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《夢の中》
………ここは、僕の高校時代の部室??
「懐かしい…」
いまは大学生になってしまった僕にとって、高校時代の学校内を歩くのは、とても懐かしいことだと言える。
部室に行くと、まだ帰っていない後輩が残っていた。
「あれ?帰らないの?」
『先輩!待ってたんですよっ』
部室の扉付近にいる僕の所へ可愛らしい後輩がやってきた。
『今度、一緒に音ゲーやろう!って言ってたじゃないですかぁー』
「え、あ、うん。そうだっけ?」
後輩に腕を掴まれて、普段自分が使っている机に座らされる。
むこうは、すでにスマホを準備していてやる気満々だ。
「(えっと…僕のスマホって」
っと、思いながらポケットに手を入れると、ズボンから都合よくスマホが出てくる。普段はポケットに入れたりしていないのに、やっぱり夢の中の都合の良さを実感する。
「じゃーやろうか」
『私が曲を選んでもいいですか?』
「あ、うん。どうぞ」
彼女が選んだ曲は、僕も好きな曲だった。なんなら、1番やりこんでいる曲だ。
音ゲーの曲が流れる。効果音やら画面の流れるエフェクトがリアルで、本当にゲームをしている気分になる。
思わずいつも通りにゲームをしてしまった。
『え……SSS?!』
「あ、これ、すごく好きな曲で」
『えぇ〜…先輩に勝ったら、私言いたいことがあったのに…』
僕の目の前で後輩が落胆している。
「別の曲で、もう1回やる??」
『…この曲じゃなきゃ意味ないです』
「(なにが??」
後輩が僕に伝えようとしている事が、よくわからずスマホの画面にもう一度目を落とす。
画面には、選曲したSSSの曲名がキラキラと輝いている。
《ウォーアイニー》
それは、日本の言葉ではないけれど、日本人でもよく知っている中国の言葉だった。
『私…先輩のことが……ス』
むこうが僕に告白をしようとしているのか、真っ赤になった後輩が僕の瞳を見つめ返していた。
◇◇◇
「い…………ぃたたたたっ」
なんか、すごくいい所だった気がするのに、僕は自分の部屋に戻ってきてしまった。
やはり、僕の目の前には四つん這いになって僕の上から僕の顔を凝視している彼がいて、彼に頬をつままれていた。
『なんか、ニヤけてたから…ついね』
「僕の好きそうな夢なんですから、その夢にニヤけてもいいじゃないですか?!」
僕がもっともらしい事を言うと、彼は少しふくれながら言いかえしてきた。
『タダで、なんて誰も言ってない』
自称悪魔は、悪魔らしく対価を要求してきた。
「僕から、何を奪おうって言うんですか」
『まずは、契約をしてくれないかぃ?』
いま見ていた夢はお試しだから、と言わんばかりに本契約をすすめられた。
「契約したら、続きを見せてくれるんですか?」
『気分による』
「なんなんですか、アナタは本当に…」
夢の内容自体は、たしかに僕が好きなものだっただけに、続きが気になってしまう。
かといって、こんな幽霊なのか本当に悪魔なのかも分からない奴と契約してしまっていいのだろうか。




