衝撃の事実
リナとの主従契約を解除したアインツェルゲンガー
親しき友として守ることを改めて誓うのでした
「ひとまず一段落つきましたわね」
「はい、ローラ様」
ぐう
アイリーンのお腹が鳴りました
「バカリーン、少しは空気を読め」
「しょうがないでしょ、もうお昼なんだから」
「そうですね、昼食の準備を致しますから皆様は食堂へ」
アネラが食堂へ案内しようとします
「ではわたしは厨房へ参ります
ローラ様をお願いしますシュナイダーさん」
ジャンヌは眠っているメルのそばにいるのでシュナイダーに頼みます
「私も手伝おう」
「アインさん、料理できるのですか?」
「レイリックの食事は私が作っていたからな」
「なるほど、ではお願いします」
アインも厨房へ行くことにしました
ガバッ!
「むにゃ・・・」
勢いよく起きるメル
「メル、起きたか」
「ジャンヌ、お姉さん、、、」
ガシッ! とジャンヌに抱きつくメル
「どうしたメル?」
「だってまたどこかへ行くんじゃないかと」
「もう黙って行かないから安心しろ」
「うん」
ジャンヌから離れるメル
ですが服の裾を軽くつまみます
「これから昼食だ、一緒に食堂へ行こう」
「うん」
メルを連れて食堂へジャンヌも移動します
昼食を終えて談話室へ集まる一同
「アインツェルゲンガーさんの方は一段落ついたようなので
私たちの用件に入ってよろしいですか?」
「そうですわね、構いませんわフェリスさん」
許可を得たフェリスがジャンヌの前に跪く
続いてアイリーンとカナンも跪く
メルはジャンヌの横に座ったまま首をかしげる
「フェリス先生、どうしたの?
わたしもやった方がいいのかな?」
「メルはそのままでいいわ、ジャンヌ様の眷族のようなものだから」
よくわからないメルはとりあえず座ったままにします
「ジャンヌ様、改めて謝罪致します
帝国の上層部が不敬を働いたこと申し訳ありませんでした」
跪いたまま深く頭を下げて謝罪するフェリス
「えと、ジャンヌ、様、無礼な態度をして申し訳ありませんでした」
「アイリーンも反省していますのでお許しいただけないでしょうか」
アイリーンとカナンも同じく頭を下げる
「なんだなんだ? アイリーンが何かしたっけ?
まあノートンたちはメルを傷つけたりしたけど」
困惑するジャンヌ
「ジャンヌ様に勝負を仕掛けたり無礼な言葉遣いをしていました
アイリーンにはきつく叱っておきましたのでお許し下さい」
「別に気にしていないぞフェリス、あと様付けやめてくれ」
このやり取りを見ている他の面々は首をかしげます
「フェリスさん、なぜジャンヌさんにそこまでへりくだるのでしょうか?」
「そうだぞ、我はお前たちも友達だと思っている、メルの仲間だからな」
リナとジャンヌの問いにフェリスは答えます
「ジャンヌ様は帝国の守護竜様でございます
衰退しかけていた王国時代を救い、帝国へと発展させて下さいました
ジャンヌ様のおかげで今の帝国があるのです」
ヘンリーと出会い王国のために魔獣や魔物を追い払いました
それにより国は発展していき帝国へと変わりました
「たしかに我は魔物や魔獣を追い払った
だけどそれは友達との約束を果たしただけだ
そんな神様扱いされたかったからじゃない」
「もちろんわかっております
ですが私たちがジャンヌ様へ不敬を働くことは許されません
ジャンヌ様は守護竜様というだけではないからです
守護竜様という立場だけではなくもう一つ重要なお立場なのです」
「我、守護竜以外になんかあったっけ?」
ジャンヌ自身よくわかっていないようです
不敬とは思いつつも呆れるフェリスでした
「ジャンヌ様は寛大でございますから気にしてはいないようですね
そのためそのもう一つのお立場のことも意識していないのでしょう
そもそもそのお立場のこと自体ご理解いただけていないのかも知れません」
「その立場って何だ? というか頭上げてくれ」
「わかりました、ご説明いたします」
フェリスたちは頭を上げる
「約500年前、レイアルは王国から帝国へ変わりました」
「そうだぞ、その時代のことはよく覚えている」
「初代皇帝としてレナード様が即位されました」
「うんうん」
レナードは小さい頃からジャンヌと一緒に遊び回っていた
ジャンヌに山登りの楽しさを教えてくれたのもレナードでした
「レナード様は即位後、三人の皇妃様方を迎えることになりました
第三皇妃デイジー様、第二皇妃マーガレット様、そして」
「我だな♪」
「はい、第一皇妃ジャンヌ様でございます」
フェリスの発言により談話室にほんのわずかの静寂が訪れる
「まあまあ、ジャンヌさんは結婚していらしたのですか」
「なんと、これは驚きましたな」
「そんなバカな!」
ローラ、シュナイダー、リナは衝撃の事実に驚きます
「そうだぞローラ、あとリナ先輩失礼だぞ?」
「だ、だってとても既婚者とは思えないもの」
ほぼ全員がリナの発言に心の中で同意していました
しかも第一皇妃、すなわち帝国の最初の皇妃ということになります
「初代皇妃であり今もご健在のジャンヌ様はれっきとした皇族です
平民はもちろん貴族であっても不敬は許されません
ジャンヌ様はそういったお立場なのでございます」
守護竜、初代皇妃、現存する皇族の一人
現皇帝ノートンにとっては先祖の皇帝の妃という立場の相手
そんなジャンヌを魔獣呼ばわりしたり使役しようとしたのである
現在絶賛猛省中なのでした
「我はレナードと結婚しただけでそんな立場なんて考えてなかったしな」
皇帝になったレナードと結婚していても昔と変わらない関係でした
山にも行くし公務を抜け出して遊んだりもしていました
「それでは現皇帝はジャンヌさんの血を引いているのでは?」
リナが恐る恐る聞いてみる
「いえ、ジャンヌ様との間にお世継ぎはありませんでした」
系図ではジャンヌとの子供は書かれていませんでした
だからと言ってレナードに愛されていなかったわけではありません
「そりゃ交尾していないからな」
「言い方!」
リナは真っ赤になって怒ります
当時のジャンヌの人化時の見た目年齢は13歳
さすがにレナードは手を出しませんでした
「他の皇妃の方たちはジャンヌさんを疎まなかったのでしょうか?」
ローラはジャンヌが辛い目にあったのではと思いました
「マーガレットもデイジーも友達だ、一緒にいっぱい遊んだぞ♪」
他の皇妃二人も小さい頃からの付き合いだったので仲は良かったのです
「それならば良かったですわ」
「ジャンヌ様、これまでの数々の不敬をお許し下さいませ」
改めて深く謝罪するフェリスたち
「いいよ、許すから頭を下げるのやめてくれ
あと様付けもやめてくれ」
「さすがに敬称を付けないのは出来かねます」
「困ったなあ」
しょうがないので様付けされるのは我慢することにしたジャンヌ
メルがジャンヌから離れてフェリスたちのところへ行った
「メル?」
メルはフェリスの横で跪く
「えっと、ジャンヌ、様?」
「やめてメル! 泣くぞ!」
メルが様付けすることだけは断固拒否するジャンヌでしたとさ




