二人の魔王 後編
トライゾンの罠にかかり封印される魔王セラフィム
「世話になったな、魔王セラフィム
魔族の世界が完成したら封印を解いてやるから待ってろ」
セラフィムに背を向けて地下聖堂を去ろうとするトライゾン
そのとき地下聖堂へアネラが入ってくる
「大変ですセラフィム様、反乱軍を組織した者たちが・・・」
アネラは結界に閉じ込められているセラフィムに気づく
「何をしているのですかトライゾン?」
「アネラ、お前はこちら側へ付く気はないか?」
「どういうことですか」
「セラフィムは封印した、これからは私が魔王だ」
アネラはセラフィムを見る
セラフィムは一言
「アネラ、あとは頼んだ」
「御意」
「ちっ!」
アネラは返事とともに地下聖堂から瞬時に離脱する
逃がしたことに舌打ちをするトライゾン
「なにがあとは頼むだ、アネラ一人でなにができる」
「さあな、だがアネラは妖精姫、侮ると痛い目を見るぞ」
ふふんとドヤ顔で言うセラフィム
「ほざいてろ」
トライゾンも地下聖堂から地上へ向かう
「念のため壊しておくか」
地下聖堂への魔法陣を破壊する
「これでセラフィムを助けることは不可能だ」
念話で外に待機させていた反乱軍へ命令を下す
『アネラを捕らえろ』
反乱軍の魔族たちは館へ向かう
(まさかトライゾンが裏切るとは)
アネラはエントランスまで来ました
(外が騒がしい、反乱軍が館へ押し寄せているのでしょう)
ここは三種族同盟が盟約を結んだ地
竜族の長テレサ、悪魔アインツェルゲンガー、魔王セラフィム
その三人が友の誓いを立てた場所
扉が壊されてぞろぞろと反乱軍の魔族たちが入って来ます
「これ以上、あなた方の好きにはさせません
ここはセラフィム様の大切な場所です」
「アネラ様、降伏を」
「我らと共にトライゾン様をお支え下さい」
「今よりトライゾン、またそれに与する者は私の敵となります」
アネラは談話室前の柱時計に手を触れます
「仕方がありません、拘束させていただきます」
魔族の一人がアネラに近づきます
「これまで共にあったこと、良い想い出でございます
皆様ありがとう、そして」
アネラの虹色の瞳が揺らめき輝く
身体が同じように虹色に光る
触れた柱時計からも光が放たれる
「さようなら」
その光は大きく広がり大陸全土を覆いました
「くっ、これは!?」
エントランスに到着したトライゾンも光に包まれる
反乱軍の魔族たちもすべて光に包まれる
大陸の外周に雨が降り始めて次第に激しくなる
風が嵐になって雷が降り注ぐ
大暴風雨結界の完成である
光が徐々に消えていき静寂が訪れる
『いつの日か、救いが訪れることを願います』
小さな球にアネラが小さくなって入っています
その球が柱時計の竜の飾りに吸い込まれる
ボーンボーンと音が鳴り、柱時計がゆっくりと消えていく
館の敷地を結界が囲む
魔獣や魔物が入れないようになりました
もともとここにいた魔獣と魔物は光の影響を受けません
しかしトライゾンと反乱軍の魔族たちは強制的に転移させられました
今頃魔族大陸へと戻っていることでしょう
セラフィムを封印したのはトライゾン
ですがアネラの封印は自身で行ったものです
また大暴風雨結界もアネラが張ったのでした
アネラの封印と連動していたのはそのためです
「そのような事情でしたのね」
「はい、お恥ずかしい限りです」
いわば魔族内の内乱なのてす
「そのあとトライゾンが魔王となり魔族を従えたのでしょう
私は封印で眠っていたためわかりませんが」
「そして魔王になったトライゾンが進軍命令を出したのですな」
「はい、シュナイダー様」
討つべき相手はトライゾンだと理解するシュナイダー
「私にとって魔王はセラフィム様ただ一人
トライゾンは魔王を騙る痴れ者だと思っています」
アネラは四人に向き直ります
「魔王セラフィム様を救うために力をお貸し下さい、お願い致します」
深く頭を下げて願うアネラ
「私は力を貸しましょう、シュナイダーはどうしますか?」
「ローラ様」
シュナイダーは考える
セラフィムが進軍を命じたわけではない
セラフィムも封印されるなど被害者である
しかし魔王という立場の相手、迷います
もしもトライゾンの企みに気づいてくれていたなら
そうすればあの悲劇は起こらなかったかも知れない
セラフィムが悪いわけではないがそう思ってしまいます
すべてを許すことはできない
それでも救いの手を差し伸べることに決める
「私も手を貸しましょう」
「シュナイダー様、ご決断ありがとうございます」
「我も任せろ♪」
「できることがあれば手伝います」
封印された魔王セラフィム
世界を狙う魔王トライゾン
二人の魔王に対して思いは様々です
「皆様、本当にありがとうございます」
この巡り合わせに感謝するアネラでしたとさ




