第参話 美少女に戦争
負人です。
本っ当に申し訳ありませんでしたー!
まさか第参話がここまで遅れるとは…
今回は三人の能力をばらします。
さて、どうなることやら…
では、どうぞ。
事件の発生は一ヶ月前。
被害者は海醒領学園中等部『私立吉里中学』所属二年三組『星野暁美』という女生徒で、才色兼備、文武両道という完璧超人と迄言われており、その小学生の様な小柄な体格も相まって、他校にまで名が轟き、海醒領学園彼女にしたいランキング(中等部版)で常に上位に入っている程の美少女だ。友達と放課後遅くまで、教室でお喋りしていたため帰宅時間が遅れたそうだ。
「そこで後ろから8つの目を持ち、背中から八本の脚をを生やした何かに襲われたと…」
「そ、しかし…」
「気絶させられただけで何もされず…偶々通り掛かった男子生徒に発見され警備員に報告されたしだい…だな?」
机に肘をつき、渡された事件資料(?)をつまらなさそうに眺めつつ、確り読んでいる【無霊志夕】。
ちら、と目の前で腕を組んでうーんと考えている【池家蘭】に目を向ける。
「…ん?あぁ何?」
「一つだけ、ハッキリ言わせてくれ…こんな事件どうでもいいよ…それより家帰って取り貯めしたアニメ見てた方がよっぽど有意義…良いよね〜犬日ダッシュ…あれ見ないと落ち着かない」
事件よりもアニメだと主張する無霊に池家はむっとして『親指を立て自身の後ろを指差す』。
すると、
ガンッ!!
無霊の後頭部に将棋の駒が入った木箱がヒットする。不意打ちだった為、後頭部を抑え襲いかかる痛みに悶絶する。
「ぐあぁぁぁぁ……てんめぇ!!能力使うなや!凶器だぞ!?あれ、どんだけ痛いと思ってんだ!?」
無霊は床に散らばった将棋の駒と箱を指差しながら、どれだけ痛いか抗議するが、池家は淡々と
「今は部活の最中、それも会議の時くらい真面目にしなさい!」
若干怒りながら無霊の抗議を切り捨て、落ちた駒を拾うよう指示し、また何かを考えるように「う〜ん」と唸り出すが…
「ふざけんなぁー!!」
無霊が椅子から立ち上がり拳を握りしめ天井に向かって叫ぶが、誰も動じていない。
「てめぇが出したんだろ!てめぇが直せや!それと謝れ!」
「ハァ?何で私が直さなきゃいけないのよ?私は『出した』んじゃなくて『当てた』のよ、誰かさんの後頭部にね!あと謝らないからね!絶対に!!」
「結局当てたんじゃねぇか!最低限人として謝れよ!」
「私は何も悪くないので絶対に謝りません!」
「はぁ…また始まった…」
次第に二人の間の雲行きが怪しくなって行くのを肌で感じた【壬エリア】はうんざりしたように、机に頬杖をつきながら二人を眺めていた。
「コイツは!……もう良い!表出ろ!!決着つけるぞ!!」
「あぁ良いよ解ったよ!今日こそ決着つけてやる!」
二人は部室を出てグラウンドへと向かう。
「どうでも良いけど…人様に迷惑は掛けんなよー!」
エリアは備え付けの冷蔵庫からポテチを取りだし食べながら出ていった二人に声を掛ける。
「「解った!!」」
「聞こえたのかよ…」
静かになった所で、エリアは机の上を行ったり来たりしている【エイタ】に声を掛ける。
「何してんの?」
「…ん?あぁ、いや考え事をな」
「今回の依頼の話?」
「そうだ」
ポテチを食いながら体長20センチ程のロボ小人に話しかける美幼女…結構シュールな絵面だ…
「何か解ったの?」
「まぁな、これを見てくれ」
エイタは指で自分の目の前をタップする。するとエイタとエリアの目の前に2つディスプレイが表れる。1つは被害者の名簿。
