修了試験
メルの勉強と鍛練が始まりました
一週間ほどで基礎を完了します
走り込みも筋トレも慣れてきてバテなくなりました
ペース配分も覚え余裕も出てきました
「こんなに早くクリアするとは思わなかったよ」
「メルちゃん素質あるわ、可愛いし♪」
「可愛いは関係ないでしょ、でも素質に関しては認めるわ」
走り込みと筋トレは続けますが実技も始まります
普通の長さの剣は持って振るうことはできます
しかし振り回されている感がありました
なので短剣をアイリーンからすすめられます
剣技に関してはマトモなので素直に短剣を使います
格闘術はまず護身術から教わります
攻撃に関しては小柄な身体を活かした技を教えられます
筋トレのおかげで体幹が鍛えられていて動きにブレが出ません
走り込みのおかげで回避行動や足さばきが鍛えられていました
赤き竜の加護による身体強化の恩恵もあります
だけどメル自身の努力の成果でもありました
メルは早く冒険者になってジャンヌを探しに行きたい
その強い想いでぐんぐん成長していきます
王都に来て約一ヶ月が経ちました
「メル、全力で来い」
「はい!」
構えるカナン
素早く左右にステップを踏みながら向かうメル
間合いを詰めてカナンの懐へ入るメル
入ってすぐにしゃがんでローキック
軽く跳んでかわすカナン
そのままメルを踏み付けようと足を出す
メルはローキックの勢いのまま後ろへ下がりかわす
そして着地とともに体当たりにいく
踏み付けを空振った足で地を蹴り左へかわすカナン
かわされて前転するメル
かわしたカナンはすぐにメルの方へ飛び込む
転がって立ち上がろうとするメルへ右拳を放つ
頭を上げて背を左側へ向ける半身の体勢を取り一撃をかわす
ギリギリだったため右頬をかすめて少し切れる
痛みも恐さも堪えて伸びきったカナンの右腕を捕まえる
そのままぶん投げる
カナンは空中で回転して体勢を整えて着地する
着地と同時に瞬歩でメルとの間合いを詰める
カナンを全力で投げ飛ばしたメルは膝をついていた
カナンの右拳が撃ち込まれる、だが拳は寸止めされました
「まいりました」
「よし、合格」
いわゆる修了試験です
「やっぱり勝てなかった、悔しいです」
「そう簡単に勝たれたらSランクの名折れだからな」
カナンは手を差し出してメルを立ち上がらせる
「次は私、私だよメルちゃーん♪」
「やだなあ、アイリーンさんとはやりたくないなあ」
「メルちゃーん!」
アイリーンはメルに合わせて短剣で相手をします
メルは両手に短剣を持ち打ち合います
左右上下、背後からの攻撃
俊敏性を活かしてあちらこちらから仕掛けます
アイリーンは紙一重でかわしたり短剣で捌いていきます
その場から一歩も動かずに
「うん、こんなものかな、合格だよメルちゃん」
「バカにしてます? 全然わたしの攻撃が届いていないのに!」
「それこそ私をバカにしてるの?」
そう言ってアイリーンが一歩動く
瞬間、メルの持ってた短剣が二本とも弾き飛ばされた
「えっ!?」
「はい、おしまい」
アイリーンの短剣の切っ先がメルの目の前にあった
ペタンと座り込むメル
「あのね、これでもSランク剣士だからね私
その私に一ヶ月そこらの剣が届くわけないよ
バカにしないでね?」
「ごめんなさい」
メルは調子に乗っていたことを反省しました
剣を扱う時のアイリーンは普段のアイリーンとは違います
Sランクは伊達ではないのです
「私もゴメンね、大人気なく攻撃しちゃった」
「いえ、調子乗ってたわたしが悪かったんです
でも良いところ一つもなかったのに合格でいいんですか?」
「動きと剣さばきの正確さとかを基準にしたからね
いい動きだったし剣も鋭かったから合格だよ」
「ありがとうございました」
メルは一礼する
普段のアイリーンはダメな子だけど剣士としては一流である
メルは改めて思い知りました
「最後は私ね」
「お願いしますフェリス先生」
フェリスはSランク魔導士
メルはこの魔法試験だけはきっと不合格だろうと思っています
なぜならメルは魔力量が少ないからです
赤き竜の加護のおかげで普通の子よりは多い
しかしSランク魔導士と比べれば雲泥の差なのでした
「メル、始める前から気落ちしたらダメよ」
「でもフェリス先生に手も足も出ませんよ」
メルは初級攻撃魔法をほんの少ししか使えません
魔力量が足りなくて中級以上は覚えられませんでした
「私と戦わなくてもいいわ、相手はこれよ」
土魔法で土人形、ミニゴーレムを五体作るフェリス
「攻撃魔法でミニゴーレム五体を破壊しなさい
動かさないから外したら恥ずかしいわよ」
「まあこれなら初級魔法でもなんとかなるかも」
メルは少しほっとしました
「火球」
真ん中のゴーレムに火の玉をぶつけます
でも壊れません
「ええっ!?」
「これは試験よ、簡単に壊せると思わないでね」
「うう、ならもう一度」
真ん中のゴーレムに再度火の玉をぶつける
しかし壊れない
「なら他の属性で」
水、風、土、雷のボール系の攻撃魔法を順番にぶつけていきます
最後の雷で壊れました
「やった!」
「まだ四体残っているわよ」
「はい」
次は向かって右側のゴーレムに雷をぶつけます
先程ので雷で倒せると判断したからです
しかし壊れません
(もしかして何発も当てないとダメなのかな?)
先程は六発目で倒せました
そう思い雷をあと五発当てます
しかし壊れません
「それぞれ強度が違うの?」
「みんな同じよ」
「うう、わけがわからない」
「しょうがないわね、五体という数がヒントよ
そして魔法の入門書の初めに書かれていたことを思い出しなさい」
(五体? 入門書? ・・・あ)
「わかったみたいね、ならやりなさい
でもヒントがあったからあと1分で終わらせなさい」
「ええっ!?」
メルは急いで右側のゴーレムに雷以外をぶつける
炎で壊れました
「よし、こいつは炎でさっきは雷、なら!」
そのまま一番右端のゴーレムに風をぶつける
壊れないのですぐさま水をぶつける
壊れました
「時間がない、残り二体は同時に!」
右手で風、左手で土の玉を作りそれぞれにぶつける
壊れません
「なら逆!」
それぞれに先程とは逆の属性をぶつける
壊れました
「やったー♪」
大喜びするメル
「それじゃ答え合わせよ、言ってみて」
「五体とも違う属性でないと壊せないんですよね
火、水、土、風、雷、わたしが使えるのもこの五属性
どれがどの属性が弱点か見極めないといけなかったんですね」
「そうよ正解、できればヒントなしで気づいてほしかったけどね」
「ごめんなさい」
「でも合格よ」
「ありがとうございました!」
修了試験はなんとか合格をもらいました
これで冒険者登録の許可が皇帝ノートンから下ります




