山を登ること、それが登山
ジャンヌはレナードとの山の想い出を語りました
「なるほど、それで山は登ることにしているのですな」
「そうだぞ、まあ急ぎのときは飛ぶけどな」
「頂上からの眺めはたしかに良さそうですわね」
「わたしも頑張って登ります」
平地を進むと岩壁があります
その脇に細く狭い足場もあります
「あの足場は脆そうなのでやめた方が良さそうですな」
「この岩壁もわたしとローラ様には厳しいですね」
「我が背負って上がるぞ」
「では私も背負いましょう」
「いやシュナイダーはここにいてくれ」
「なぜですかな?」
「万が一落としたら受け止めてくれ」
「落とす可能性があるの!?」
「万が一だぞリナ先輩」
「万が一でも落とさないでほしいです!」
ローラがジャンヌに背負われます
「そんじゃ行くぞローラ」
「お願いします」
ジャンヌは軽く跳んで岩の一つに足をかけます
そのまま蹴り上がって次の岩へ足をかけ素早く蹴り上がる
次々岩を蹴って上がっていきます
「楽しいですわー♪」
スリル満点の岩壁登りをお楽しみいただいているようです
ガスッ ボロリ 「あ」
蹴り上がろうとした岩が壁から外れます
足もそのまま下へまっすぐ伸びました
ジャンヌとローラは落下します
「きゃああっ、ローラ様ぁっ!!」
「あらあら」
リナ絶叫、ローラまったく動揺せず
「はあっ!」 パシッ
「よっと」 ドシン!
シュナイダーが跳んでローラをキャッチしました
ジャンヌは空中で体勢を整え着地
「ジャジャジャンヌさんんっ! やっぱり危険じゃないですかぁっ!!」
ジャンヌの背中をポカポカ叩きながら涙目で怒るリナ
「わはは、失敗失敗♪」
「わははじゃありませんっ!」 うがー
「そんじゃ気を取り直して行くぞローラ」
「はい♪」
「やーめーてー!」
リナの制止も虚しくジャンヌはローラを背負って登り始めました
今度は登りきってローラを上の平地に下ろします
そして飛び降りて着地するジャンヌ
「さすがドラゴン、この高さから飛び降りても無傷ですか」
「わはは、すごいだろシュナイダー♪」
「・・・・・」
リナはすでに満身創痍でした(おもに精神が)
「よし、次はリナ先輩だぞ」
「お断りします」
「いや、こんなところに一人で残るわけにもいかないだろ?」
「みなさんが戻ってくるまで待ってます」
「大丈夫だぞ、万が一の一はさっき出たから次は一万回後だ♪」
「屁理屈っ!」
「リーナー、早く登って来なさいなー♪」
上からローラが楽しそうに声をかけます
「ローラも待ってるぞ」
「うぐぐ・・・」
苦渋の決断、魔物の群れに飛び込むほどの決死の覚悟を決めるリナ
ジャンヌに背負われます
「絶対、絶対、絶対、ぜーーーぇったいっ! 落とさないで下さいね!」
「わかってるよ、少しは信用してくれよリナ先輩」
「前科がありますからっ!」
必死のリナだった
「そんじゃ行くぞリナ先輩」
「はい・・・」
ジャンヌは岩壁を登り始めます
(いぃーーーやあぁーーーーーっっ!!!)
心の声で絶叫するリナ
泣きながらジャンヌにしがみつきます
「いたた、すごい力だなリナ先輩」
リナは返事などできませんでした
それ以前にジャンヌの言葉すら耳に入っていません
必死でそれどころではないのです
「よっし、到着」
平地に着いてリナを下ろします
リナはフラフラと二、三歩小さく歩いてペタンと座り込みます
そのまま手をつき四つん這いになってぐったりしました
「ふ、ふふふ、わたし生きてる・・・」
顔面蒼白、涙を流す目は光を失っていました
「大丈夫かしら?」
「大丈夫だと思うぞ」
大丈夫ではないと思いますが、きっと時間が解決してくれるでしょう
「お待たせしました」
シュナイダーが岩壁を登って合流します
リナを少し休ませて頂上へ向けて再出発です
「まったくジャンヌさんは、ぶつぶつ、ぶつぶつ、、、」
「リナ先輩、そんなに怒るなよう」
ブツブツ文句を言いながら上り坂を歩くリナ
上り坂を進むとようやく頂上へ着きました
「結構広いですな」
「そうだな、山によっては頂上は立つことすらできないところもあるからな」
この山の頂上は平地であの館がすっぽり置けるほどの広さがありました
「リナ、見てごらんなさい」
「なんですかローラ様」
「ほほう、これはよい眺めですな」
「そうだろう♪」
山からの眺め、この大陸全土は無理ですがかなりの範囲を見渡せます
ちらほらと雲も流れていますが邪魔になるほどではありません
「自分自身の力で登るからこそ価値があるんだ
危険なことも楽しいことも山はいっぱい教えてくれる」
(レナードが教えてくれたことだ、我はその言葉と想いを忘れない)
「おお、館が見えますぞ」
「本当ですわ♪」
「小さいですね」
「あっちにこないだ行った川があるぞ♪」
「なるほど、あの川はあっちの山と繋がっていたのですな」
「こちらは拓けていますね」
「そこはまた今度みんなで行こうリナ先輩♪」
あちらこちらを眺めて談笑する一行
「遅い昼食になりましたが食べましょうか」
「そうですわね♪」
レジャーシート(皮製)を敷いて収納空間から料理を出すローラ
出してもらった料理を配膳をしていくリナ
みんなで楽しくちょっぴり遅めのランチタイム
ランチタイムも終わってお片付け
ゆっくり景色を眺めたりしながらお腹を休ませます
「それでは館へ帰りましょう」
「・・・下山しないといけないのですよね」
来たコースを戻らないといけないと思い憂鬱になるリナ
「いや、帰りは我が飛んで運ぶぞ」
「え、でも登山では飛ばないのでは」
「登るときだけ飛ばないのだ、帰りは飛ぶぞ」
「なんか中途半端な登山のこだわりですね」
「違うぞ、登山とは山を登ることで下りることじゃないだろ
そこに山があるから登るってのは言葉どおり登り限定だぞ
山があるから下りるんだ、なんて言わないだろ?」
「屁理屈っ! でも間違ってないからなんか悔しい」
複雑な気分のリナでした
そしてドラゴンに戻ったジャンヌに乗って館へ帰還しましたとさ




