第肆話 パスタは『心障』
負人です。
ネタって何処まで入れて良いのか解らないので。
軽く2、3個
放り込みました。
悪意はありません。
絶対ありません。
では
静寂…
それが場を支配していた。
唖然…
それが観客の心を支配していた。
虚無…
それが地に伏した少女の心を支配していた。
少女の目の前に立つ少年はどこも汚れておらず、ただそこにボサッと立っているだけで、何もしておらず。強いて言うなら『彼女が勝手に暴走しただけ』只それだけなのだ。
だから、少女が発動しようとしていた大きな陣に細工をしたとか。
だから、陣から無数の招かれざる客(触手)が来たとか。
だから、巫女服の神職についているであろう少女が、招かれざる客に絡み付かれ空中で磔になっていたとか。
だから、無駄にエロい場面を偶々偶然手にしていたビデオカメラで撮影して、それを面白半分で世界に流したとか。
全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、纏めて、少女が勝手に暴走したのが悪いんだと、心の中で勝手に自己完結した。
「………で、だ、二人とも…」
先程最終戦争(仮)をしていた【無霊志夕】と【池家蘭】の二人は部室に戻り、床の上に正座をしながら、自分達より一回り位小さな幼女(?)【壬エリア】に叱られていた。
「まず初めに言うことは?」
「「ごめんなさい」」
「なら良し、てか何時もの事だし、どぉせまた喧嘩すんだし、グチグチ言うのも無駄骨だしね〜」
あっさり、お叱りタイム終了。
「では、一段落ついた所で今回の蜘蛛男事件について、私から説明しよう」
机の上に腕を組んで事の成り行きを静かに見ていた【エイタ】が説明をしはじめる。
〜説明中〜
「まぁ1つハッキリと言える事は…」
無霊が足を伸ばして緊張感の欠片も無く、
「ちゃんと下調べはしたほうが良いってこったな」
隣で申し訳なさそうに目をそらして冷や汗を垂らしながら正座をしている池家を見て、言い放った。
「グフゥッ…」
ドサッ
「精神にクリティカルヒット、更に正座の効果により足の痺れによる麻痺+追加ダメージ」
池家が倒れ込んだのを見て、エイタが勝手に変な設定を付け加える。
「今日はやることも無いし…解散にする?」
「そうだね〜犯人?が次に動くのも一週間後位だし」
「よし、帰ろう!エイタ〜エリア〜帰ってダラダラしようぜ〜」
「あ、ああ解った」
「早く帰って、加速する世界見たい〜」
「え〜俺的には、犬日ダッシュが見た〜い、てな訳で蘭ー鍵閉め宜しくぅ〜」
とっとと帰った二人と一体。
部室では、廊下側に背を向けて、横になって、人知れずしくしく泣いている池家の姿があった…
池家と無霊の間に何もやましい事は無かったとハッキリ宣言しておこう。
無いったら無い。
絶対に無い。
多分…………?
玄関にて。
「ただいま〜」
「邪魔するで〜」
「邪魔するんやったら帰って〜」
「ハイよ〜………って待て!」
エリアと無霊は何時ものお約束をし、家の中に入る。
2人は自室に入り、私服に着替えリビングに向かい、録画したアニメを付ける。
「やぁ〜だぁ〜女の子のいる部屋で上半身裸とか最ッ低〜」
「………やぁ〜だぁ〜思春期真っ盛りの男子の家で幼女がパンツ一丁〜…………やっべぇー興奮してきた〜」
2人はお互いの服装(?)にそれぞれ突っ込みをいれ(ついでに汚物を見るような蔑んだ目で、男の『大事な場所』に右ストレートをぶち込むエリア)エイタが淹れてきた冷たいほうじ茶を飲みつつ、アニメを見ていた。
「実際にこんなゲームしてみたいよね〜」
「あぁ〜それは解るわぁ〜剣を振り回すだけで敵に勝てちゃうもんな」
テレビには大きな竜と、黒衣の剣士がぶつかりあっていた。
「原作今ん所二巻までしか読んで無いんだけどさ、面白スキルって実際どんなのがあるのかね?」
