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「今日も眠れない」
僕は、ベットでスマホを覗きながらゴロゴロとしていた。
『スマホなんて見てるから眠れないんだよ』
僕の真横で、自称悪魔さんが呟いた。
「そんな事言われたってね」
スマホの中には、いろんな情報がひしめき合っている。
僕の所属する小説サイトなんて、夜中の2時ですら作品が上がる。
新しい新作を読んでいると、ついつい日付が変わっているのに起きていてしまう。それは、仕方のないことなのだ。
『何、心の中で言い訳してるの…』
「そういうソッチだって人の心覗かないでよ」
『夢の中と心は繋がっているようなものなので、仕方ないんです』
彼は、悪魔の中でも人の夢を食べる悪魔らしい。詳しいことは、よくわからない。
ただ、眠っている時の夢であって、叶えたい夢のことではない。という説明だけは、一番初めにしてもらっていた。
けれど、僕は昔から不眠症なのである。なんで、またそんな人間の元なんかにやってきてしまったのか…彼は僕の家に住み着いてしまっている。
『君が眠ってくれないと、今日もボクがお腹ぺこぺこなんだってばぁ』
「文句があるなら、他の人の所へ行ってください」
『嫌だね』
何故か、彼は僕にこだわりをもっているらしい。迷惑な話だ。
『見たい夢とか、ないの?』
「見たい夢があったら、見せてくれるの?」
『内容による』
それじゃーとびっきりいかがわしい夢とかどうせ希望できないじゃん。
『(希望されたとて、このサイト的にNGだよ』苦笑
僕の隣で彼がなにやら考え事をしている。
『そうだな。君が好きそうな甘酸っぱい夢なら、見せてあげることは出来るだろうね』
「おおー」
エロくなくても、青春系ならいけるって事なのか?!
『そもそも、エロより青春系のほうが好きでしょ?』
「恋の延長線上にあるのがエロなんで」
『(物語系AVが好きなタイプ…?』
僕が少しだけもっともらしいことを言ったからか、彼が黙ってしまった。
「それで?僕は何をしたらいいの?」
『目をつぶってさえいただければ?』
それだけでいいの?たったそれだけで、不眠症の僕が夢を見ることができるの?と、思いながら僕は目を閉じた。
僕のベットの横の床に座っていた彼が、僕のベットの上にのぼってきたのか、ベットが軋む音だけが聞こえてくる。
彼が、僕の布団に入ってくる事はなく、僕の布団の上から僕の顔にむかって四つん這いで近づいてきているのか、僕の体の周りの布団が何かの重みで沈んでいく。
目を開けていないからか、何をされるのか分からない圧迫感が、まるで金縛りのようだと思った。
『おやすみなさい。いい夢を…』
いきなり、僕の耳元でASMRかと思うくらいのイケボが響く。
その瞬間、僕は寝つきが悪いはずなのに、夢の中へと落ちていってしまった。




