執事シュナイダー
誤解も解けて和解したシュナイダー
ローラたちはこの大陸へ来た経緯を話します
「まずは私から」
ガルド大陸にあるルーラ国の第二王女ローラ・ルーラ
王女であり聖女であるローラは聖王女と呼ばれています
ローラは勇者一行に加わり魔王討伐の旅に出ていました
魔王軍幹部との戦いの最中、転移魔法で飛ばされます
「魔王ですか、伝承でしか知りませんでした
お仲間の勇者様たちはご無事だと良いですね」
「ええ、それだけが気掛かりです
私のように転移が失敗していなければ良いのですが」
実際は魔法使いココの奸計によるものです
ローラは転移魔法の失敗だと思って疑いません
「次はわたしですね」
リージュ大陸にあるコルネオ国の平民リナ
コルネオ国の貴族スターリン男爵家でメイドをしていました
ある日、男爵様の子供たちとお出掛けの際にさらわれます
さらわれたリナは悪魔召喚の生贄にされました
その召喚が失敗してこの大陸へ飛ばされたとリナは言います
実際は違いますがリナには知る由もありません
「悪魔ですか、これも伝承でしか知りませんな
たしか魔族とは別物だそうですね」
「そのようですけど違いがわかりません」
この世界における魔族と魔王について
基本的に人間と変わりません、というか人間です
魔力量が桁違いに多い人間の一族が魔族
魔王はその魔族国家の王という存在
魔王が復活したと人間たちには認識されていますが違います
空席だった王位に即位した魔族が現れたというだけなのです
人間たちは伝承程度でしか魔族のことを知りません
魔族への認識不足のために齟齬が生じているのです
そして悪魔は魔族ではありません、まったく違う種族なのです
エルフやドワーフのように亜人の一種です
これもまた伝承程度でしか人間たちは知りません
目撃情報が皆無に近いため魔族以上に謎に包まれた種族
竜族も同じぐらい生態が謎に包まれています
「最後は我だ」
使役されそうになったので蹴散らして逃げてきた
ジャンヌはレイアル帝国でのことをそのように話しました
「ドラゴンを使役しようとは無謀なことを
たしかに策を労すればできないこともないでしょう
ドラゴンを殺したり奴隷にしたという伝承もありますからな
それでも無謀すぎる」
「我に単身挑んだシュナイダーも無謀だぞ」
「それを言われては何も言えませんな」
苦笑するシュナイダー
「それから適当に飛んでたらここに着いたのだ」
「なるほど」
それぞれに事情があることを四人とも理解しました
「シュナイダーさんはこれから如何なされますか?」
「そうですね、ここからの脱出方法でも考えてみます」
「ああ、それムリだぞ」
「それはなぜですか?」
大陸を囲んでいる大暴風雨のことを話します
「よく私は無事にここへ流れ着けましたな」
「きっと奥様とお子様のおかげでしょうね」
「ローラ様!? なぜ妻と娘のことを知っているのですか?」
シュナイダーは驚きます
ローラたちには家族のことを話していません
「貴方のまわりに常に二人の魂が漂っていらっしゃいますので
信じなくてもよいですが事実です」
「二人が、パティとティアの魂が・・・」
黙り込むシュナイダー
そして頬を涙が伝う
「歳を取ると涙もろくて困りますな、ふふ、情けないですな」
「情けなくありませんわ、ですが笑ってあげて下さい
お二人はそれを望んでいるようですから」
柔らかく優しい笑顔をシュナイダーに向けるローラ
涙を拭い微笑むシュナイダー
「はい、ありがとうございますローラ様」
シュナイダーが落ち着くまで話は止まる
そしてシュナイダーはローラに跪いて家臣の礼をする
「私も館でローラ様に仕えさせていただけないでしょうか
きっとお役に立って見せましょう」
「そうですわね、ではシュナイダーさん
いえシュナイダー、貴方を執事に任命致しますわ」
「ははっ、誠心誠意全身全霊を以て執事を全う致します」
こうして執事シュナイダーがローラの従者となりました
お互いのことを話し終えて洞穴から出ます
「それでは館へ帰りましょう」
「変化解除♪」
「ジャンヌさん!」
脱がずにドラゴンに戻るジャンヌ
服は破け飛びましたとさ
「解除の前に脱いで下さいとあれほど言ったのに!」
「怒るなよう、ごめんよう」
叱る人間リナと叱られる赤き竜ジャンヌ
「ドラゴンに説教するとはリナ殿はすごいですな」
「ええ、リナはすごい子ですわ」
説教も終わりいよいよ出発です
ジャンヌがローラとリナを足で掴みます
「お待ち下さいジャンヌ殿」
「なんだシュナイダー?」
「背に乗せた方が良いのでは?」
「・・・・・」
そっと二人を下ろすジャンヌ
「そういやそうだな♪」
「人間を背に乗せるのは嫌なのだと思っていましたわ」
「わたしもそう思っていました」
たんに何も考えず掴んで運んでいただけのジャンヌでした
(なんだかドラゴンというものが恐くなくなってきましたな)




