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聖王女のまったり魔境ライフ  作者: 長城万里
Mattari 3

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87/103

レイリック・アルフォンス

神の子の力を受け継ぐ者を探して旅立ったアインツェルゲンガー

まずはソレイユの子供たちがいるところを転々とする


ソレイユの子供たちは大人になってそれぞれ家庭を持っている

だがアインのことは子供の頃からの付き合いなので皆歓迎してくれた

しかしその子供たち、ソレイユの孫たちは少し恐がっていた


アインは長身で黒づくめの衣装でつり目がちな男であった

子供から見たら悪魔そのものでした(事実ですが)


アインはそれを察しているので長居はせず数日で次の場所へと旅立ちます

ソレイユの子供たちとその子供たちからは神力を感じませんでした

どうやらこの世代には神の子の力を受け継ぐ者は現れなかったようです


「次の世代かまたその先の世代か、いつになるかはわからないな

 それでも私はソレイユとの約束を忘れない」


ソレイユの孫やその子孫たちを見守りつつ気長に探すことにしました

デモニッソスの民たちは長命で老いるのが遅い

だからといって死なないわけではありません


「私が生きている間に出会えれば良いのだが

 もしものときは若い民に託すしかあるまい」


それでもアインは出会いたいと切に願っていました

ソレイユから直に託された想いを叶えたいからです

そしてアインツェルゲンガーの旅は続く




定期的にソレイユの子孫たちのいる場所へ確認に行くアイン

最初と違うのは会わずに遠くから神力を確認するだけにしていた

彼らにとってアインは見ず知らずの人物

会ってソレイユたちのことを言っても怪しまれるだけである

それがわかっているのでアインは会うことをしませんでした


永い孤独の旅が続きます

ソレイユの子孫たちの足取りが徐々に追えなくなっていきます

他の大陸へ移ったり、事故や災害で死んだり、所在がわからなくなる


そして300年が経ち、ついに足取りが途絶えます

それでもアインは探すことを諦めません

女神ルミナスの導きできっと出会えると信じて




大陸を渡り歩いて神の子の末裔を探していきます

手がかりもない雲を掴むような末裔探し

さすがにアインも心が疲れていきます


「少し休むか」


次の大陸へ行くため港町に向かう途中

木陰で休憩をします


道中の村で買ったパンを食べ始めます

食べながら景色を眺めていると少し遠くの方に一人の男が見えた


その男は少し大きめのリュックを背負っていました

近づくにつれて男の姿もはっきりしてきます


金髪碧眼で丸メガネの男

ヨロヨロ、フラフラしていました


ふいに男と目が合う

すると男はアインの前で倒れます


「大丈夫か?」


構う気はありませんでしたがさすがに目の前で倒れられたため尋ねました


「・・・お願いです、なにか食べ物、ください」

「物乞いか?」

「違うよぉ~」


情けない声で否定する男

仕方がないのでパンと水を与えます

男は必死でがっつきました


「ぐふぅっ!」

「慌てて食べるからだ」


水を飲ませて落ち着かせます

食べて飲んで落ち着いた男が安堵の表情になります


「いやあ助かりましたよ、ありがとうございます」

「そうか、それじゃ私はこれで」


アインは立ち上がり立ち去ろうとします

それを男は引き止めます


「待ってくれ、3日も飲まず食わずで助かったんだ

 君にお礼がしたい、なにかさせてくれないか?」


「いらん」

「つれないなあ~」


「目の前で倒れられてそのまま死なれたら目覚めが悪い

 だから施してやっただけだ」


「それでも助かったんだ、だからお礼をさせてくれ」

「私は金には困っていない」

「お金以外でもなにかあるでしょ?」


アインが今一番望むものは神の子の末裔を探し出すこと

そんなことがこの男にできるわけがない

アイン自身が見つけられないのですから


「私の望みは誰にも叶えられない」

「ほうほう、やっぱり望みはあるんだね?」


しまったとアインは思いました


「僕には叶えられない望みなのかい?」

「貴様だけではない、他の誰にもできないだろう」


「ふむふむ、簡単には叶えられない望み

 君自身でも難しいんだね?」


「そうだ、だから礼など不要だ」


男はあごに手をやり思考する


「よし、一緒に旅をしよう♪」

「はあ?」


「君の望みを叶えられないことはわかった」

「それでなぜ貴様と同行しないといかんのだ」


「叶えられなくても叶えるための手伝いぐらいはできると思うよ♪」

「貴様、頭大丈夫か?」

「ひどいなあ~」


末裔探しはアイン自身が手詰まり状態です

手伝うと言われても手伝ってもらいようがありません


「いい加減にしろ、貴様でも他の誰でも無理なことだ」


「そんなのやってみないとわからないよ?

 君の叶えたい望みがなにかは知らない、教えてくれないか

 叶えるために必要なことがわかるかも知れない」


言ったところでこの男にできることなどないとアインは思います

それに言うとなると悪魔であることも明かさないといけません


(いや、むしろ悪魔だとわかれば恐がって逃げるかも知れん)


アインは男を脅かして追い払おうと思いました


「いいだろう、この姿を見ても私と同行したいというなら許可しよう」

「んん?」


アインは隠していた角を露わにする

茶色に変えていた瞳の色を本来の闇の瞳に戻す


「え、もしかして、悪魔・・・」

「そうだ、私は悪魔だ」


これで逃げ出すだろうとアインは思います


「・・・うは!」

「は?」


男は満面の笑顔になり目を輝かせます


「悪魔だ! やったあ♪」

「はあ??」


両手を万歳して大喜びする男

思わぬ反応に困惑するアイン


「嬉しいなあ、本物の悪魔に出会えるなんて!」

「貴様、私が恐くないのか?」


「恐い? なんで? 君は優しいしカッコいいよ

 僕に食べ物もくれたし、きちんと対話してくれているし」


悪魔を恐れぬ人間に初めて会ったため戸惑うアイン


「あ、そうだ、これで同行してもいいんだよね?」

「は?」


「だって君、その姿を見ても同行したいなら許可するって言ったよね」

「うぐ」


再度、しまったと思うアインでした

悪魔だとわかっても男は恐がるどころか大喜び

アインはこの男を追い払えないことを理解しました


「わかった、私は約束は守る、同行を許可する」

「やったあ♪」


男はさらに大喜びしました

アインは約束というものを破れません

だからこそソレイユとの約束を今も守っているのですから

むしろそれがあるから約束というものを破れないのでしょう


「それじゃあこれからよろしくね、えーと

 そういや名乗り合ってなかったね」


「私はアインツェルゲンガーだ」

「僕はレイリック・アルフォンス、レイと呼んでくれ」


これがレイリック・アルフォンスとアインツェルゲンガーの出会いでしたとさ

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