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聖王女のまったり魔境ライフ  作者: 長城万里
Mattari 3

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女神の導き

「貴様、冗談でも言っていいいことと悪いことがあるぞ」


神の子ソレイユの末裔だと言うレイリックを睨むアインツェルゲンガー


「おいおい、僕が嘘を言っていると決めつけないでくれよ」

「貴様からは神力を感じ取れないし不真面目すぎる」

「ひどいなあ」

「私の信頼を得ようとしているようだがそれは悪手だぞ」


やれやれと言った感じで大きくため息をつくレイリック


「君さ、すべての末裔者が神力を持っていると思っているのかい?

 そもそも君自身がこれまで見てきた末裔者に神力がなかったんだろ

 だったら神力がないだけで嘘と決めつけてはいけないよ

 あと不真面目とか人間性は関係ないでしょ

 末裔者の中には犯罪を犯した者もいるはずだよ

 永い刻の中で血統は枝分かれしているのだから」


「そ、それは・・・」


レイリックの言葉に言い返せないアイン


「だが貴様が末裔だという証もないではないか」

「たしかに嘘か本当かの証明はどちらも難しいよね」


レイリックはリュックから数枚の紙を束ねた状態のものを出す


「書物のように束ねているが書物ではないのだな」

「うん、これは系図だよ」

「貴様の家の系図か?」

「新しいのはそうだけど違う家の系図も含まれているよ」


最初のページが一番新しい系図

そのあとは違う家々の系図が連なっていた


一番新しい系図はアルフォンス伯爵家の系図

レイリックの母親の名前に赤丸がつけられていた


次のページの系図が母親の実家の系図

その母親の祖母の名前にも赤丸がつけられている


次のページがその祖母の実家の系図

そのように赤丸がついた人物の系図へと繋がっていた


「これは何を意味しているのだ?」

「最後まで確認してくれ」


アインはそのまま系図を辿っていく

そして残り三枚のところで手が止まる


「これは、まさか・・・」


残り二枚のところで軽く手が震える


最後の一枚、見終わってそっとレイリックに系図を返す


「これはね、末裔者を過去へと辿っていった系図なんだよ

 順番に当たっていったから時間がかかったけど辿り着いたんだ

 僕が神の子ソレイユの末裔だということに」


残り三枚のところでアインの知っている子孫の名前を見つけた

残り二枚のところには実際に会って話したことのある者たちの名前があった

そして最後の一枚の一番上にソレイユの名前が記されていた

その下には生まれたときから知っている子供たちの名前がある


永い刻を経てソレイユとその子供たちのことを知ることは難しい

だからこそこの系図帳が嘘ではないことを理解した

すなわちレイリックが末裔であることの証明でもあった


「これで信じてくれるかい?」

「・・・ああ、これほどの証拠はあるまい」


ほっと胸をなでおろすレイリック


「しかしなぜ貴様は自身が末裔だと思って調べようとしたのだ?

 おそらくすでに語り伝えられてはいないだろう

 それなのによく末裔だと気づけたな」


「31年前、僕が5歳のときにね、悪魔に助けられたんだ」

「はあ?」


アルフォンス伯爵家四男のレイリックは幼き頃から奔放だった

あるときいつものように屋敷を抜け出して川へ遊びに行く

少し深いところに落ちて溺れてしまいます

その近くの森で狩りをしていた男が気づいて助けます


「その男が悪魔だったのか?」


「うん、僕は最初魔族かと思ったんだけど否定されたんだ

 その人が自分は悪魔だと色々説明してくれて知ったんだよ

 君もそうだけど悪魔ってあっさり教えてくれるよね♪」


バツの悪そうな顔をするアイン


「まあ悪魔でも魔族でも命の恩人だから気にしないさ」

「その者の名は聞いたのか?」

「うん、ベルゼと名乗っていたよ」

「ベルゼか、あいつも世界を巡る旅に出ていたからな」


レイリックはベルゼと友達になり毎日のようにその川近くで遊びました

そのとき様々な話をベルゼから聞きます


人間が勝手に悪魔と言っていること

本当はデモニッソスという種族の民であること

そして女神ルミナスとその家族に救われたこと


「とても感謝していることは子供心にも伝わったよ」


「だがそれなら神力を持つ末裔を助けることも聞いたのではないか?

 なぜ私が悪魔だとわかった時点で末裔だと言わなかった」


「神力を持つ末裔を助けることは言われなかったからね

 僕が子供だから言っても意味がないと思ったんじゃないかな

 それに聞いたとしても君に話してすぐに信じたかい?

 どうせさっきみたいに嘘だとか言って怒るだろ」


「う、それは、すまん」


ほんの少し反省するアイン


「助けられたのはわかったがどうして貴様が系図を調べ始めたのだ?

 私たちが助けるために末裔探しをしていることは知らなかったのだろう

 なにより貴様自身が末裔などと気づいてもいなかったはずだ」


「そうだね、最初は悪魔のことをもっと知りたくなって調べ始めたんだ

 色々調べていくうちにある神話を描いた書物を見つけたんだ

 女神ルミナスと邪神シュランゲの戦いの物語だったよ」


その物語は邪神に苦しめられている王国の民たちを助ける女神の話

レイリックはベルゼの話に似ていたため興味を持ちました


救われた民たちは女神に感謝します

女神はそのとき共に戦った勇者と恋に落ちます

そして子供を授かり末永く幸せに暮らしました

その子供たちは神の力を継承して王国を発展させます

王国の民たちはその子供たちの助けになってくれました


所詮は口伝などからの創造物のため事実とは異なります

しかし事実の口伝がベースのため部分的に事実も含まれています

レイリックはベルゼの話と物語を照らし合わせて考えます


もしかしたら悪魔たちは末裔者を探しているかも知れない

もしかしたら知らないだけで自分も末裔の一人かも知れない

ベルゼと出会ったのは女神が導いたのかも知れないと


もちろん末裔ではないかも知れません

もやもやするレイリックははっきりさせたいと思いました

まずは両親のそれぞれの系図から調べ始めます

そして永い刻と労力を使い神の子ソレイユへと辿り着きました


「そうか、すごいな貴様、いやレイは」

「アインも諦めず探していたんだろ、アインもすごいよ♪」


この出会いはきっと女神の導きだとアインは思いました

だけどこうも思いました


(もう少しマシな人物に出会わせて欲しかった)


とても失礼なアインでしたとさ

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