黒幕
魔法文字を解読する賢者ロレンス、結果を待つ仲間たち
「解読終わりました」
「どの方角でどのぐらいまで飛ばされたんだ?」
「落ち着けドラン」
ローラを心配するあまり慌てる武道家ドランをいさめる戦士バルク
「方角は基点であるこの場所から南西にまっすぐです
距離は長さではなく三つ先の大陸と指定されていました」
「それじゃ海のど真ん中ってのは回避できたな」
「ですがまだ安心はできません、魔物の群れの中かもしれません
火山の火口とか川や湖などもあるでしょうから」
「ロレンス、なんでそんな不吉なことを言うかな」
「最悪の事態も想定しないといけませんから」
「そのぐらいローラ様なら大丈夫だろう」
ロレンスは重く、バルクは軽く考えていました
まあバルクの言っていることの方が当たっているのですが
「ガルドの周辺ならわかるが三つ先の大陸なんて知らねえよな」
「それでも行くしかない、みんな力を貸してくれ」
勇者ライトはすぐにでもその大陸へ向かおうと動き出します
「待って下さいライトくん、一度ルーラ国へ戻りましょう」
「ロレンスさん、急がないとローラ様がどうなっているか」
「気持ちはわかりますが陛下に転移先のことを伝えねばいけません
陛下だってローラ様のことを案じていらっしゃるのですから」
国王モール・ルーラも娘ローラを案じてやきもきしています
ローラの転移先を知れれば少しは安堵できるでしょう
「それに旅の準備や情報を入手しないといけません
王宮には周辺より離れた大陸の地図もあるはずです
三つ先の大陸の情報もあると思うので戻るべきです」
「たしかにそうですね、気が急いて考えが及びませんでした」
ライトは気持ちを落ち着けてロレンスの意見に従うことにしました
そして勇者一行はガルド大陸ルーラ国へ帰還します
「そうか、ローラはその大陸にいると判明したのだな」
「はい」
ライトは陛下に報告をしました
無事かどうかはわかりませんが場所が判明して少しだけ安堵する陛下
「では旅に必要なものがあれば申せ」
「離れた大陸の地図や情報になるものがあればお貸し下さい」
ロレンスが陛下にお願いします
上位の王宮関係者のみ入れる書庫の立ち入り許可をもらいます
ロレンスとココが書庫の管理者と一緒に入って必要な物を探します
他の三人はどれが必要なのかわからないので椅子に座って待機
周辺よりも先の大陸も載った世界図を見つけました
「アッサム大陸から南西がクレスト大陸、その次がエルダー大陸
そして目的地である三つ目、シェアルド大陸」
「その大陸にローラ様がいるんだな」
ライトは真剣に世界図を見ながらつぶやく
「どの大陸もそれなりに大きく広いな、くそ、時間がかかりそうだ」
「だが目的地がはっきりしているからまだマシだ」
ドランとバルクも世界図を見ながら考える
「各大陸の間には海もあるのでかなりの距離ですね」
「王宮からの転移で飛ぶことはできないのでしょうか?」
ライトがわずかな期待をします
「一応陛下に聞いてみましょう」
書庫から陛下の執務室へ移動します
「シェアルド大陸か、遠いな」
「はい、それで転移を使えれば短縮できると思うのですが」
「ワシとしても使わせてやりたいが難しいのだ
距離があるほど魔力もかかる、その人材のために経費もかかる
ローラのためとはいえ民の税を大量消費はできぬ」
父としては惜しみなく出したい
しかし王としては控えねばならないというジレンマ
「よし、二つ目のエルダー大陸まで転移を許可する」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
わずかに父としての気持ちが勝って二つ目の大陸まで許可する陛下
勇者一行は喜びましたが待ったがかかります
「お待ち下さい陛下、さすがに経費がかかり過ぎです
一つ目のクレスト大陸までが限度でございます」
第一王女パール・ルーラです
「すでにアッサムとガルドを往復するために二度使っているのです
これ以上は国庫が危うくなります、クレストまでとして下さい」
パールの言うとおり国の財源が底を尽く危険性があります
陛下は涙をのんでクレスト大陸までの転移に変更しました
勇者一行も致し方なく受け入れることにしました
勇者一行は旅の準備を急ぎ終わらせます
「ではローラのことを頼んだぞ勇者たち」
「「「「「はい!」」」」」
王宮にある転移魔法陣で勇者一行はクレスト大陸へと旅立ちました
勇者一行が旅立つ前夜
パールは寝室にある椅子に座り本を読んでいました
そこへスッと一人の女が姿を現します
「パール様、失礼致します」
黒装束に黒い覆面のその女はパールの前に跪く
「勇者たちは旅の支度を終えたのかしら?」
「はい、支度を終えて明日に備えてすでに就寝しております」
パタンと本を閉じテーブルに置く
「では貴女も明日は計画通りに動いてちょうだい」
「仰せのままに」
パールは立ち上がり女に魔道具と資金を渡します
「期待しているわよルージュ」
「お任せ下さい、それでは失礼致します」
そう言ってルージュと呼ばれた女はまたスッと姿を消した
「まったく、捜索などしなければ良いものを
ココにローラを始末させて終わるはずでしたのに」
椅子に座り愚痴るパール
ココは転移の魔道具を怪しい男から受け取りました
その男は先程のルージュから依頼されたのです
おわかりのようにルージュはパールの指示で動いています
ルージュはパールの隠密、いわゆる草です
ローラを転移させて始末しようとした黒幕はパールだったのです
「陛下は騎士たちに男を探させるようですが見つかりませんわ
見つかるはずがないのですもの、ふふ」
そう、すでにルージュの手によってフェードアウトしているのです
「あとはココに罪を被せて処分すれば済みましたのに
上手くいかないものですわね」
パラリと本を開くパール
「まあ今度は上手く始末できるでしょう
ルージュが直接動くのですから、ふふ」
ほくそ笑むパール
勇者一行の旅は無事に終わるのか
ローラとの再会は成されるのか
波乱の旅の幕開けです




