足止め
リナは間違った悪魔召喚により館へ飛ばされました
犯人であるビリー・マーカスを追う三人組とニコルはビリーの隠れ家へ行きます
そこで悪魔アインツェルゲンガーと出会います
悪魔召喚によりアインツェルゲンガーとリナは契約しています
そのためアインツェルゲンガーはリナの転移先を把握していました
リナと会えたら連絡するとニコルに約束をして飛び去るアインツェルゲンガー
しばらく飛んでとある森の拓けた場所に下ります
「ここらへんで良いだろう」
アインツェルゲンガーは右手を開いて地面に向けます
『テレサ、セラフィム、アインツェルゲンガー
我ら三王の盟約に従い此処に扉を開け』
蒼い光の線で三角形が浮かび上がる
三つの角に白黒赤、三色の光の輪が輝く
「では行くとするか離宮へ
リナという娘、いや、リナ様は困っていることだろう
早く行ってやらねば」
(まあセラフィムがいれば大丈夫であろう)
光る三角形の中心へ立つアインツェルゲンガー
「転移」
この転移陣はシェアルド大陸のあの館の庭へ転移できます
「・・・・・?」
アインツェルゲンガーは転移せずその場に立っていました
「どういうことだ? 転移陣は発動しているのに飛ばないだと?」
転移陣は普通に発動しています
しかし転移できません
「館の魔法陣に不具合でも起きたのか?
セラフィムめ、点検や整備を忘れているのではないだろうな
まああいつは適当なところがあるからな」
ふう、と軽くため息をつき懐から小さな赤い魔石を取り出す
「仕方があるまい」
『我と対象者セラフィムの声を繋げ、魂話』
赤い魔石が宙に浮き薄く光る
これは魂の盟約を結んだ者同士の専用電話のようなものである
「・・・出ないな、寝てるのか?」
転移もできない、念話にも応答しない
館に何か不具合が起きているのではと思うアインツェルゲンガー
『我と対象者テレサの声を繋げ、魂話』
テレサ、セラフィム、アインツェルゲンガー
この三人はそれぞれ違う種族の長であり王なのです
遥か昔、三種族のトップ同士で魂の盟約を結びました
それが三種族同盟
『久しいですねアイン、どうされましたか?』
「久しぶりだなテレサ、お前とは繋がったようで安心した」
館へ転移できないこと、セラフィムと連絡が取れないことを告げる
『それはおかしいですね、館に何かあったのでしょうか
まったくセラは何をしているのでしょうね』
「すぐに館へ行きたいのだがこれではどうしようもない
すまないが調べてくれないかテレサ」
『わかりました、調べておきますね
ところで館へ用事とは何かありましたか?』
アインツェルゲンガーは自身の契約者が館へいること
相手は契約したことも知らないはずなので早く会って教えたい
それらをテレサに説明します
『おお、やっと現れたのですね神の子の末裔が
良かったですねアイン、おめでとう』
「ありがとう、だがこんな状況だから喜べぬ」
『とりあえず自力で向かって下さい
我の方で調べて何かわかり次第連絡しますね』
「ああ頼む」
テレサとの通話を終える
「仕方があるまい、少しでも先へ進むとしよう」
アインツェルゲンガーはシェアルド大陸へ向けて歩き出します
大陸から大陸へどんどん渡り歩きます
時に飛び、時に馬に乗って走り、時に船に乗り海を進む
そしてルーセント大陸へと辿り着く
ルーセント大陸はシェアルド大陸の西側にある大陸
二大陸の間はかなり離れているため見えません
「船を確保しなくてはな」
船着き場で交渉を開始します
シェアルド大陸まで運んでもらえる船を探します
ちなみに角は魔法で隠しています
「シェアルド? どこだっけ?」
数人の船長に声をかけましたがシェアルド大陸を知りませんでした
それもそのはずなのです
100年ほど前からシェアルド大陸へは行けなくなっていたからです
あの大暴風雨がその頃に発生したためです
100年以上経ってシェアルド大陸は忘れ去られました
そのため誰もシェアルド大陸を知らなかったのです
もちろんアインツェルゲンガーは大暴風雨のことを知りません
「仕方があるまい、飛んで行くか」
港町の外れの海岸から飛ぶアインツェルゲンガー
そして大暴風雨が見えるところまで来ました
「・・・何だこれは? 以前来たときはなかったぞ」
以前というのは500年前のことである
「防御結界を張って突っ切ることはできそうだ
しかし大陸に着く頃には魔力が底を尽きそうだな」
少し思案してルーセント大陸へ戻るアインツェルゲンガー
「やはり館に異変が起きているようだな」
ひとまずテレサからの連絡を待ちつつ待機することにしました
アインツェルゲンガーも大暴風雨越えについて思考します
解決策が浮かぶまでここで足止めとなりましたとさ




