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聖王女のまったり魔境ライフ  作者: 長城万里
Mattari 3

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神の子の末裔

アインツェルゲンガーとレイリックは港町へ向かって歩き始めます


「ねえねえ、そろそろ君の叶えたい望みを教えてよ」

「同行は許可したがそれは別だ、まだ貴様を信用したわけではない」

「なるほど、では僕が何者なのかを知ってもらえればいいんだね」

「知ったからといって信用に値するかどうかは別だぞ?」

「知らないと信用もなにもないでしょ♪」

「・・・・・」


ああ言えばこう言うレイリックにうんざりするアインでした


「僕はレイリック・アルフォンス、アルフォンス伯爵家の四男だ」

「伯爵家の男がなぜ行き倒れるような旅をしているんだ」


「僕は家族の中で変わり者らしくてね、放置されているんだよ

 当たらず触らずって感じかな、廃嫡されないだけマシだけどね

 まあ廃嫡児を出すと家名に傷がつくからだろうけど

 おかげで自由気ままに旅をさせてもらえるからありがたいよ♪」


(へらへらと笑って言うことか?)


「だがそれならなぜ飲まず食わずになっていたのだ?

 廃嫡はしないが金も出してもらえないということなのか?」


「ううん、それなりにもらっているよ」

「だったら食事ぐらいできるだろう」


「それはとても悲しい出来事があったのさ

 川のほとりでくつろいでいたら襲われたんだよ」


「盗賊か? よく殺されなかったな」

「違うよ、猪が襲って来たんだ」

「それはそれでよく無事だったな」


「必死で木の上に登ったんだよ

 そのまま猪はまっすぐ走って行ったから怪我もなく無事さ

 ただ荷物を踏み荒らされてね

 お金を入れた袋の紐が猪の身体に巻き付いたようで持っていかれた

 おかげで食事どころか宿にも泊まれずさ

 いやあほんとに悲しい出来事だったよ、あははは♪」


「笑いごとか?」

「うん、悲しくったって笑っていればなんとかなるさ♪」


(たしかにこいつは変わり者だ)


呆れつつもレイリックの前向きさに感心するアインでした


「そもそもなぜ屋敷で過ごさなかったんだ?

 放置されていても金は出してもらえているんだ

 危険な旅などせずとも色々できるだろう」


「僕は世界を知りたいんだ、知らないことを知っていくことは楽しいよ

 まあ旅の一番の目的は悪魔のことを調べること、出会うことなんだけどね

 だから君と出会えたからとても嬉しいんだ♪」


「なぜ悪魔のことが知りたいのだ?」


「悪魔などと呼ばれているが彼らは悪い者ではない

 そしてどこかこの世界とは異なる種族のような気がする

 そう思ったら興味がわいて調べないと気が済まなくなったのさ」


(たしかに私たちは別世界から来たからな)


この世界の種族ではないことに勘付いたことに少し驚くアイン


「というわけでやっと悪魔に会えたんだ

 君からいっぱい悪魔について教えてもらうよ♪」


「厄介な奴と出会ってしまった、これは神の試練か」

「ひどいなあ」


厄介と思いつつもアインは少しだけ気分が良かった

悪魔を悪い者ではないと断言したレイリック

さらに別世界の住人であることを見抜いた感性

少し鬱陶しいところはあるが気を許し始めていました


末裔探しが暗礁に乗り上げた状況に気持ちが沈んでいた

けれどレイリックの前向きさに引き上げられていることに気づきます

末裔探しの役には立ちそうにないけれど一緒にいるのも悪くないと思うアイン


「次はアインが話しておくれよ、君の叶えたい望みは何だい?」

「仕方がない、教えてやる」


言ったところで前進はしないだろう

それでも一人で抱え込むよりかはいいかと話し始めます


「昔、私たちの一族は邪神によって滅ぼされかけた」

「ん? 邪神?」

「どうした?」

「いや、ごめん続けて」


レイリックの反応が気になりましたが話を続けます


「それを助けてくれた方々がいた

 その方々が邪神を討伐してくれて私たちは助かった

 そして私たちはその方々に尽くすことにしたのだ

 子々孫々、末裔に至るまでな」


女神ルミナスや神の子ソレイユの名は伏せます

神の名を出したところで信じてもらえないだろうと思いました


「だがその末裔の足取りが完全に途絶えて途方に暮れていたのだ」

「えっと、その末裔を探すことが叶えたい望みなのかい?」

「正確には違うが末裔が見つからなければ叶えられないからな」


正確には神の子の力を継承した者を見つけること

そしてその者に付き従うことが望みである


「邪神・・・ 悪魔・・・ 討伐したのが・・・ だとすると・・・

 あのときの悪魔・・・ ああなるほど・・・ ふむふむ・・・」


「なんだ?」


顎に手をやりブツブツと呟きながら思考に集中するレイリック

アインはどうしたのだと困惑する


「すべて理解したわけではないけれど色々と繋がったよ」

「何のことだ?」


「これまで悪魔について調べて知ったこと

 僕が実際に悪魔について知っていること

 そしてアインの話を合わせれば繋がったんだ」


「だから何がだ」


レイリックがふざけず真剣な顔で思考していた

アインは一抹の不安を抱えながらもわずかな希望が心をよぎる


「君たち悪魔は本当はデモニッソスの民なんだよね

 一部の民のせいで悪魔と呼ばれるようになったけれど」


「!?」


悪魔がデモニッソスの民であることを知っていたことに驚くアイン

だが調べているうちにどこかで知っただけだと思いを改める


「邪神の名はシュランゲ、助けてくれたのは女神ルミナス様とその家族

 ええと、夫のヴァリアントさんと娘のソレイユさんだっけ」


「な、なぜそれを知っている!?」


さすがに調べただけで知ることができるとは思えないことである


「じゃ君が探しているのは神の子ソレイユさんの末裔ということだよね?

 その末裔を探すことが叶えたい望みということかな

 でも正確にはそれだけじゃないんだよね?

 末裔を見つけてどうしたいのさ」


「待て、色々とおかしい、なぜ貴様はそこまで詳しいんだ?

 興味を持って調べたにしても詳し過ぎる」


「教えてくれ、末裔を見つけてどうしたいのか

 それを教えてくれたら僕も話すよ」


ふざけた男の顔はなく真剣に聞いてくる

アインは自分から話さないとレイリックはなにも言わないことを理解する


「助けていただいたから尽くすことにしたことはさっき言った

 だが付き従うべきは神の子ソレイユ様の力を継承した者だ

 神力を持って生まれれば様々な苦難を強いられるであろう

 今度はそれを私たちが助けるとソレイユ様に誓ったのだ」


レイリックはまた顎に手をやり考える、そして


「そうか、じゃ別に末裔を見つけて危害を加えるとかではないのだね?」

「するか! 大恩ある方の末裔に危害などもってのほかだ!」


天を仰ぎ大きく息を吐くレイリック


「安心したよ、君に攻撃されたら死んじゃうからね」

「はあ?」


「それにそういうことなら僕は君の望みを半分は叶えられたね♪」

「どういうことだ?」


ニッコリ笑ってレイリックは言う


「僕は神の子ソレイユの末裔だよ♪」

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