「面白スキル?………あぁはいはい、確か…ラスボスと主人公だけだよね持ってんの」
「あ、解った多分アレだ空を飛ぶ面白スキル、名前はな…良し『空中散歩』と名付けよう。ルビに『エアロウォーク』って付けて」
「弾幕展開してくる腋巫女か?」
「……腋巫女の衣装を着た主人公…」
「「ブフッ!」」
「ネットでそんなこと書いたりしたら確実に叩かれるね」
「エリア問題になるような場所で言わなきゃ良いんだよ?」
「なら、問題なし」
この後もアニメを見ながら下らない会話を続けていき、何時の間にか夕方になっていた。
「おろ?もうこんな時間」
「ありゃまほんとだ。晩御飯何さ?」
「まさかのスパゲッティ(ドヤァ」
「昨日はこの部屋の中で流し素麺、一昨日は拉麺」
「あり?ドヤ顔無視ですかい?エイタがミートソース作ってるから後湯がくだけ〜」
キッチンからはミートソースの良い匂いが漂い、エリアと無霊は立ち上がり其々の仕事を始める。
無霊はパスタを茹でる係。エリアはお皿を出したり机を拭いたりする係。
そうこうしてる間に、パスタandソース完成。
「「頂きます」」
エリアと無霊は手を合わせ同時に口にする。
エイタは人間の様に振る舞うが、肉体が半機械なので食事を取らなくても問題ない。
がみちゃんは……
『zzz…』
「エリア」
「むぉ?………んっく、何?」
「最近さネットの掲示板、と言うかチャットに妙な書き込みをする奴がいるんだよね」
「自分の事っしょ……あむ」
「いや、ちげーよ!?えっとな、確か…」
食事中でも始まる下らない会話。
どうやら、近頃チャットルームに変な書き込みをする人物がいるそうで、パスタを口に入れながら「何だっけな〜」と、考える。
「『俺にも遂にモテキ到来!!ktkr!!だけどまだ俺のハーレムには足りない…美少女よ!!我が下へ集え!そして、これまで俺を見下していた奴等に『復讐』(←ここ重要)してやる!!!!!現在俺のハーレム12人。続報を待て!』…だろ」
「そう!それだ、それ」
エイタが変わりに読み上げると、歯に何かが詰まった様な顔からスッキリした顔になる。
「何そいつ頭沸いてる?どうせギャルゲかエロゲでしょ?」
嫌そうな顔で無霊を見るエリア、対して無霊はしたり顔で否定する。
「いやいやいや、最初はそう思ったよ俺も。でもさこのコメが流れ出したのって大体3ヶ月位前何だよね。実は。」
「一寸待て、それって…」
「しかも内容は1週間毎に一寸ずつ変わっている」
「そいつが襲撃(笑)の犯人?」
「(笑)かどうかは知らんがその線は濃い」
暫くしてまた無言になりフォークがカチャリカチャリとパスタを巻きながら皿の底をつつく音だけが響く。
「「ごちそうさまでした」」
食べ終わるとエリアはその場に幸せそうな顔でゴロリと寝転がり。
無霊はそんなエリアを見て苦笑しつつ、皿を流しへ持っていき洗い始める。
洗い終えると、風呂に湯を張り、その間に洗濯物を干したり取り込んだり畳んだりし、風呂が沸いたらエリア、無霊(&エイタ)の順に入り、12時を過ぎた辺りでエリアが就寝し始め、3時過ぎに無霊も寝始めた。
この後も起きて、学校行って、喧嘩して、帰宅して、ゴロゴロして、晩御飯食べて、風呂入って、寝るを繰り返し、1週間が過ぎた。
「何でこんな暑い中、何時来るか解らん犯人の為に、張り込みをしなアカンわけさ?」
「何時来るか解んないからこうして張り込んでいるんでしょ?」
太陽が元気に熱を発している10時過ぎ。
日陰で座り込んでいるにも関わらず、暑いのはアスファルトが太陽の熱を吸収せずに反射してるからだと、どっかのテレビで言ってた気が……する。
無霊は壁に背中を預け、眠そうな目で地面から立ち上る陽炎を眺めており。
池家は腕を組み周囲を「見逃すか!!」とでも言うような感じで見渡しており。エリアは、一人コンビニに避難していた。
11時過ぎ。
「来ねぇな」
「うん」