もう1つは襲われた女の子の発見場所を示した地図。エリアは被害者の名簿をスクロールしながら何か理解したようにニヤリと笑い、エイタに説明を促した。
「で、どうゆうこと?」
「まず、被害者の共通点だが…」
「全員の名簿に『美少女』とか似たような褒め言葉が書かれてあるねぇ?」
「……そうだ。ランキング等でも上位組と呼ばれる程の美少女だ」
すると、エリアが何かに気づいたように目を丸くする。
「!…へぇ〜この子も被害者の一人なんだ」
「どうした?知り合いか?」
エイタの問いに首を振って否定する。
「いや、全然。隣の学校の女の子でね、『聖小五人衆』って言われてて結構有名なんだ」
【聖ヶ丘小学校】略して聖小と呼ばれるこの学校には、十人中十人が口を揃えて「綺麗」や「可愛い」等の思わず振り返ってしまうような美少女が五人いる(故に聖小五人衆)。
その内の一人、紅い目で長く綺麗な金髪をツインテールにし、きめ細やかな白い肌を持ち、将来絶世の美女と呼ばれるであろう少女(プライバシー保護の観点より名前は伏せます)の事で、他校にも名が知られる程有名な少女も襲われたと知り結構驚いていた。
「それにしても珍しいな、身内以外に興味を持つとは…」
「あぁ…いやね、学校間の交流でね…先生方が『小学生で能力持ちとは珍しい。ここは親睦を深める為に能力持ち同士の交流試合などどうでしょう?』とかふざけた事抜かしてさ…面倒くさそうなのは目に見えていたから、こっそり脱け出そうとしたけど…」
「見つかって、そのまま試合になったと」
「うん、五対五のチーム戦で副将をやってたんだけど相手がその子で、結果は勝ったんだけど、相手は滅茶苦茶速いし、弾幕に電気を纏わせて追尾してきたり…つい本気を出してしまったんだよね…でその後、「友達になろう」って言ってきてこっちの返答も聞かずに自分の名前を言って、「君の名前は?」って聞いてきてイラッときたからその子の服を能力で引き裂いてやったんだぁ〜まぁ、反省も後悔も無いんだけどね」
その時の情景を思い出しおおよそ少女がするべきではない真っ黒なニヤニヤ笑いを暫く浮かべ、ふと思い出したかの様にエイタに先を促した。
「では、次に発見された場所だ時間はバラバラなのでこの際無視して」
「場所になんかあんの?」
「いや違う、まず最初の発見場所…」
ディスプレイ上に赤い点が1つ点く。
「第二の発見場所…第三の発見場所…第四の発見場所…第五の発見場所…………………とまあこのように点をつけていき、最後に線で結ぶと…」
最初に付けられた点から赤い線が伸び、発見場所に付けられた点を通り時計回りに弧を描いていく、正しくそれは…
「螺旋上に被害が広がっているね…」
「あぁ…それも等間隔にだ、因みに1ヶ月前からではなく実は3ヶ月以上前から1週間毎にじわじわと広がっている…」
「蘭さん…調査資料は間違いがないようにお願いします…」
池家のミスにガックリと項垂れる。
当の本人は外のグラウンドで…………………
池「押し潰れやがれぇぇぇぇぇーーー!!【重力操作】!!」
池家が地面を殴り付けると重力の塊が池家を中心とした広範囲にドォォォン!!と言う効果音と共に降り注ぐ。
無「無駄じゃボケコラァ!!きっちり利子付けて跳ね返してやんよ!!」
自身に降り注ぐ重力を、池家へと反射し更に背後に波紋が現れその中から銃等の重火器が現れ一斉射撃。
放たれた弾丸はまるで池家が放った重力など『無かった』かの様に高速で突き進む。
池「落ちろぉ!!」
