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自殺

結果から言おう、俺は助かった。

爪が俺の首に突き刺さる直前、

メイドの腕に魔法|(たぶん【エアハンマー】)が当たりメイドの腕をはじいたのだ。

多分サクラだろう。いや、それより今はメイドだ。

メイドは魔法があったってから急に殺意が収まった。今はもう俺を殺そうとはしていない。


なぜおれを殺そうとしたのか聞かないと。

「なぜおれを殺そうとした?」

座り込んで関節が一個増えた左腕を押さえてるメイドに聞く。

最悪公爵家がかかわってる可能性がある。早急に聞いて対策を練らなければいけない。

もし関わってるとしたらメイドの暴走ということにさせられるだろうが。

メイドの答えはそう色々と考えてた俺には意外な答えだった。


「すみません、熱くなりすぎました。」

なぜかメイドは目はつぶったまま答えた。

詳しく聞くと試合に熱くなりすぎて思わず、らしい。

しかしそれを信じるほど俺は馬鹿じゃない。


「そんなことが信じられるわ「殺されると思って」・・・・・どういう事だ?」

俺の言葉を遮って言ってきた。


「お腹の一撃がひどくって殺されるかと思って、それでもう怖くって。」

「うっ。」

それを言われるとこっちとしては言いずらい。

人族の体は獣人と違ってもろい。今のメイドも最悪重要な内臓がかなり傷んでるかもしれない状況だ。

殺されかけたから、殺そうとした。

うむ、俺が悪いな。


「だがな、俺は騎士団長だ。それでゆるされ」

許されるわけないだろう。と続けようとした俺が見たのはメイドに魔法が直撃するところだった。


「おいっ、サクラ!今追撃は必要ないだろう!」

メイドは右腕が折れてしまってる。今のメイドは両腕とも折れている。

「私ではありませんよ。」

「サクラ、俺じゃなければお前しかいないだろう。ここには俺たちしかいないんだから。」

サクラ、ここで嘘を言ってもしょうがないだろう。

「いえ、そこにいるではないですか。」

「そこってどこだ?」

だが違ったようだ。


「あなたの目の前に、そのメイドですよ。」

サクラがうずくまっているメイドを指さす。

「そんなバカな。」

なんで自分で自分を痛めつけなきゃならん。

「勘違いしてるようなのでついでに言っておきますがそこのがあなたを殺そうとした時に止めた魔法も

 そのメイドが自分で撃ったものですよ。

 つまり、あなたを殺そうとしたけど思いとどまった。

 けど体はもう動いてしまってるから魔法で無理やり止めたということでしょう。」


「確かにそれは納得できるが今自分を撃つ必要はないだろう。」

「おそらく罰のつもりでしょう。そうでしょう。」

サクラがメイドに聞くけど罰とはいえ自分で自分を痛めつけるか?


「はい、その通りです。お望みなら両足も折りましょう。」

目はつぶったままだったがそこには確固たる意志があった。

何が彼女をそこまで駆り立てるのか?

俺は気おされて思わず黙ってしまった。けどサクラはそうではなかったようだ。



「では心臓を抜き取りなさい。両手両足程度では足りません。」

サクラが冷たい顔で、冷たい声で宣言する。

さすがにそれはやりすぎだ、と俺は止めようと口を開こうとしたが先にサクラに制されてしまった。


「あなたは騎士団長です。そして今はこの国の賓客です。

 そのあなたを殺そうとしたのです。それぐらい当たり前でしょう。」

俺は反論・・・・・できない。

俺自身としてはいいのだが、ここで許してしまうと国がなめられる。

それはできない。




「・・・・・・・すか?」

「何て言いましたか?」

「それでいいのですか?それで今のことをすべて許していただけるのでしょうか?」

まさかこのメイドは死ぬ気か?

「ええ、今回の事はこちら側にも非があります。

 本来ならもっとひどいのでしょうが今回はそれぐらいで手打ちでしょう。」

サクラはあくまで冷酷に宣言する。

だが俺は知っている。サクラはとても心優しい少女だと。

たとえ相手が極悪人だとしても殺すのをためらう。

だけど団長補佐にはそれが許されない。だからこういう時は心を殺してるということを。


「サクラ・・・・。」

「団長のわがままは聞きませんよ。これは国家問題に発展しかねませんから。」

「いつも迷惑かけるな。」

そうやって宣言するのも本来は俺の仕事だというのに。


「もう慣れました。」

サクラの顔が少しだけほころぶ、がすぐに冷たい顔に戻る。

「さあ、やりなさい。」


メイドはうつむいていたが決心したのか目をつぶったままの顔を上げる。

「当事者は騎士団長ですがあなたはそれでいいのですか?」

「ああ、すまんな俺には止められん。」

「はい、か、いいえ、で答えてください。それで今回のことをすべて許していただけるのですね。」

「ああ、それですべて許す。」

悲しい、そうするしかないのが。



「そうですか。それはよかった。では心臓を抜きますね。」

メイドは「ちょっと買い物行ってくる。」ぐらいの軽い声で宣言した。

その瞬間彼女の体からまた膨大な魔力を感じた。

メイドが逃げるか襲い掛かってくるつもりかと俺とサクラは身構えたがそれは杞憂だったとすぐに分かった。







メイドが自分の胸に手を突っ込んでいたから。


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