公爵令嬢のわがまま
ああ、朝だ。
また今日もこの世界での一日が始まる。
さて、生意気なメイドを呼ぶとしよう。
私は枕元に置いてある鈴を鳴らす。するとチリンチリンといい音色がする。
確か王都のすごい職人さんが作ったとかいうのだ。
そして鳴らすとすぐに気に食わないメイドがドアをたたく。
ったくいつからそこにいたんだか?
この部屋に来るまでの足音がしなかった。この世界に来てからかなり身体スペックが上がったから結構遠くの足音とかも聞こえるようになったんだけど全く足音が聞こえないんだよ。
もうドアの前に控えてたとしか思えないんだけど、他の歩いてるときも足音がしないからなあ。
もうわけわかんない。
「入ってよし。」
「失礼します。」
メイドが完璧な礼をしながら入ってくる。
所作が一つ一つ完璧でそれもちょっとむかつく。
「ご朝食はこちらででよろしいですか?」
私は頷くだけで答えとする。
なんでだか知らないけど私がリビングで食べたいか部屋で食べたいかとかも察してるし。
返事を聞くとメイドはまた完璧な礼をして部屋を去り朝食の用意をする。
うー、癪だけどあのメイドは完璧だから礼儀作法とかのお手本になるんだよ。
それからメイドが小綺麗に並べた朝食を食べて今日の予定の確認。
「本日のご予定は午前に宮廷魔術師の先生による魔法の講義。
午後に獣人連合の方からお客様がいらっしゃるのでお母上と一緒にお出迎えです。」
「分かったわ。それでやってほしいことがあるんだけど。」
「はい、なんでしょう?」
まだ何か?っていう顔をしてるけど今日こそ無理難題を言って「無理です、できません」
って言わせてやるんだから。
「近頃王都でワイバーンの牙で作ったナイフが流行ってるらしいの。
それが欲しいの。だから午後のお客様が来るまでに手に入れてきて頂戴。」
王都で流行ってるんだからこんな田舎に回ってくるはずないんだよ。
王都で売った時の方が何倍もいい値段がするんだから。
「ナイフですか。まあ大丈夫だと思いますけど装飾がないのしか無理ですよ。」
「へー、そっそう。じゃあそれでいいから手に入れてきて頂戴。」
このメイド分かってるのかしら?今が七時ぐらいだから午後までって言ったら五時間ぐらい。
お客様が来るのが仮に三時だとしたらだいたい八時間ぐらい。
王都でも手に入るか怪しいわよ。だいたいワイバーンの素材なんかめったに出回らないし。
作るとしたらオーダーメイドだから。
無理だったら散々こき下ろしてやる。それから首に・・・・・はしたくないから減給さしてやる。
「お客さんにも持ってることを自慢したいからよろしくね。」
無理だと思うけどなんかこのメイドだったら何とかしそうで怖い。






