神力を宿した者の証し
港町へ向かいながら話をするアインとレイリック
「ソレイユ様の末裔だと知れたのになぜまだ旅を続けているのだ?」
「僕以外の末裔者から情報を集めるためさ
悪魔のことも末裔者のことも本にしたいからね
悪魔が悪い存在ではないことも伝えたいし」
「本? 個人が出したところで大して広まらないであろう?」
「広まるよ、僕はすでにいくつか本を出しているからね
あちこちの大陸で出版してもらっているんだよ」
レイリックは旅を始める前から作家として本を出していました
旅をしながらも執筆をして着いた先の出版所に売り込んでいました
おもに冒険小説が多く、人気もあるため業界ではそれなりに知られています
「それなりに売れてお金も口座に振り込まれているのさ
各大陸の商業ギルドの銀行窓口でそのつど必要な額を下ろしている
そのおかげで旅を続けられているんだよ」
「なるほど、ギルドへ行ければ食いつなげられるわけか」
「そういうこと♪」
話しながら歩いているうちに港町へ着きました
さっそくレイリックはギルドでお金を下ろします
陽も暮れてきたので二人は宿をとります
夕食を食べながらレイリックが聞きました
「ところでアインはどうやって神力のあるなしを見分けているんだい?」
「魔力とは違うからな、違う力の波動があるか感じ取るだけだ
ルミナス様とソレイユ様の力の波動を覚えているからわかる
しかしいまだに神力を持った者とは出会えないのが口惜しい
ん? レイ、どうした?」
レイリックはアインを呆れ顔で見ていました
「君さ、賢いように見えて案外雑で考えなしだよね」
「貴様、いきなり愚弄するとは何事だ!」
「だって神力が覚醒前だったら感じ取れるわけないよ」
「覚醒前?」
「僕が調べてわかったことがいくつかあるんだ
この際だから教えてあげるよ」
レイリックはアインに説明します
「神力を持って生まれたとしても覚醒前だとただの人
覚醒して初めて神力の所持者となるんだ
そもそも赤子のときから神力を発動させていたら死ぬよ?
身体が神力に耐えられないからね
母親だってお腹の中で神力飛ばされたら死ぬしね」
アインは自身の浅慮に愕然としました
「成長しても覚醒しないまま一生を終えることもあるだろうし
覚醒する時期、きっかけなんかもひとそれぞれ
アインが会ったときには覚醒前だったかも知れない
だから見つけにくいのはわかるよ」
「そうか、私は色々見落としていたのだな」
少し落ち込むアイン
「僕が知るかぎり六人覚醒者がいたよ」
「は? 出会えたのか?」
「会えたのは一人だけであとの五人は情報だけさ」
「待ってくれ、ならばその者たちはまだいるのだろう?
頼む、どこにいるのか教えてくれ!」
レイリックは15歳から末裔者探しの旅に出ていました
現在までの21年の間に会ったことになります
それならばまだ生きているとアインは思いました
「無理だよ」
「なぜだ!」
「全員死んでいる」
「な!?」
「覚醒後、神力に耐えられなかったり扱おうと頑張ったけど暴走したりしたのさ
いきなり与えられた大きすぎる力の制御なんかできるわけないよね」
「そんな、それならどうすればいいのだ
覚醒前だと見つけられない、知らないうちに覚醒してすぐに死ぬ
私は、なにもできないのか、助けると約束したのに・・・」
絶望的な状況に押し潰されそうになるアイン
「だから僕は末裔者たちに会って伝えるために旅を続けている」
「伝える? なにを?」
「神力の所持者を見分ける方法を伝えるのさ
知っていればいつ覚醒しても心構えや対策ができるからね」
見分ける方法があったことに驚くアイン
「その方法とは、いやそれよりもなぜそんなことがわかった」
「いっぱい情報を集めて調べたからね」
31年に渡る旅の結晶である
たくさんの末裔者を探して出会い情報を集めた
決して簡単なことではない
それをやってきたレイリック
アインはレイリックに感服する
「出会えた一人は暴走したけど一命はとりとめたんだよ
その人は力の制御をとても頑張ったそうなんだ
その人から力のことを色々聞けた
そして他の五人の情報と照らし合わせて考えた
だからたくさんのことを知れたんだ」
「さっき全員死んだと言ったがその人は生きているんじゃないのか?」
「話をしてくれた数日後に息を引き取ったよ」
「そうか・・・」
助けられなかったことを悔やむアイン
「それで神力のあるなしを見分ける方法とはなんだ?」
「所持者には左胸の下あたりに薄く小さな星形の痣がある
死んだ六人の覚醒者には全員あったことは確認済みだ
それと女性が多いということもわかっている
六人中五人が女性だったからね」
左胸の下あたりに薄く小さな星形の痣、そして女性が多い
神力を持った末裔者を探すうえでとても有力な情報である
アインはレイリックに感謝した
「レイ、教えてくれてありがとう」
「どういたしまして♪」
素直に感謝されて照れるレイリック
「条件は狭められたけど確実に見つかるというわけじゃないからね」
「ああ、それでもかなり前進だ」
「僕はこれからも末裔者のもとへ向かって旅をする
アインもついてくれば出会えるよ
まあその人たちが神力所持者かどうかわからないけどさ」
「連れて行ってくれ、会わなければ始まらない」
「うん、一緒に行こう♪」
こうして二人の旅が始まるのでしたとさ




