お部屋訪問
「・・・・では来週は合同魔法についてです。今日教えた魔法については復習しておいてください。」
「分かりました、先生。今日もありがとうございました。」
授業も終わったけどあの侍女は本当に手に入れてくるのかしら?
先生が去って行ったからとりあえずあの侍女を呼びましょうか
チリンチリン、鳴らすとすぐに侍女が扉の前でノックする。
いつも思うけどこのメイドはわけわからない。まあ、慣れたけど。
「入りなさい。」
「失礼します。」
侍女の手には何もない。やっぱり入手できなかったんじゃない。
この侍女がすごいって言ってもさすがに無理だったんじゃない。
「さすがにあなたでも無理だったようね。」
「なにがでしょう?」
すっとぼけちゃって。「私はできるって言ったのに出来なかったんです。」っていいなよ。
「ワイバーンの牙のナイフは?」
そう聞くとメイドは「あーっ」ていう感じの今気づいたっていう顔をした。
いや、忘れるわけないでしょう。
もし手に入れようとしてたら午前中はこの街を走り回って探さないといけないっていうのに。
もしかして探すのさぼってた?それはすごいショック。
一言言ってやろうって思ったときにメイドがまた口を開いた。
「ありますよ。」
「えっ?」
いやいや、それはないでしょう。
あれは王都にしか売ってないって。
「いや、嘘は言わなくていいのよ。偽物を渡されて客人の前で恥をかくのはいやよ。」
「大丈夫ですよ。我ながらいい出来だと自負しております。」
ん、どういう事かしら?今の言葉の意味がよくわからないわ。
まあとりあえずワイバーンの牙のナイフは手に入れられたんだ。
「じゃあ、見せて。」
「はい、私の部屋に置いてあるので見に来てください。」
「なんで見に行くのよ。持ってきたらいいじゃない。」
「いえ、どれがいいのか見てもらわないと。」
「まさか複数手に入れたの!?」
「ええ、少し熱中してしまって。」
集めるのに!?
こいつどんな人脈持ってるのよ。集めるのに熱中してるって。
「とっとりあえず見せてもらえるかしら?」
「ええ、では私の部屋にいらしてください。」
部屋に!・・・・・どんな部屋なんだろう。
見てみたいような、見たくないような・・・・・・・。
「お嬢様?来ないんですか?」
「行くっ、行くからちょっと待って。」
やっぱり気になるし見に行こう。
もはやワイバーンの牙のナイフのことなど気にしてない少女だった。