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第14話:青髪ヒロイン、文化祭の余韻とざわめき、俺の日常が戻らない

文化祭が終わって一週間、教室はいつもの静けさに戻ったはずなのに、なんか空気が違う。窓際の席で、俺はノートに落書きしながらぼーっと外を眺める。秋の陽射しが校庭を照らし、体育の授業で走り回る下級生の声が響く。雑用係の役目も終わり、平穏な高校生活が戻ってくる…はずだった。

「なあ、崚雅、物語の流れなら、文化祭の後は日常回だろ、でも納戸さんのジンクス破れ、絶対伏線だぜ!」

辛康太が机に肘ついて、ニヤニヤ絡んでくる。こいつのラノベ脳、ほんと休まねえ。

「お前、また変な視点だな、ジンクス破れただけだろ、普通に過ごしたいだけだ」

「普通? 親友として、もっと物語に絡めよ!」

「親友って言うな、ほら、宿題やれよ」

康太が笑ってノート開く。けど、ジンクスの話、確かに頭に残る。キャンプファイアで納戸瑠璃が飛松大翔に告白して振られたこと、100%成功のジンクスが初めて破れたって、クラス中がまだザワついてる。

昼休み、購買のパンをかじりながら廊下を歩く。納戸さんが教室の隅で、いつもの『古の封印』をパラパラめくってる。青髪が陽射しでキラッと光る。彼女、いつも通りだけど、なんか静かだ。

「よ、納戸さん、文化祭お疲れ」

俺が声かけると、彼女が本を閉じてニコッと笑う。

「うん、臼木君もお疲れ、雑用、ほんと頑張ってたね」

「まあ、便利屋扱いだっただけだ、納戸さんのドリンク、めっちゃ評判だったな」

「ふーん、ありがと、みんな喜んでくれて、よかったよ」

彼女の笑顔、いつも通りだけど、キャンプファイアの夜の硬い笑顔がチラつく。飛松に振られたこと、ジンクス破れたこと、気にならねえわけないよな。

「臼木君、納戸さん、ねえ、文化祭のジンクス、ほんとびっくりだったよね! 100%だったのに!」

林奈緒、美術部のボブカット女子が、トレイにジュース持って割り込んでくる。声、相変わらず元気だ。


「林、お前もまだその話か、意外と噂好きだな」

「だって、初めて破れたんだよ! 納戸さん、大丈夫?」

林が目を丸くする。納戸さんがクスクス笑う。

「うん、大丈夫だよ、林さん、気にしすぎ、ジンクスなんて、ただの話だし」

彼女の声、軽いけど、なんか無理してる気がする。俺、思わず口開いた。

「納戸さん、ほんとに大丈夫か? あの夜、結構ザワついてたし」

「ん? うん、ほんと大丈夫、臼木君、優しいね」

納戸さんが笑う。優しいって、別にそんなつもりじゃねえよ。康太が購買から戻ってきて、パンかじりながら絡む。

「納戸さん、ジンクス破れても輝いてたぜ! アニメなら、ここでヒロインの新章スタートだな!」

「お前、また変なこと言うな、どうでもいいって」

「どうでもよくねえ! 俺のキャラ設定、物語の鍵握る親友だぞ!」


康太がニヤニヤ。納戸さんが笑って、机にバッグ置く。星形のチャームがカチャッと音を立てる。陽射しで、なんか一瞬光った気がした。いや、気のせいだろ。

午後の授業、数学の山田先生が数式をガリガリ書く。納戸さんがノートにメモ取りながら、時々『古の封印』をチラッと見てる。表紙の円形模様、妙な雰囲気。あの本、彼女がいつも持ってる理由、気になるけど、詮索は俺のキャラじゃねえ。

放課後、康太と掃除当番。モップかけながら、康太がまたジンクスを持ち出す。

「なあ、崚雅、納戸さんの告白、飛松に振られたって、なんか普通じゃねえよな、ジンクス100%だったのに」

「お前、まだその話か、普通に振られただけだろ」

「普通じゃねえ! ラノベなら、ジンクス破れは大事件の前振りだぜ!」

「いい加減にしろ、康太、お前の妄想、疲れるんだよ」

康太が笑ってモップ振り回す。けど、ジンクス破れたの、確かに引っかかる。飛松、クラスのイケメンで、悪い奴じゃねえ。納戸さんが転校してきてから気になってたって、相当本気だったはずだ。

掃除終わりに、納戸さんが教室にバッグ取りに戻ってきた。青髪をシュシュでまとめて、なんかリラックスしてる。

「臼木君、辛君、掃除お疲れ、帰る?」

「ん、ああ、帰るよ、納戸さんは?」

「私も、ちょっと用事あるけど、すぐ帰るよ」

彼女がバッグ肩にかける。チャームがカチャッと音を立てる。康太がニヤッと笑う。

「納戸さん、用事って、恋の新章? アニメなら、次のターゲットが!」

「辛君、ほんと面白いね、恋とか、しばらくいいかな」

納戸さんが笑う。しばらくいい? なんか、いつもより軽いな。ジンクスの件、ほんとに吹っ切れたのか?

彼女の青髪。こんな不思議な余韻、俺の静かな高校生活には似合わないな。



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