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聖王女のまったり魔境ライフ  作者: 長城万里
Mattari 3

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91/103

いつかきっと出会うための未来へ繋ぐ

アインツェルゲンガーとレイリックは末裔者探しの旅を続けます

年間に三人から五人と出会い確認をして情報も集めていきます

数は少ないですがレイリックのおかげで確実に出会えます

数十年出会えなかったことを考えれば上々です


道中、アインはレイリックから系図を使った探し方のコツを教わります

他にも探すために必要な知識や情報の使い方なども教えられる


また出会ったときの対応の仕方も学びます

相手は末裔者であることを知りません

いきなりお前は末裔者だ、証しを確認させろと言えません

変人扱いで警戒されてしまいます

下手をしなくても警備の兵士に捕まります


レイリックは相手と接するのが非常にうまかった

持ち前の明るさと話術で相手とすぐに打ち解けていきます

アインはそれを羨ましく感服します


「私には難しいな」


「君は君のやり方で接すればいいと思うよ

 いきなり本題から入らないこと、高圧的にならないこと

 感情的に話さないこと、相手の気持ちに寄り添うこと

 少なくともそれらを意識すれば大丈夫だよ

 大事な点は色々あるけど君なら大丈夫だと思う

 なんか子供には好かれているみたいだからね」


アインやデモニッソスの民たちは子供を大事にします

そのためアインへの警戒心も和らいでいました


レイリックから様々なことを教えられながら旅は続く

そしてレイリックが60歳を過ぎたころ旅は一旦止まります




とある大陸にてレイリックは屋敷を買いました

街からは近いですが少し森のような場所にある屋敷

隠居した魔法使いがひっそり住むような佇まいでした


「レイ、末裔者探しの旅をやめるのか? 私一人だとまだ不安なのだが」


たくさんのことを教わりました

コツもつかんで今ではアインも確認交渉が単独でもできています

それでもレイリックが一緒でないと不安になります


「やめるわけじゃないよ、ただ今後のために一時中断だ」

「今後のため?」


「君は悪魔、僕は人間、生きられる時間の差が違い過ぎる」

「それは・・・」


年々、年老いていくレイリック

ほぼ老化しないアイン、悪魔と人間では寿命に大きな差があります


すでに60歳を過ぎているレイリック

100歳まで生きたとしても残り約40年である

悪魔や魔族、竜族からすればほんの数年のようなもの

別れのときは確実に近づいています


「ここで隠居生活でもするつもりか?

