マッチングアプリに学ぶ
マッチングアプリは、“出会いの道具”として語られがちだが、実は人間そのものをよく映し出す鏡でもある。
スワイプの一瞬で「あり・なし」を決める指先の軽さ。けれど、その裏では「どう見られたいか」「どんな人を求めているのか」という深い自己分析が動いている。
写真を選ぶとき、人は自分の“理想像”を並べる。旅行好きでもないのに空港での1枚を置いてみたり、普段は着ない白シャツで清潔感をアピールしてみたり。
その努力は滑稽に見えることもあるが、実は生きるうえで必要な術だ。誰もが少しだけ背伸びしながら、誰かの人生に選ばれる準備をしている。
そして、意外な学びは“相手を見る目”よりも“自分を見る目”が鍛えられることだ。
メッセージが続かないと「話が下手なのか?」と落ち込み、急に途絶えると「もっと早く誘えばよかったか」と反省する。
けれど、それらの痛みは、社会で人と関わる力をそっと底上げしてくれる。言葉の温度やタイミングを意識し、相手のペースを尊重する心が芽生えていく。
結局、マッチングアプリで大事なのは“成功すること”ではない。
自分という人間を、他者とのやり取りの中で少しずつ磨くことだ。
出会いが続こうが途切れようが、その経験が自分の生活に小さな成長を残していく。
マッチングアプリは、恋の教科書ではない。
人生の「人間関係の練習帳」だ。
うまくいかないページがあっても、書き直しは何度でもできる。




