犯人を追う、悪魔と出会う
リナはニコルとイルザとのお出かけ中にさらわれます
そして間違ったやり方の悪魔召喚のせいで館へ飛ばされました
物語はリナがさらわれた時間までさかのぼります
「くそ、遅かったか!」
「ハンナさん、転移魔法の魔力残滓を確認して下さい」
「はい!」
二人の男性騎士と一人の魔導士の女性
人さらいが転移したのとほぼ同時に三人がやってきます
「あなた方は?」
ニコルたちの護衛が騎士たちに聞きます
「王国騎士団の者です、あちらの女性は宮廷魔導士の方です」
騎士団の男性はベスパとロナウド、二人とも分隊長
宮廷魔導士の女性はハンナ、国立魔導研究所副所長
「なぜそのような方々がここへ?」
「この国で子供がほぼ毎日のようにさらわれているのです
その犯人をようやく特定できて追っていました
そしてこの場にいることを探知してやってきたのです
ですが間に合わなかったようで申し訳ない」
ベスパは頭を下げる
「すみませんが状況とさらわれた子のことを教えていただけますか」
ロナウドが護衛たちに話を聞く
「怪我をしているね」
ベスパは初級の治癒が使えるのでニコルのケガを癒やす
「・・・・・うぅ」
ニコルが目を覚ます
「・・・リナ! リナは!?」
「ニコル様、落ち着いて下さい」
「落ち着いてられるか!」
勢いよく立ち上がるニコル、でもすぐにふらついて膝をつく
「初級治癒で傷は塞がっているが完全じゃない」
「誰ですかあなたは?」
ようやく見知らぬ三人がいることに気づきます
ベスパはニコルに説明しました
「犯人を特定できてたのならなんですぐに来なかったんだよ!」
「すまない、探知に時間がかかってしまったんだ」
「あんたらが来てくれていたらリナは! くそっ!」
「ニコル様、騎士様たちのせいではありません」
「いや彼の言うとおりだ、本当にすまない」
ベスパとロナウドはニコルに頭を下げる
ニコルは唇を噛みしめる、少し切れて血がにじむ
両の拳を握りしめて爪で傷を負い血が流れる
本当はわかっています、騎士たちのせいではないことぐらい
守れなかった悔しさ、弱い自分への苛立ち
行き場のない気持ちの八つ当たり
(僕はリナを守れなかった)
「・・・騎士様、八つ当たりをして申し訳ありませんでした」
涙をこらえながら深く頭を下げて謝罪するニコル
「特定できました」
ハンナが魔力残滓から転移した場所を特定しました
場所はここから二つ先の街外れの廃村
「では我々はすぐに犯人のもとへ向かいます」
「あなた方は気をつけてお帰り下さい」
「あの、リナを、リナを助けて下さい」
恐くて震えていたイルザがすがるようにベスパに頼みます
「今度こそ間に合わせます、もう誰も奴の犠牲にさせません」
「お願い、します、、、」
ボロボロ泣きながらイルザは懇願します
場所はここから街二つの距離があるので間に合わないかも知れません
それでもベスパは約束します
「騎士様、僕も連れて行って下さい!」
「ニコル様、それは駄目です」
「お兄様・・・」
ニコルは真剣に騎士たちに頼みます
「危険だから駄目ですよ」
「私たちに任せて下さい」
「お願いです、リナを助けに行きたいんです」
困り果てるベスパとロナウド
「いいわ、連れて行きましょう」
「ハンナさん、駄目でしょ」
「ここで彼を説得している時間が惜しいわ」
「・・・はあ、わかりました」
ハンナの言うとおり早く行かなければ間に合わなくなります
仕方がないのでニコルの同行を許可しました
「ありがとうございます!」
護衛たちはイルザを連れて領主邸へ帰ります
ニコルは騎士たちとリナ救出へ向かいます
ハンナの転移魔法で一気に二つ先の街へ飛ぶ
そこから街外れの廃村へは馬を使います
ニコルはロナウドの後ろに乗る
ベスパとハンナは別々で計三頭の馬で急ぎます
(リナ、間に合ってくれ)
今度こそ命に代えても助けると決意するニコル
廃村に着いて探知魔法で犯人の居場所を探るハンナ
「何かしらコレ?」
「どうしましたハンナさん」
「あの家屋からすごい魔力を感じます」
少し離れた家を指差します
その家へ行きます
「ん? 誰かいるぞ」
「犯人か?」
「何してるのこの人・・・」
向かった家屋の裏手に魔法で地面に穴を開けている男がいました
長身で黒い法衣のような衣服の男
「ハンナさん、魔力はあの男からのものですか?」
「家屋の中とあの男からの両方から感じます」
とりあえず男の方から確認することにします
「おいあんた、ここで何をやっているんだ」
「なんだ貴様らは、今忙しいから邪魔をするな」
ベスパたちは男の容姿を見て驚く
長い漆黒の髪と闇の瞳、ここまでは問題ない
しかし頭の両側に灰色の角が生えていた
「貴様、何者だ!」
「まさか悪魔か?」
ベスパとロナウドは剣を構える
「ニコル君、君は後ろに隠れて」
ハンナはニコルを隠すように前に出る
「本当に人間というのは悪魔を悪者にしないと気が済まんのか
いかにも私は悪魔だが貴様らと敵対する気はないから安心しろ
それよりも本当に忙しいから邪魔をするな」
ベスパたちを放置して穴掘りを再開する悪魔
悪魔に放置されて呆然とするベスパたち
「この悪魔が犯人なのですか?」
「いや犯人はビリー・マーカスという人間だ」
ニコルは困惑しながらロナウドに聞きました
犯人を見ているからニコルも違うのはわかっています
それでも動揺しているため聞いてしまいました
この悪魔はここでなぜ穴を掘っているのか?
犯人のビリーはどこにいるのか?
悪魔の登場で全員混乱中




