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第12話:青髪ヒロイン、文化祭本番前半で存在感、俺の雑用が止まらない

文化祭本番の朝、教室は熱気で溢れていた。窓にはカラフルなポスターが貼られ、カウンターにはドリンクボトルやカップが整然と並ぶ。雑用係として、氷のクーラーボックスを運びながら汗を拭う。辛康太はカウンターの装飾テープを貼り直し、ニヤニヤしてる。

「なあ、崚雅。物語のパターンなら、本番初日はキャラの魅力が全開だろ。納戸さんのドリンク、今日バズるぜ」

康太が眼鏡をクイッと上げる。こいつのラノベ脳、いつもの調子だ。

「お前、また変な視点だな。ドリンクは楽しみだけど、運ぶだけでいっぱいいっぱいだ」

「運ぶだけ? 親友として、もっと目立たせろよ!」

「親友って言うな。ほら、テープ貼れよ」

カウンターでは、納戸瑠璃がドリンクチームとボトルを並べてる。青髪をポニーテールにまとめ、白いエプロンが妙に似合う。ベリーとシトラスの香りが漂い、ケーキは脇役で、ドリンクが主役だ。

「臼木君、こっち置いて!」

林奈緒、美術部のボブカット女子が、予備の紙カップをドサッと渡してきた。

「林、毎回俺か? 雑用係、休む暇ねえぞ」

「だって、頼りになるんだもん! よろしく!」

林が笑って去る。ったく、便利屋じゃん。カップをカウンター脇に運ぶと、田中彩花がラベル貼りながら話しかけてきた。

「臼木君、雑用大変だね。納戸さんのドリンク、試作からさらに進化してるよ。シトラスミックス、めっちゃ爽やか!」

「進化? 前のベリージュースもすごかったけどな」

「でしょ! 今日のは味に奥行きあるって、みんな言ってる。納戸さん、センス良すぎ!」


田中がメガネをずらして興奮。納戸さんのドリンク、試作のレモネードやベリージュースからどんどん洗練されてる。今日はシトラスベースらしい。

カフェがオープンすると、客がどっと押し寄せた。クラスメイトの女子が「このジュース、最高!」と騒ぎ、男子が「ドリンクだけで十分だな」と笑う。納戸さんがカウンターでボトル振って注ぐ姿、なんかキラキラしてる。

「臼木君、辛君、忙しいけど、楽しいね」

「楽しいって、納戸さんは余裕だな。俺、氷運びでバテてるぞ」

「ふーん、バテないでよ。ほら、ジュース飲んで」

納戸さんがシトラスジュースを渡してくる。一口飲むと、柑橘のキレと微かな甘みが広がる。試作より深みがある。

「納戸さん、これマジ美味い。バカ売れするだろ」

「ありがと。失敗しないように、頑張ったんだ」


納戸さんの笑顔、いつもより明るい。康太がボトル並べながら割り込む。

「納戸さん、これ優勝! 前のベリージュースも神だったけど、こっちは次元違うな!」

「辛君、ほんと大げさ。喜んでくれるなら、嬉しいよ」

クラスメイトの男子が「ジュース、すぐ売り切れそう!」と叫ぶ。林も「納戸さん、ドリンク完璧!」と手を振る。教室が賑わう。

昼過ぎ、客足が少し落ち着いて、俺はカウンター裏で一息。納戸さんが描いた看板、控えめな花の模チーフが目を引く。朝、美術の田中先生が「雰囲気いいな」と褒めてた。なんか、妙な既視感あるけど、まあいいか。

「臼木、氷補充! 倉庫行って!」

クラスメイトの女子が叫ぶ。名前? 知らんでもいいや。体育館の倉庫に走ると、演劇部の舞台や軽音部のライブが盛り上がってる。文化祭、めっちゃ熱いな。

倉庫で氷の袋見つけて、教室に戻る。汗だくで置くと、納戸さんが水のペットボトル差し出す。


「臼木君、雑用お疲れ。ほら、飲んで」

「サンキュ、納戸さん。助かる」

水をゴクゴク。納戸さんはカウンター拭いてて、青髪が汗で張り付いてる。なんか、いつもより気合い入ってる。

「納戸さん、ドリンクバカ売れだな。めっちゃ目立ってるぞ」

「ん、目立つのは苦手だけど…みんな喜んでくれて、楽しいよ」

彼女の目、キラッと光る。なんか、いつもと違う雰囲気だ。

午後、カフェの準備が一段落。康太が予備のポスター持ってきて、ドヤ顔。


そこに、田中がドリンク補充しながら話しかけてきた。

「ねえ、臼木君、辛君。夜のキャンプファイア、楽しみ? ジンクス、知ってるよね?」

「ジンクス? 踊った相手と告白が100%成功するってやつな」

俺が言うと、康太が目を輝かせた。


「それ! ラノベなら、恋の急展開だろ! この学校のジンクス、ガチで当たるって!」

「ガチ? ほんとに成功した奴いるのか?」

俺が半信半疑で聞くと、林が横から割り込む。

「いるよ! 去年の先輩、ジンクス通りにカップルになったって! 納戸さん、気になる人いる?」

林の質問に、納戸さんが一瞬、ボトルを持つ手を止めた。

「ん、そういうの興味ないよ。…まあ、いるっちゃ、いるけど」

納戸さんがポツリと言う。いる? 誰だよ。聞き返しそうになったけど、堪えた。康太が「ほら、来た!」と耳元で囁く。

「お前、また変なこと考えてんだろ。いい加減にしろ」

「考えてねえ! 俺のキャラ設定、鍵握る親友だぞ!」


康太がニヤニヤ。納戸さんは笑って誤魔化した。

「辛君、ほんと面白い。臼木君、氷まだある?」

「はいはい、持ってくるよ」

夕方、カフェの営業が一段落。納戸さんがカウンターで一息ついてる。バッグから『古の封印』を取り出し、パラパラめくる。表紙の円形模様、妙な雰囲気。ページの端、一瞬何か動いた気がした。いや、気のせいだ。

「納戸さん、今日、めっちゃ輝いてたな」

俺が言うと、彼女は本を閉じて笑った。

「ふーん、輝いてる? まあ、こういうの、楽しいから。明日も頑張ろうね」

「明日も? まだ続くのかよ」


「うん、夜のキャンプファイアもあるし。臼木君、楽しみにしてて」

納戸さんの笑顔、なんか意味深。気になる人、ジンクス、関係あるのか? 詮索やめろ、俺。

家に帰って、ベッドに転がる。納戸さんのドリンク、看板、ジンクスの話。気になる人、誰だよ。




こんなドラマに巻き込まれるタイプ、俺じゃねえよな。

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