空は晴れて、海は穏やかに
条件が揃い柱時計が現れました
そこに封印されていた妖精姫アネラを復活させます
それにより大暴風雨結界は100日以内に消失します
それまでゆっくり過ごすローラたち
開放された大図書館で本を漁るローラ
知らない言語もありますがアネラに教わります
「助かりますわアネラ様」
「恐縮です」
(この方すごいです、一度教えるだけで言語を習得していきます)
ローラの学習能力に感嘆するアネラ
「ローラ様は自国へ帰りたいとは思わなかったのでしょうか」
「もちろん帰りたいですわよ」
「その割には憂いがありませんね」
「憂いても帰れるわけではありませんから
嘆き悲しむよりも楽しく日々を過ごす方が良いですわ♪」
(お心がとても強い方ですのね)
リナは掃除をしたり料理を作ったり動きまくります
アネラはそんなリナを観察します
(リナ様はとても働き者なのですね)
「あの、見ててもつまらないのではないですか?
わたしは仕事をしているだけですから」
じっと見られていることが気まずいようです
「いえ、無駄のない動きで感服しております」
「そ、そうですか、ありがとうございます」
まっすぐな瞳で言われるので照れるリナでした
「ところでリナ様は人間なのでございましょうか?」
「え? 人間ですよ?」
「そうですか、失礼致しました」
「???」
家事職人のおかげで人間離れした動きだからかなとリナは思います
(たしかに人ではありますが奥底に別の気配を感じます)
シュナイダーは鍛練したり畑仕事をしています
たまに近くの川へ釣りに行っています
「ドゥンケルハイトビンデン!」
アダマンタイト製の双剣の一つ、ドゥンケルハイト
黒い魔力の靄が螺旋を描いて切っ先から放たれる
ロープのように伸びて十数本に分散して川へ入っていく
それらが魚を捕獲して釣り上げます
「今日も大漁ですな♪」
とても楽し気です
「そのような使い方もあるのですね」
「おやアネラ様、散歩ですかな」
「はい、今日は天気も良いようなので」
「そうですな、良い散歩日和ですな」
魚をアイテム袋へ片付けるシュナイダー
「不躾ではありますがシュナイダー様のご家族は?
故郷で心配なされているのではないのでしょうか」
「・・・いえ、私の家族は亡くなりました
家族どころか故郷すらも滅んでしまいました」
「本当に失礼なことを聞いたようですね、申し訳ありません」
アネラは頭を下げて謝罪する
「構いません、亡くなりはしましたがもう辛くはありません」
「そうなのですか?」
「ここにはローラ様、リナ殿、ジャンヌ殿がおります
それに愛する妻と娘の魂がそばにいてくれますから」
曇りのない笑顔で話すシュナイダー
「ああ、こちらのお二方は奥様とお嬢様でしたか」
「アネラ様もローラ様と同じく見えるのでございますか?」
「はい、金髪碧眼の美しい女性と金髪茶眼の可愛らしい少女です」
「なんと、姿形までわかるのですか!?」
ローラは光の玉のような感じで魂が見えていました
しかしアネラには生前の姿で見えているようです
容姿に間違いがないのでシュナイダーは驚きました
「ああ、なぜ、私には見えないのだろう」
「ごめんなさい、言わない方が宜しかったようですね」
「いえ、自身の不甲斐なさを嘆いているだけでございます
愛しているのに見えないとは本当に情けない」
(今は無理ですが力が戻ったら会わせてあげましょう)
「着いたぞアネラ」
「ありがとうございますジャンヌ様」
アネラは特殊な薬草を採取するために出かけます
少し遠くの山に近い高台にある洞窟
時間がかかるのでジャンヌが乗せて運びました
「それじゃ魔獣が来ないか見張っておくぞ」
「はい」
ジャンヌが見張っているのでアネラは安心して採取していきます
「ところでジャンヌ様はなぜこちらへ残ったのでございますか?
竜ならば大暴風雨結界は突破できると思いますが」
「ローラとリナ先輩を残していけない、友達だからな♪」
「そうなのですね」
(友達なのに先輩?)
「なぜメイドなのでしょう?」
「面白そうだから♪」
(面白いものなのでしょうか?)
さすがにアネラも竜族の感覚はわからないようです
(ですがジャンヌ様が良い方だというのはわかります)
アネラは四人と共に暮らしながら観察していました
助けを求めるため信用に値するか確認しているのです
(この方たちなら大丈夫そうですね)
アネラは大暴風雨結界が消えたらすべてを話そうと決めました
(それまでは私も皆様とゆっくり致しましょう)
大暴風雨結界が消失するまで最低30日以上、最長100日以内
その最低30日になってもまだ消えていません
それから何日も過ぎていきました
そして70日を過ぎて数日後、そのときが来ました
「みんな、やったぞ!」
巡回に行っていたジャンヌが慌てて戻って来ました
「ジャンヌさん、落ち着いてください」
「どうしたのジャンヌ?」
「どうしましたかなジャンヌ殿」
「ジャンヌ様、結界ですか?」
アネラは気づいていたようです
「そうだぞ、結界が消えた!」
ジャンヌが巡回で大陸の外周をとんでいたときのこと
「なかなか消えないなアレ」
いつものように結界を眺める
すると蜃気楼のような揺らめきが起こる
「なんだ?」
そして一瞬で大暴風雨が消え去った
「うわあ!?」
さすがにジャンヌもいきなりのことで驚きました
そのまま慌てて館へ戻ったのです
「アネラは今日消えるってわかっていたのか?」
「いえ、先程結界が消えたのを感知しただけです」
アネラの封印と連動していたため感知できたのです
「これで他の大陸と行き来できるようになったのですわね」
「わたしたち助かるのですねローラ様」
「やっとご家族と会えますな、おめでとうございます」
「我が全員載せて近くの大陸まで運ぶぞ♪」
喜び合う四人
「お待ち下さい」
アネラが待ったをかける
「もう暫くこちらに滞在していただけませんか
早くお帰りになりたいとは思います、申し訳ありません
ですがお願いします、もう暫く居ていただけないでしょうか」
申し訳なさそうに頭を下げてお願いするアネラ
「ああそうね、そうしましょう」
「そうですね」
「いいぞ♪」
「よろしいですぞ」
間髪入れず残ることを承諾する四人
あまりに簡単に承諾されて困惑するアネラ
「本当に宜しいのですか?」
「なんだアネラ、残って欲しくないのか?」
「いえ、残っていただきたいです」
「ならば問題ありませんわね」
「ですが帰りたかったのでは」
「結界もなくなりましたのでいつでも帰れますよアネラ様」
「そうでございます、私どもは自由を手に入れたのでございます」
もとより自由であったことは置いときましょう
四人はアネラのお願いを聞いて残ることにしました
大暴風雨はもうありません
いつでもこの大陸から出ることはできます
大暴風雨がなくなり遠く先まで晴れた青い空
荒ぶる海は静かに穏やかな波が揺れている
そしてやって来る
ローラを救いに
リナと出会うために
ジャンヌを追って
シュナイダーの希望を叶える者が
大忙し魔境ライフの始まりです♪
まったりはどこへ?