親指を下に向け迫り来る弾丸を全て被弾する前に目の前で下に叩き落とされる。まるでそこだけ重力が『重く』なっているかのように。
池「相変わらずせけぇんだよ!テメーの能力!何だよ『能力三連複合使用』って!チートかぁ!!」
池家は自身に掛かっている重力を無霊の背後の重火器に『設定』し、その場所目掛けて突進すると同時に右拳を振りかぶり右拳に『だけ』重力を集めて殴り付ける。
無「るっせぇ!!これが俺の!【強欲】の力だぁぁ!!」
無霊は自身の力を上げて、池家の重力パンチを両手で受け止め、腹に底上げされた脚力で放つ蹴りをぶち込む。
池「うぉぉぉぉ!!」
無「ぬぁぁぁぁ!!」
離れた二人は同時に駆け出し手を掴み組み合う。
ぶつかり合った瞬間、周囲に途方もない衝撃波が生まれ足下には巨大なクレーターが出来ていた。
「いい加減にしやがれぇ!馬鹿二人ーーー!!!」
突如、組み合っている二人の足下から『水』が噴出する。
そのまま二人を空へ打ち上げ、空からミサイルの様な『雨』の弾丸を滝の如く降らせ、二人を地面へ雨の轟音と共に叩きつける。
「何最終戦争やってんだ!!馬鹿二人!他所様に迷惑かけるなっつたろ!!」
見渡すと、クレーターが出来ていたり、赤い二又の巨大な槍が突き刺さっていたり、剣がそこら中に折れて散らばっていたりと、高校生二人でやるような喧嘩の後ではなかった。
「聞いてんのかー!」
ずどどどどどどどどど!!と未だ二人を地面に這いつくばらしたまま降り止む様子を見せないミサイル豪雨。
その状況で聞けと言うのが無茶な事で。
「エリアもうそろそろ止めておけ」
エリア後ろからエイタが静止を呼び掛ける。
「何でさ!?」
「このまま行くとお前もその最終戦争に参戦してしまうぞ」
見渡すと、クレーターから水が溢れだし、周囲を水浸しにしていた。
「むぅ…仕方ない」
腕を軽く横に振るとあれだけ降っていたミサイル豪雨が急にピタッと止み、周囲の水がエリアの体へと『吸収』されていく。
池「……………………」
無「……………………」
二人はうつ伏せのまま気絶していて、無霊の左手が最後の力を振り絞り狐の形へとなりプルプル震えながら口と思われる部分を開く。
「こ…この勝負……エリアの………か、ち」
左手は言い終えると、糸が切れたようにバタリと地面に倒れた。
翡翠
「おいこら、負人」
負人
「何ですか?」
翡翠
「無霊の能力…ありゃなんだ?下手し一発アウトだぞ」
負人
「うへぇ〜………では能力説明」
翡翠
「唐突に!?」
能力名:【強欲】
内容:逆吸収(頭に描いた(イメージ)した物を具現化する事)
負人
「こんな感じ、細かい所はキャラ設定の時に書きます」
翡翠
「んじゃ池家との喧嘩の時に使ってたアレは?」
負人
「紛い物の能力……オリジナル(本物)から貰えばオリジナルと同じ力を発揮出来るけど無霊は「これ、こんな感じじゃね?」っていう大体の感覚でやってるから幾分かは威力は落ちてる」
翡翠
「無霊の能力ってチートだな」
負人
「だろ?オリジナル能力は自分で考えて創ってるけど紛い物の能力はほぼ全部アニメやらネットやらから構成してる。構成っていってもその能力のデメリットだけを消す作業だけ」
翡翠
「やり過ぎじゃね?」
負人
「俺も米粒程は反省している、だけどやらかしたもんはしゃあない。最後まで突っ走るのみ」
翡翠
「そういや…はやてはどこいった?」
負人
「次話後書きゲスト」
翡翠
「マジか…はやてによろしく伝えておいて〜」
負人
「了ー解」
負人
「てな訳で!」
翡翠
「次回でお会いしましょう!」
負人/翡翠
「「ほいじゃ!!」」