12時過ぎ。
「来ないね」
「そだね」
13時過ぎ。
「昼飯だよ〜お二人さん」
「あざっす」
「ありがとね、エリア」
14時過ぎ。
「バッーと通った変質者、君を拐ぁって叫びだす…」
「……続きは?」
「………無い」
15時過ぎ。
「…………」
「…………」
16時過ぎ。
「ちきしょー!!1日を無駄な事で無駄にしちまったぁーー!」
「おっかしいなぁ〜、今までのルートからすると、次は此処なんだけどな〜」
何時まで経っても出てこない犯人に軽く叫びだす無霊。
その横で、思案顔で「今日じゃなかったのか?」等呟いている池家。
突然、無霊の左手が狐の形になり辺りをしきりにキョロキョロしだす。
「……?どうした、がみちゃん?」
『来るぜ…』
「がみちゃん、来るって犯人?」
『あぁ、ほらよ、もう見える筈だぜ』
そう言ったがみちゃんは左の方を見る、釣られて無霊と池家も左を見る。
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…」
此方に向かって走ってくる女子が一人。
見た目は少し背が小さくツインテールに纏めた髪に、背中にギターの様な物を背負って息も絶え絶えに走っていた。
その女子は無霊達の目の前で立ち止まり膝に手をつき、息を整えていた。
「出た…」
「あれね…蜘蛛男って」
『ん?この気配…まさか!?』
三者三様の驚き方でそれを見ていた。
何も無い上空からするすると蜘蛛の糸を使い音も無く降りてきた『それ』は。
背中から八本の蜘蛛の足を生やし。
顔には八つの大きな黒い目玉があり。
その他はカッターシャツから伸びる手が炭の様な色に染まっていた。
「おいおい…ちっと待てや…がみちゃん、もしかしてあいつ」
『あぁ、ご察しの通り『心障』に取り憑かれてやがる…それもかなり侵食してやがる』
「え!?ちょまたなの〜もぅやだぁ〜」
無霊とがみちゃんが若干真剣モードになったのに対して、池家は反対に嫌そうな顔になった。
『心障』
その名の通り『心を障り、障った相手を喰らう』と言う人類の敵みたいな物で。どの様な経緯を経て誕生発生増殖したのかは解らないが、活動理念は単純で『人を喰らう』ただそれだけ。しかし『心障』は初期の頃は弱くて、脆くて、脆弱な存在だが、一つだけ能力を持っている。
それは『対象の望みを叶える』と言う物。
例えば『大金持ちになりたい』と対象が願えば株を買えば大儲け、事業を立ち上げれば必ず成功し、賭け事は全てボロ勝ちする所まで持っていく事が出来る能力なのだが、強すぎる能力には必ずしも『代価』と言う物が存在する。
その『代価』が憑依者の『肉体』である。
心障は精神生命体の様な物で自身は肉体を持っておらず、自由に動ける肉体を欲しがる、そこで代価として憑依者の肉体を欲するのだ。
願いを叶える度に徐々に、徐々に身体を侵食していき、最終的には憑依者の精神をも乗っ取り自由の身として活動する。
体を乗っ取られると言う事実に気が付く者は皆無である。
なぜなら、自分の願いが、望みが、希望が全て叶っているからだ。
人間、嬉しくて舞い上がっている時が一番足下を掬われやすいのだ。
「はぁ…んじゃぁ行ってくるわ」
『後ヨロシクゥ〜』
無霊とがみちゃんは其なりに涼しい日陰から心障がいる夕方の太陽の照り付ける日射しの中へ飛び出して行った。
はやて
「ぶるぁぁぁっ!!」
負人
「顔面に飛び膝蹴りは止めて頂きたいのですが…」
はやて
「ゴメン…何かむしゃくしゃしてもーてた」
負人
「それだけで人の顔に蹴りぶち込んで良いものなのか」
はやて
「だって話す事あらへんもん」
負人
「えぇー何か理不尽です」
はやて
「てな訳で!今回のゲストは、超絶美少女神奈八はやてでした!!」
負人
「ちょっと待てぇぇ!!何勝手に進めてんだ!おい!!」
はやて
「ではまた次回〜」
負人
「………orz」
では