起きたら異世界
「なんだ、ここ」
周りの様子を見るが、昨日泊まったホテルではない。
「おはようございます」
「……?」
そんな卓人に声をかけたのは一人の女性。もちろん卓人は彼女を知らない。
「えと、誰ですか、あとここはどこだ・・・?」
「私はエルです。あなた、うちの前で昨晩倒れていたんですよ。なので私が匿ったのですが……」
「倒れていた?」
卓人は昨日ホテルで寝たのだ。酔い潰れて道端で寝ていたなんて事はあり得ないし、そもそも未成年だ。
「どういうことだ……?」
夢かと思いほっぺをつねってみるが、痛い。これは夢ではない。
「大丈夫ですか?」
「あの、ここってどこですか?」
「私の家ですが」
「そうではなく、その、どこの町、ですか?」
「ここはテブテニタウンですけど、あの、大丈夫ですか?」
「て、テブテニタウン…日本にそんなとこ、ないよな?」
卓人は状況が理解できない。テブテニタウンなんて場所、来たこともなければ聞いたこともない。そもそも日本で「タウン」という言い方はしないだろう。
「だが、日本語だ」
ここが日本でないことは間違いないだろうが、彼女が使っている言語は間違いなく日本語だ。しかし日本以外で日本語を使う国は存在しない。それはつまり、
「異世界……?」
「あのすいません、病院行ったほうがいいですかね…?」
「えっと、エルさんって言いましたか?エルさん、日本っていう国はご存知ですか?」
「ニ、ニホン…?聞いた事ないですね、申し訳ないですけど……」
「いえ、いいんです、ありがとうございます」
認めざるを得ない。ここは異世界だ。地球じゃない、別のところなのだ。卓人はそう結論づけた。