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21歳の母、泣きながら育てた日々

※このお話は、私自身の実体験をもとに書いています。

若くして母になり、誰にも頼れず、泣きながら笑っていた日々。

育児や人間関係、トラウマと向き合う中で、何度も立ち止まりながら、それでも前に進もうとした記録です。

同じように悩みながら頑張っている誰かの心に、少しでも寄り添えたらと思いながら綴っています。

※一部に過去の虐待や心の傷に触れる描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。

息子が5ヶ月を迎えた頃、私たちは新しいマンションへと引っ越した。

 それまで住んでいたのは、2DKの小さな部屋。けれど、今度の家は少し広めの2LDK。実家にも徒歩で行ける距離で、周囲にはスーパーも、公園も、病院も、幼稚園も揃っていた。


 あの頃の私は、微妙な関係になりつつあった実家にも、どこかでまだ縋りたい気持ちを抱えていた。仲良くできるなら、そうしたいと思っていた。

 だからこそ、この引っ越しは、旦那が私の心情を汲んで決めてくれたものだった。

 新しい環境に胸を膨らませながら、「これでちゃんと育児ができる」と、自分に言い聞かせていた。


 引っ越して間もなく、「赤ちゃんクラブ」という親子交流の場に通うようになった。少し距離はあったが、息子をベビーカーに乗せて、私はゆっくりと歩いて通った。


 けれど、そこにいたお母さんたちは、私より10歳以上年上の人が多かった。

 仕事を経験し、人生を一通り歩んだあとに母親になったような、落ち着いた雰囲気の人たち。

 社会に出たこともなく、コミュニケーションも得意ではなかった私は、彼女たちの中に混ざるだけで、どこか居心地の悪さを感じていた。


 それでも、「息子のため」と自分に言い聞かせ、私は勇気を出して話しかけた。

 少しずつ仲良くなり、一緒に遊ばせたり、時には外出したりするようにもなった。


 ……けれど、やはりうまくはいかなかった。


 息子はこだわりが強く、なかなか物を貸せなかった。

 他の子が作った積み木を、突然壊してしまうこともあった。

 何度注意しても直らず、私は困り果てていた。


 保育士の先生も、どこか冷ややかな目で私たちを見ていた気がする。

 他のママたちは育児に自信があり、自分なりの子育て論をしっかりと持っていた。

 そんな中で、落ち着きなく見える息子を、きっと影で批判していたと思う。


 そして――そんな息子を育てている私のことも。


 今思えば、あのときの私は、見た目からも浮いていたのかもしれない。

 周囲のお母さんたちがナチュラルで品のある服を着ている中、私は短めのショートパンツに、体のラインが出るトップス。

 若い自分を精いっぱい保とうとしていたのかもしれない。でも、それがかえって誤解を招いていたのだろう。


 自分にも非はあったと、今なら思える。

 でも――あのときの私は、本当に精いっぱいだった。


 無理がたたって、回転性めまいになり、点滴を受けるほど体を壊したこともあった。

 それでも、育児をやめるわけにはいかなかった。私がやるしかない、それしかなかった。


 そうして月日は流れ、2年が経った。

 そして私は、二人目の子どもを授かることになる――


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

書きながら当時のことを思い出すたびに、胸が苦しくなったり、涙がこぼれたりしました。

でも、あの頃の私も、必死に生きていた。そう思うことで、少しずつ許せるようになってきた気がします。

もし、この物語の中に、少しでもあなたの心に触れる場面があったのなら――

それだけで、私は書いてよかったと思えます。

感想などいただけたら、とても励みになります。

どうか、あなたにも穏やかな日が訪れますように。

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