柱時計
関係者各位がローラたちを探しています
暗躍する者も動いています
そんなこと思いもせずローラたちはまったりしていました
今日は森を抜けた先の花畑でピクニックです
花を潰さないように花畑の端にレジャーシートを敷きます
色とりどりの花を眺めながらのんびりくつろぎます
「最近はだいぶ涼しくなって過ごしやすいですわ」
「そうですね、夏も終わりのようです」
「食欲の秋か? もぐもぐ はぐはぐ んぐぅっ!」
「落ち着いて食べて下さいジャンヌさん」
リナに渡された水を飲んで落ち着くジャンヌ
「シュナイダーさんも食べないとなくなっちゃいますよ」
「そのようですな」
シュナイダーはずっと立ったまま花畑を眺めていました
少し寂し気に微笑みます
「どうかしましたかシュナイダー」
「すみません、少しばかり昔を想い出していました
妻と娘は花が好きでよく庭園でお茶をしていたのですよ
たまに私も付き合わされていましたが良い想い出です」
妻パティと娘ティアとともに庭園でお茶をした想い出
今でもはっきりと想い出せるほど充実していた日々でした
「どうぞ」
「ありがとうリナ殿」
座ったシュナイダーにサンドイッチとコーヒーを渡します
「お花が好きだというのはよくわかりますわ」
「ローラ様? なぜおわかりになるのでしょう?」
ローラがその日々を知っているわけがありません
シュナイダーは首をかしげます
「お二人の魂が花畑の上をグルグル飛び回っていらっしゃるから」
「そういえばお見えになるのでしたな、そうですか、二人が、、、」
花畑の上を見ながら嬉しそうな微笑みを浮かべるシュナイダーでした
それから楽しく談笑したりゆっくりと花を眺めてくつろぐ四人
今も花畑の上を飛び回る二つの魂
温かな陽射しと優しい風の吹く緩やかな時間を堪能します
ピクニックから館へ帰って来ました
軽い夕食と入浴を終えて就寝します
シュナイダーは庭のベンチに腰を掛けて今夜の見張り番です
ジャンヌが威嚇しているので襲撃されることはないでしょう
ですが万が一に備えて交代制で見張りをしています
夜も更けて日が変わります
このとき館の中にある変化が起きました
外にいたシュナイダーは気づきません
中の三人は眠っていて気づきません
エントランスホール左側の壁の中央に談話室の扉
右側の壁の中央に執務室の扉がそれぞれあります
扉と壁以外には装飾品や置き物などはありません
しかし談話室の扉に向かって右へ2メートルほどのところ
何もなかった壁の前に古めかしい柱時計が現れました
音もなく静かにまるで昔からあったかのように
高さ約2メートル、幅約70センチ、奥行き約40センチの柱時計
少し聖魔力を帯びてほんのりと輝いていました
その輝きはゆっくりと消えていきます
翌朝3時、リナ起床
メイドの朝は早い
部屋に備え付けの洗面所で顔を洗います
メイド服に着替えて髪を整えます
一階へ下りて厨房へ向かいます
エントランスホールとは逆方向なので柱時計に気づきません
朝食のための下準備をします
食器選びやメニューを考えます
一通り下準備が終わったので次は庭掃除です
館内は聖魔力のおかげでいつもキレイです
庭は結界がなくなったため汚れるので毎日掃除します
エントランスホールを通り扉へ向かいます
扉の取っ手に手をかけたときリナは違和感を感じて振り向きます
軽くホールを見渡します
「あら?」
柱時計に気づきました
「昨日まではなかったはず、ローラ様が出したのかしら?」
ローラなら柱時計ぐらい持っているはずと思うリナ
「でもローラ様がお休みになったあとにここを通ったときはなかったわ
夜中に起きて置きに来た? さすがにそれはないわね」
リナは首をかしげます
庭で見張りをしていたシュナイダーは身体を伸ばします
暇なので時折柔軟体操などをして身体を動かしていました
「そろそろリナ殿が庭掃除に来るでしょう、見張りも終わりですな」
館に入ろうと扉へ向かいます
するとリナが出てきました
「おはようございますリナ殿」
「おはようございますシュナイダーさん」
リナが困惑していることに気づきます
「どうかしましたか?」
「ええと、確認していただけますか」
リナとともに館へ入るシュナイダー
「ふむ、立派な柱時計ですな」
「そうですね、なんなのでしょうか」
「ローラ様がお出しになったのでは?」
「お休みになられたあとにはまだありませんでした」
「夜中に起きて、というのはありえませんな」
「はい、ローラ様は起こしに行くまで起きませんから」
謎の柱時計の出現に二人は首をかしげます
ローラとジャンヌが起きてから考えることにしました




