ジャンヌとメル
人化したジャンヌ、赤毛赤眼で見た目7歳の全裸少女
ここにいる者の中にロリコンがいなかったのが幸いであった
ヘンリーはとりあえずシーツを巻かせる
兵士用のコートを着せて応急処置としました
「すまんな、服持ってなかったの忘れてた♪」
いい笑顔の少女、とてもあの恐いドラゴンとは思えない
しかし人化するところを見ているのであのドラゴンで間違いない
城まで連れていきメイドに服を用意させる
アイテム袋に何着か入れてジャンヌに渡す
「ありがとうだヘンリー♪」
「いえ、助けていただいたお礼です」
それから豪華な食事をジャンヌに振る舞います
ヘンリーとジャンヌは色々とお話をします
ドラゴンのこと、人間のこと、この国のことなど
ヘンリーはもうジャンヌを恐れていません
助けてもらった感謝と友としての気持ちでいっぱいです
翌日から国内を案内されます
見た目が7歳なので子供たちと仲良くなります
この国にジャンヌは馴染んでいきました
民たちもジャンヌがドラゴンだとわかっても仲良くしてくれました
この国は魔物と魔獣のせいで孤立しています
ヘンリーと民たちがそのことで悩んでいることを知りました
「我に任せろヘンリー」
ジャンヌはレイアル国の外周を毎日飛び回ります
魔物や魔獣を見かけたら威嚇や攻撃をしていきます
毎日毎日何周も飛び続けます
お腹が空いたら魔物や魔獣を攻撃ついでに食べちゃいます
もちろんお城の食事もいただきます
そうこうするうちに外周から魔物や魔獣が激減しました
他国への街道がスムーズに整備されていきます
そして他国との国交が可能になりました
他国からもレイアル国へやって来るようになりました
ジャンヌはレイアル国を見守るようにその後も飛んでいます
レイアル国は<赤き竜に守られし国>と呼ばれるようになりました
レイアル国もジャンヌを聖獣として神聖視するようになります
「なんか恥ずかしいぞ」
「ジャンヌ殿への感謝の意ですから」
「我は友達のためにやっているだけなのだ」
「ありがとうございます、私たちも友になれたことを嬉しく思います」
数年が経ちヘンリーの長男ロバートが王になる
ヘンリーは隠居生活を送る
ロバートもジャンヌと友達になっています
ロバートが小さいころは一緒に遊んでいました
今は王の仕事があるのでたまにしか遊べません
代わりに暇になったヘンリーと遊ぶジャンヌ
年寄りを連れ回します、やめてあげましょう
「私も隠居したら連れ回されるのだろうか」
大変そうな未来を想像して苦笑するロバート
さらに数年後
「ジャンヌ殿、あのとき助けてくれてありがとう
おかげで国は発展した、私は幸せだった」
「ヘンリーは友達だからな」
寂しそうに笑うジャンヌ
「この国をこれからも守ってくれはしないだろうか」
「任せろヘンリー」
「ありがとう我が友ジャンヌ」
その三日後、ヘンリーは大往生した
ジャンヌは一日だけ喪に服し、翌日からまたレイアル国の空を飛ぶ
(任せろヘンリー、お前の国は我が守る)
レイアル国と赤き竜が出会って1200年が経ちました
今でもジャンヌは大空を悠々と飛んでいます
レイアル国は魔物と魔獣の被害がなくなり発展します
領土も拡大してレイアル帝国となりました
ロバートから次の王へ代わり、またその次へと何代も代わっていきました
帝国になって皇帝となっても赤き竜を神聖視していました
現在の皇帝も赤き竜を聖獣として崇めています
だけどジャンヌの心は淋しさでいっぱいです
代替わりするごとに王との距離が離れていきました
城内への立ち入りが減らされて現在では登城が許可されません
それでもヘンリーとの、友達との約束を守って国を守ります
帝国領内のとある村の近くの森に下りて休憩するジャンヌ
「城の料理、美味しかったなあ」
ゴブリンを丸かじりしながらぼやくジャンヌ
食べ終わって大の字で寝転がる
ちなみに現在の齢は1300歳、人化の姿は見た目17歳である
日本で言えば女子高生が大の字で寝転がっている状態です
でもドラゴンだから気にしていません
そこに一人の少女がやって来ます
この森の近くの村に住んでいる11歳の少女
森へ木の実や草を採りに来たのです
「お姉さん、大丈夫ですか?」
死体かと思って恐る恐る近づき確認する少女
眠ってるだけなので安心します
「誰だお前」
気配と声でジャンヌが目を覚まします
「この先の村のメルだよ、お姉さんこそ誰ですか?」
「我はジャンヌだ」
「なんでこんなところで寝てたの?」
「お腹いっぱいになったから」
「こんなところで寝てたら危ないよ」
「我は強いぞ、ドラゴンだしな♪」
そう言ってレッドドラゴンの姿に戻る
「きゃあっ!?」
メルは驚いて尻餅をつき怯える
「恐いか? 驚かしてごめんな」
ジャンヌは再び人間の姿になる
怯えているメルを見て少し悲しそうな顔をするジャンヌ
それを見てメルは怯えるのをやめた
「ごめんね、驚いただけだから」
「我は人間を襲わないぞ、でも恐いよな」
「そうだね、でももう恐くないよ」
「本当か?」
「うん♪」
ニパッと笑顔になるジャンヌ
「メル、お前は我の友達だ!」
「え? なんで?」
「イヤなのか?」
しょんぼりするジャンヌ
「イヤじゃないよ、でもいいの? わたし人間だよ」
「人間とか種族とかは気にしない、メルと友達になりたいのだ♪」
「ありがとう、うん、友達だね♪」
久しぶりに友達ができて喜ぶジャンヌ
しかしメルが恥ずかしそうにしていました
「それで、その、ジャンヌお姉さん」
「どうしたメル」
「服、着ないの?」
ドラゴンに戻ったときに服は破け散りました
なので今は真っ裸でございます
「わはは、つい脱ぎ忘れてしまうのだ♪」
アイテム袋から服を取り出し着る
このマヌケさにさっきまでの恐さを忘れるメル
(ドラゴンってこんなだっけ?)
それから二人は毎日のように森で遊びました
たまに背中に乗せて遊覧飛行します
最初は恐がったメルも今では楽しんでいます
新しい友達メル、ジャンヌは上機嫌です