 それなら一時中断ではなく旅を終えるということではないのか」


「そうだね、僕自身の旅はここで終わるだろう、でも君の旅はまだ続く

 探すんだろう? 神の子の末裔を」


「当たり前だ、ソレイユ様たちと誓ったのだから

 それに神力に苦しめられる者をもう死なせたくない

 私と契約すれば助けられることはレイが教えてくれた」


まだ共に旅を続けようと言いそうになったがアインは言葉を飲み込む

レイリックの言うとおり命の時間に差があり過ぎる

そして年老いていく人間にこの旅は厳しい


「・・・わかった、これからは私一人で探すとしよう

 今までたくさんのことを教えてくれてありがとう

 私はまた旅に出るが一年に一回は絶対に会いに来るからな、息災でいろよ」


「なにを言っているんだい? 当分君もここにいてもらうよ」

「はあ? 私にも旅をやめろと言うのか?」


「違うよ、今後のためって最初に言ったろ」

「ああ」


「末裔者の探し方、相手との接し方など色々教えた

 今では君一人でもできるぐらいにはなった」


「レイのおかげだ、感謝している」

「だけど一人で探すとなると厳しいだろう」


レイリックは決して自身一人の力で探していたわけではありませんでした

自身が出している本の出版社の人たちの力も借りていました

彼らの人脈や伝手、情報網などを利用して探していました

それに出会った末裔者たちからの情報、また伝手も借りていました


「たしかにレイの人脈などのおかげで末裔者探しは順調だった

 しかしそれはレイの力で私の力ではない」


アインにその人脈は使えません

レイリックだからこそ貸してくれていた力なのですから


「末裔者の力は君自身が頑張れば借りれるだろう」

「そうだな、だが出版社の力は無理だろう」

「大丈夫、各出版社には力を貸してもらえるようにお願いしたから」

「はあ?」


アインを連れて出版社へも行っていました

そのときにアインのことを何度もお願いしていたのです


「貴様という奴は、、、 私は貴様への恩をどう返せばいいのだ

 あまりにも大きすぎる、なにをすれば報えるのかわからない」


「そうだね、僕の寿命が尽きるまでは一緒にいてくれ

 僕には子供どころか妻もいない、僕の最期を看取ってくれアイン」


さみしそうな笑顔で優しく笑うレイリック

ずっと旅をしていて結婚もせず恋人も作らなかったレイリック

実家とはすでに絶縁状態のため孤独な死を迎えることになります

だから共に旅をつづけた親友(とも)に看取って欲しいのです


「わかった、貴様の最期は私が看取ろう」


もちろんその程度では報えていないとアインは思っています

それでもレイリックが願ったことなら叶えようと誓います




屋敷で暮らし始めてアインはレイから魔法陣の書き方を教わります

そして末裔者へ向けた手紙を神代文字で書きます

魔法陣の文字も神代文字を使います


神代文字、神々が地上に頻繁に降りてきていた時代の文字です

末裔者の半数以上が神代文字を読めるのです

神の子の因子を濃く受け継いでいる者は読めるようです


手紙は神代文字を読めないと読めません

すなわち末裔者ならば読める確率が高いのです

もちろん末裔者以外でも読める者はいるでしょう

ですが世界でもほんの数人程度であるとレイリックは言います

なので確実に末裔者へと伝わります


「手紙と魔法陣を書いたがこれをどうするのだ?」

「出版社へ持っていく」


広告として手紙と魔法陣をセットで配布してもらうのです

そして自身の出した本にも追加で載せてもらおうと考えています


ほぼ世界中の出版社で本を出しているレイリック

広告または本を見る末裔者もいるはずです


旅をして探すだけではすれ違ったり見逃したりします

これにより取りこぼしていた末裔者も見つけることができるのです


「本当にレイはすごいな」


「アインもすごいよ、教えたことはすぐに覚えるし

 すぐに応用もして使いこなせている」


「褒めてもなにも出んぞ」

「残念、料理が豪勢になるかと期待したのに♪」

「まったく貴様という奴は」


出会ったころから変わらない性格のレイリック

呆れながらも笑顔になるアイン


この日の夕食に一品追加されました

ちなみにアインが料理を作っていましたとさ




手紙と魔法陣が完成したので再び旅が始まりました

今回は末裔者探しではなく出版社巡りとなります


レイリックが本を出している出版社をすべて巡ります

この世界中にあるほぼすべての大陸の出版社から本を出していました

そして各出版社にはレイリックと懇意にしている者たちが大勢います


年々年老いていくレイリックに世界中を巡る旅は厳しい

それでもレイリックは笑顔を絶やさず旅をします

アインはレイリックを支えます


各出版社の者たちはレイリックの頼みを快く引き受けてくれました

広告も本への追加も世界中で広がっていきます


手紙の内容は末裔者へ伝えたいことが書かれています

神の子ソレイユのこと、神力を持った末裔者のこと、その見分け方

覚醒した神力の制御方法、そして魔法陣の使い方などが書かれています


魔法陣は神力所持者が中央に立って詠唱をします

詠唱は手紙に書かれています


追記でアインからのメッセージも添えられていました


『神の子の末裔である貴方を必ずお守り致します』


神力に翻弄されて死んでいった者たちがいる

少なくとも契約できた者だけでも救いたいと願っていました


そしてすべての出版社を巡り終わって二人は屋敷へ帰りました




長い旅が終わりレイリックは83歳になっていました

やれるだけのことをやって一息がつきました


長い旅路の果て、心身共に疲れてます


「アイン、これで末裔者探しが少しは楽になったよね」


「ああ、少しどころかものすごく楽になった

 私一人ならここまではできなかった、感謝する」


レイリックは衰え寝たきりになっていました


「僕には家族がいない、友と呼べる者もいなかった

 でも君に出会えた、これは神の導き、すごい奇跡だよね

 女神ルミナス様、神の子ソレイユ様に感謝します」


両手を組んで目をつむり感謝を祈るレイリック

アインも共に女神と神の子へ感謝の祈りを捧げた


「これまでありがとうアイン、僕は幸せだったよ」

「私こそレイと過ごした日々は幸福であった、ありがとう」


レイリックの手を取るアイン


「いつかきっと神の子の末裔と出会えることを祈っているよ」

「ああ、レイがその未来へと繋いでくれた、絶対に出会える」


アインは力強く断言した、絶対に出会えると

そんなアインに優しく微笑むレイリック


そして、レイリックは深い眠りについた




レイリックの死後、アインは末裔者探しの旅を再開する

屋敷は結界を張り、認識阻害の魔法をかけていきます

レイリックとの想い出の屋敷、誰にも荒らされないためです


手紙と魔法陣が広まっているので末裔者探しは楽になりました

それでも神力所持者と出会えないまま歳月が過ぎていきました


「私は諦めない、いつかきっと出会える

 そのための道をレイが繋いでくれたのだから」


そして永い刻を経て、ついに召喚されました

アインはようやく出会えると歓喜する

しかしその場に神の子の末裔はいなかった


いたのは間違った召喚をした男が一人

しかも大勢の子供を犠牲にしていました

その男に罰を与え、子供たちの亡骸の墓を作ります


ニコルと出会い契約者がリナという名前だと知ります

リナは魔王セラフィムの館にいることはわかっています

アインは館へ向かいメルたちと出会い館へ辿り着く


ようやく神の子の末裔、リナと出会えました


「悪魔を代表して貴女の祖先に感謝致します

 そして古の約束、誓いを果たすために参りました

 今この刻より私は貴女の従者でございます

 貴女の命尽きるまで生涯お供致します」


(レイ、貴様が繋いでくれた未来、辿り着いたぞ)


レイリックが繋いでくれた未来へ辿り着く

神の子ソレイユとの約束、誓いが叶えられた瞬間

アインツェルゲンガーの魂は喜びに震えていましたとさ

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