メルの願い
ジャンヌがいなくなってからずっと考えていました
しかし11歳の子供でただの村娘だから無理だと諦めていました
だけど狼魔獣を無傷で倒せたことによって希望が見えました
それでも両親やまわりの大人たちに心配されて止められるはず
そう思って胸の内に秘めていました
皇帝が願いを聞いてくれると言っています
皇帝の力を借りられれば可能だと思い答えます
「わたし冒険者になりたいです」
メルは冒険者になりたいそうです
この場の大人たちは首をかしげます
「メル? すまん、よく聞き取れなかったみたいだ」
「わたしも耳がちょっとおかしくなったのかしら」
両親は苦笑します
「そんな歳じゃないでしょ、冒険者になりたいって言ったのよ」
両親は頭を抱えます
「メル、冒険者は13歳以上でないとなれんぞ」
「知ってるよ村長さん、でもノートン様がなんとかしてくれると思うの」
「たしかに私の力で特例として登録は可能だ
しかし力のない子供を推薦することはできない」
うんうんと頷くグランツとジョナス
「力があれば認めてくれますか?」
「ん? まああればな」
「わたし狼さんを無傷で倒しましたよ」
「グランツから聞いているが私は信じていないぞ」
「じゃ今から森に行きませんか」
「行ってどうするのだ?」
「魔物か魔獣を目の前で倒します」
この場の大人たちはポカンとします
「メル、危険なことはやめろ!」
「そうよ、やめてちょうだい!」
「やめるんだメル!」
両親と村長は止めます
「いえ、行きましょう」
「グランツ殿!?」
グランツはメルに賛同します
ジョナスは何を言っているんだと慌てます
「メルくんが本当に狼魔獣を倒したかどうか私も半信半疑です
しかし嘘をつくような子とは思えません」
「たしかに嘘をつきそうにはないですが」
「後日検証するつもりだったのです、なら今でも構わないでしょう」
グランツはメルが倒したことは事実だと確信めいていました
狼魔獣の頭部は変形していましたが攻撃の跡が小さな拳ほどだった
メルの左拳とほぼ同じサイズなのをグランツは確認しています
「ジョナス様がいれば治癒ができますでしょう
なにより危険を感じれば私がメルくんを守ります」
「グランツ殿・・・」
「騎士様ありがとう」
「メルよ、なぜ急いで冒険者になりたいのだ
13歳まで鍛錬してからなってもよいのではないか?」
「冒険者になってジャンヌお姉さんを探しに行きたいのです」
ノートンはその言葉で気持ちを固める
「わかった、森へ行こう」
「陛下、それは」
ジョナスの言葉をノートンは制止する
「実力があれば冒険者登録を私の権限で通してやろう
だがなければ諦めてもらえばいいだけだ」
「へ、陛下、不敬を承知で申しますがメルはまだ子供です」
「だが本人は魔獣を倒せるそうだぞ」
「しかしメルが本当に倒せるかどうか、あの狼だって」
「お父さん、信じてくれてないんだ」
少し悲しそうな顔をするメル
「そういうわけじゃないが心配なんだよメル」
「我らがメルを守るから好きにさせてやれ」
陛下にこれ以上進言できずうな垂れるレントン
「お父さん、お母さん、心配させてごめんね
でも冒険者になってジャンヌお姉さんを探しに行きたいの
この力があればそれが可能だから」
「わかった、だが無理はするなよ」
「メルをお願いします」
両親はノートンたちにお願いします
そしてメルと皇帝一行は森へ向かいます
森の奥へ向かって進みます
「いました、三匹で行動していますね」
ジョナスが探索魔法で狼魔獣を発見します
「さすがに三匹相手は厳しいだろう、二匹は私とグランツが倒そう」
「そうですね、メルくんは一匹だけ倒して下さい」
「うん」
ノートンとグランツが左右に分かれて狼魔獣へ走り寄ります
敵襲に素早く反応して左右を無視してメルの方へ向かいます
弱そうな相手から攻撃をするのが狼魔獣の戦い方です
「させません」
ジョナスが防御障壁を張ります
ぶつかる前に後方へ飛び退きます
「仕方がない私たちだけで倒そう」
「御意」
ノートンとグランツが狼たちへ詰め寄ります
「このあと一匹だけのところを探しますからね、ってメルさん?」
メルはジョナスの言葉を無視して狼魔獣へ向かって走り出します
「ちょっ、障壁にぶつかりますよ!?」
「大丈夫です!」
メルは障壁にぶつかります、そして障壁が破壊されました
「「「はあっ!?」」」
驚愕する皇帝一行、ついでに狼たちも驚いて足が止まります
「えいっ!」 バンッ!
手前にいた狼を殴ります
遠くまで転がっていきました
「「「・・・・・」」」
「えいっ! えいっ!」 バンッ! バンッ!
そのまま左右の狼たちも素早く殴り飛ばします
どちらも同じく転がっていきました
「障壁は壊せるかどうかわかんなかったけどやれたからよかった♪
三匹とも倒せたから合格ですよね?」
(私の障壁を破壊した? ありえない)
(ここまでのものとはさすがに思っていなかった)
ジョナスとグランツは呆然とする
ノートンは転がった三匹を確認する
「ふむ、たしかに三匹とも息絶えている」
「ノートン様、これで認めてくれますよね?」
期待の眼差しでノートンを見るメル
「わかった、認めようメル」




