少女天才につき
とある公爵家に一人の少女がいた。
「この子すっごくかわいい。」
「将来はさぞ美人になるだろうな。」
男女分け隔てなくその容姿を褒め、
「すごい、天才だ。」
「百年に一人の逸材だ。」
あらゆる大人が少女の学力を称賛し、
「むむ、この子魔力がすごく高い。公爵さん、是非私にこの子の教育係をさしてください。」
宮廷魔術師がこの子を育ててみたいと教育係をしたいと言う。
そんなチートな少女がここにいた。
その少女はたった六歳で大人並みの頭脳を持っていた。
その少女の魔法の才能は宮廷魔術師を超えていた。
その少女は大人の汚い話も知っていた。
彼女は全てにおいて天才だった。
両親もやさしく、愛情を注いでくれる。
公爵家に生まれたから政略結婚こそしなければいけないものの路頭に迷うことはまずない。
宮廷魔術師が魔法について小難しい講義をして遊ぶ時間がないのかというとそうでもないし、
そもそも彼女は魔法について興味津々だから魔法の勉強を苦だと思ってない。
その他この世界の情勢などの勉強もしてるようだが彼女の頭のスペックがよかったからぱらぱらっと書いてある本をめくれば理解できたし覚えれた。
そんな幸せの絶頂にいる少女には一つだけ不満なことがあった。
少女の侍女の事だ。
親から聞いて知ったことだが、
その侍女は少女が生まれた時から少女の世話役をしているらしい。
少女はその侍女が表情を変えたところを見たことがない。
だから少女は彼女のことを不気味に思っていた。
その侍女は少女の事を時たま見透かすような目で見てくる。
少女はその目が嫌いだった。
周りの大人は少女の事を褒めるがその侍女は少女の事を褒めない。
少女は褒めて欲しかった。
少女はその侍女のことを自分付きからやめさせようと考えたこともあったけどなんだか負けたような気がしてそれを実行していない。
少女にとってその侍女は異物だった。
少女は表情を全く変えない彼女に聞いたことがある。
「何が楽しくて生きてるの?」と。
子供と言えどもあまりの暴言だがそれにも表情も変えずに彼女は答えた。
「やりたいことがあるんです。」とだけ。
その時侍女はかすかにだが確かに笑っていた。
少女はその笑顔に魅了された。
その日から少女はその侍女のことをいつも気にしている。