畑を作ろう 後編
「肥料がなくとも作物は育ちますから特に問題はありませんな」
「そうなのですか? 絶対必要なのだとばかり思っていました」
「でもあった方が育ちが良いとかメルは言ってたぞ」
「そうなのですね、というかメルさんとはどなたなのですか?」
「我の友達だ」
「しかしここには家畜もいませんしどうしましょう」
「ならば魔物の遺骸を肥料にしてはいかがでしょう」
「なぜ魔物の遺骸なのですか?」
「魔力を帯びている魔物は良い養分になるそうです」
もちろん一般的ではありません
王宮の魔術師が薬草を育てるために行う方法です
通常の作物にも適用できますが普通の農家ではやれません
普通の農家は魔物を狩れないので入手には冒険者へ依頼するしかないからです
そのためお金がかかりすぎるので普通の肥料を使います
「では魔物を狩りにいかないといけませんわね」
「どのような魔物を狩るのですか?」
「小型の魔物が良いでしょう、大型だと解体しないといけませんから」
「我が踏みつけてぐちゃぐちゃにすれば簡単だぞ」
「やめて下さいジャンヌさん」
ぐちゃぐちゃになった魔物を想像して気持ち悪くなるリナに却下される
「ここには魔物は腐るほどいますから狩り放題ですな
ですが一つだけ問題が」
「なんですか?」
「狩った魔物を運ぶ方法です」
「ああ、アイテム袋だとそんなに入りませんものね」
四区画の畑すべてに埋めるとなるとかなりの数になります
アイテム袋では数回往復して狩りに行かないといけなくなります
「でしたら私の空間収納がありますわ」
「ローラ様を連れていくのは難しいですな」
「ローラ様の足ではシュナイダーさんについていけませんし
守りながらだと狩りの進行が遅くなりそうです」
「たしかにそうですわね」
「それなら我に任せろ」
「ジャンヌさん?」
ジャンヌが案を出します
シュナイダーは後ろを気にせず狩りに集中
人化したジャンヌがローラを背負ってシュナイダーを追います
ローラは狩った魔物を回収
人化していてもジャンヌの力はそのままです
ローラの護衛と運搬が可能なのです
「ジャンヌさんにそんな知恵がまわるなんて意外です」
「本当にたまに失礼だなリナ先輩」
ローラに続いてジャンヌにも失礼だと言われるリナ
事実失礼である
「それでは参りましょう」
「いつでもいいぞ」
「回収頑張りますわ」
「いってらっしゃいませ」
シュナイダーはオリハルコンの剣と短剣を装備
ジャンヌは人化してローラをおんぶ
リナはお留守番です
シュナイダーが走り出します
「やっぱ速いなシュナイダー」
「ジャンヌさん、私たちも行きましょう」
「そうだな」
ジャンヌもローラを背負ってシュナイダーを追います
「ではわたしは夕食の準備でもしましょうか」
リナは館へ戻ります
額に小さい角を生やしたウサギ型の魔物、角ウサギを数匹発見
シュナイダーに気づいて逃げようとします
しかしシュナイダーは加速してすべて一刀のもとに倒します
「逃がしませぬ」
そのまま次の標的を求めて走り出します
「回収ですわー」
倒された角ウサギを空間収納に回収するローラ
走るジャンヌの背に乗ったままサクサク回収
「狩りまくれシュナイダー♪」
楽しそうに追いかけるジャンヌ
その後も小型の魔物を仕留めまくるシュナイダー
追いかけっこ気分のジャンヌとひたすら回収するローラ
夕刻が近くなってきたので館へ戻る三人
戻りながらも倒して回収していきます
「私の双剣からは逃げられませぬぞ」
「いいぞもっとやれシュナイダー♪」
「回収しますわー」
この日はもう遅いので翌日埋めることになりました
翌日、畑に小型の魔物を並べていきます
「ポイズンラットって毒あるぞシュナイダー」
「ポイズンラットの毒は死んだら抜けるので問題ありませんぞ」
ポイズンラット、毒をもったネズミ型の魔物
普通のネズミより少し大きい
『かたーい、つよーい、はやーい♪ しあがっていますわー♪』
身体強化をかけてもらうシュナイダー
すごい速さで魔物を畑に埋めていきます
30分ほどで四区画の畑すべてに埋め終わります
そして四人で種をまいていきます
「では私の番ですわね」
「お願いしますローラ様」
四区画の十字路の中心に立つローラ
両手を胸の前で組み歌います
『おひさまぽかぽかあたたかいー♪
おみずものんでうるおってー♪
すくすくぐんぐんそだってねー♪
おいしくなーれおいしくなーれ♪
はーやくあなたをたべたいなー♪』
ローラの身体が金色に輝きます
金色の光の粒子が畑全体に降り注ぐ
「あいかわらず変だがすごいぞローラ」
「やはり詠唱とは思えませんね」
「いやはやなんとも可愛らしいですな」
「あなたたち・・・」
続いてリナが十字路の中心に立ちます
一つの畑に手をかざして<時短>をかけます
残りの三つの畑にも順に<時短>をかけていきます
「魔法ではないけれどそれっぽいことを言ったらどうかしら」
「恥ずかしいからイヤですよ」
こうして畑が完成しました
収穫を心待ちにする四人でした
毎日軽く水やりをします
ローラがたまに歌って聖魔力を注ぎます
管理はリナとシュナイダー
ジャンヌは特になにもせず作物の成長ぶりを眺めます
収穫までのんびり過ごす四人でしたとさ




