯だった


何とか歩くのに慣れてくると、


その上にボロボロに


なっているロッカーを


見つけることができた。


その中をあさってみると、


泥が付いているも白衣とシャツ、


さらにスラックスを見つけることができた。


私はそれらを羽織ってみる。


少し大きめのサイズだが、


今は四の五の言っている場合ではない。


私はそれらを着用したまま、


再び周りを散策してみることにした。


壁伝いに廃墟の中を歩いていると、


光がこぼれている場所を見つけた。


私は慌ててこけそうになりなりながら、


光求めて小走りになってしまう。


ヨタヨタしながら光の方に向かってみると、


人が通れるほどのヒビから光が


こぼれているのがわかった。


しかし、目の前には大きな瓦礫があり、


それを取り除く必要があった。


私は再び近くを散策すると、


頑丈そうなパイプを見つけることができた。


それを拾い上げ、テコの原理を使って


瓦礫を取り除いてみる。


何とか私の力でも瓦礫を


取り除くことに成功し、


外に出てみた。


やっと外に出たと思うと、


目の前には巨大な紫色の大樹がそびえ立っていた。


巨大な大樹には葉が一枚も付いておらず、


その代わりに繭のようなものが


いくつも枝にぶら下がっているのが見える。


木々の周辺は赤紫色になっており、


どこか全体的にどんよりしているのがわかる。


大きくて不気味な


大樹に威圧されていると、


空から機械音が届いてくる。


そちらを向いてみると、


ヘリコプターが大樹に向かって


飛んできているようだった。


私が助けを求めようとした矢先、


大樹の枝にぶらさがっていた繭が


落下をはじめる。


冗談でしょ、と言いながら


私は再び廃墟の中へ逃げ込む。


しかし、繭は落下中にシュルシュルと解け、


中からクマほどの大きさを持つ昆虫が出てくる。


私はヒッと悲鳴をあげそうになるも、


口を閉じて我慢した。


一匹の昆虫が出てきたのをきっかけに、


どんどん枝から繭が離れて昆虫が生まれてくる。


昆虫の姿はそれぞれ違っており、


鳥のような翼を持つものがいれば、


コウモリみたいな羽を持つ種類もいた。


羽だけでなく頭部も


身体部分もそれぞれ違っており、


まるでキメラだなと私は思った。


攻撃を受けたヘリコプターは


次々とミサイルを発射するかと思いきや、


ヘリからも大樹から現れたような怪物が出てくる。


しかし、ヘリから出てきたほうは


人間の形をしており、それに獣が組み合わさっているような感じだった。


ヘリから出てくる人間の多くは


黒い翼をもった鳥のような姿をしており、


一人だけネコのような姿に見えた。


鳥人間は手に持った大きな


機関銃を使って次々と


キマイラを駆逐するも、


中には同士討ちになって


地面に生々しい音を打ち立てる。


猫人間は大樹の枝を足場にしながら


空中を縦横無尽に飛び交い、


次々とこんちゅを切り裂いていく。


しばらく様子を見ていると、


ヘリの1つからツタが伸び、


大樹に乗り移った人間が目に入った。


私は突如、胸騒ぎを覚えた。


あの人間をこの気に近づけてはならない。


あの大樹には私の大事な人、神崎シンゴがいる。


あのツタを伸ばした人間は、


神崎シンゴを狙い危険な奴だ。


どうしてそれがわかるのか、


私にその理由はわからなかった。


しかし、私は考えるよりも先に身体が動いていた。

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