隠密ルージュ
聖王女ローラ・ルーラ転移事件の黒幕
それは姉である第一王女パール・ルーラ
魔道具を渡した男は始末できました
けれど魔法使いココを始末できませんでした
ですがまだ諦めないパールは自身の隠密を仕向けます
隠密ルージュ、黒髪で橙色の瞳の26歳
黒装束に黒い覆面でパールへの絶対的なる忠誠心を持つ
今回パールからの命令は二つ
ローラが生きていた場合、ローラとココを暗殺すること
ローラが死んでいた場合、ココを暗殺すること
どちらにせよココは暗殺対象のようです
(ローラ様の生死に関わらず殺すのならば今でもよいのでは)
そう思ったルージュですがすぐに思いとどまります
ローラの生死を確認してからの方が一度に終わらせられるからです
エルダー大陸南西にある港町ルビアラまであと少し
勇者一行はそこから船でシェアルド大陸へ渡る予定です
陽が暮れてきたので野営をする勇者一行
ルージュは近くの木の上で一行を監視します
見張りの賢者ロレンスと勇者ライトが話をしています
ルージュはその話に耳を傾けていました
悩むライトを励ますロレンス
勇者と言えども所詮は16歳の子供かとルージュは思います
「ローラ様にプロポーズします!」
(こいつ本当に勇者か? ただの色ボケしたガキじゃないのか?)
ルージュは木からずれ落ちかけますが耐えました
(しかし勇者と聖王女が婚約すると厄介だ)
魔王の脅威から国と民たちを救う勇者
民だけでなく多くの貴族たちに人気のある聖王女
そんな二人が婚約するとどうなるか
(王位継承権争いでローラ様が圧倒的優位に立つ)
パールのためにそれだけは阻止すべきと思うルージュ
(もういっそココだけでなく勇者もまとめて殺すか?)
しかし勇者には魔王を倒してもらわないといけません
魔王を倒せなければ国が危険に晒されます
それではパールが愚王となってしまうため殺意を引っ込めます
(魔王討伐が成されるまでは生かしておいてやろう)
ライトの命は魔王のおかげで助かりましたとさ
港町ルビアラに辿り着いた勇者一行
宿をとったあとシェアルド大陸へ渡る船を探します
「シェアルド? あの大陸なら今は行く船がないよ」
「というかあんな状態のところ行けねえよ」
船主たちはシェアルド大陸へは渡れないと全員言います
「どうしてですか?」
「あっちにシェアルドがあるんだが見えるだろ」
船主が指差した先を見る勇者一行
遠目にもわかる大暴風雨があります
シェアルド大陸との距離は近いので遠目でも見えるのです
「気になっていましたがあの向こうにあるのですね」
悪い予感が当たったロレンスは困ります
大暴風雨はルビアラに着いてから見えていたのです
その方向になければいいなと思っていたロレンスでした
「天候の問題なら過ぎるのを待てばいいのでは?」
「100年ほど前に発生してからずっと消えないんだよ」
戦士バルクはただの天候問題だと思いました
しかし100年以上消えていない事実を知り困ります
「あんなのどうすりゃいいんだよ」
武道家ドランが愚痴ります
「あの嵐の向こう側にローラ様がいるのに」
あと少しでローラのところへ行けるはずでした
ライトは焦りと悔しさで落ち着きません
(わたしにはなにも言うことができない)
ライトに声をかけたくてもかけられないココ
転移させたココの言葉を聞いてもらえるとは思っていません
あの大暴風雨をどう突破するか考えることにする勇者一行
港町ルビアラで足止めです
(これでは生死を確認することができない)
ルージュも同じく足止めです
勇者一行が泊まる宿屋にルージュもこっそり泊まります
部屋に入り魔道具で消音結界を張ります
「ひとまず現状報告を送りましょう」
手のひらサイズの水晶玉を持ち思念をこめて念じます
『届け我が思念、<伝達>』
水晶玉が霧散します
水晶玉に伝えたいことを思念で封じ込める
そして<伝達>で届けたい相手へ送ります
大暴風雨があるためシェアルド大陸へ渡れないこと
勇者一行は港町ルビアラで立ち往生であること
ルージュはこれらの情報をパールに送りました
「パール様から新たな指示があるまで私も待機ですね」
勇者一行を監視しながら待機することになったルージュ
大暴風雨がおさまるその日まで




