リナ先輩
館のある敷地を赤き竜ジャンヌの縄張りとして周知させました
これで結界がなくとも大丈夫でしょう
ジャンヌは人化してシーツを拾いまといます
「これでいいかリナ」
「はい、今後も破かないようお願いします」
三人は館の中へ入ります
ジャンヌに館を案内していきます
地下の話もして三階も案内します
「変な館だな」
「そうですよね」
二階に戻って部屋割りです
ジャンヌは北側西面の部屋を使うことにしました
「それではそろそろ夕食の準備に入りますね」
「では私はジャンヌさんとくつろいでいますわね」
「そういやリナはメイドなんだよな、服もメイド服だし」
「そうですよ」
「メイドってその家の従者なんだよな」
「そうですね」
「なら我もメイドになるぞ♪」
「なんで!?」
いきなりのメイド宣言に驚くリナ
「我はローラに助けられた、命の恩人だ
リナもローラに命を助けられたんだろ
それでローラのメイドになったんだろ
だったら我もローラのメイドだ♪」
餓死寸前のところを助けられたことは話しています
共に命の恩人としてローラを支えたいということなのです
「なんというか強引な理屈ですね」
「ダメなのか?」
「ローラ様、どうしましょう」
「良いのではないですか?」
主のローラが構わないようなので認めるリナ
「わかりました、共にローラ様を支えましょうジャンヌさん」
「二人ともありがとうなのだ♪」
「では夕食の準備の前に用意しますね」
「何をだ?」
「何かしら」
リナは自室へ行きます
そしてローラから預かった布を何種類か用意します
「それでは始めましょうか」
家事職人の裁縫スキルの一つ<仕立て>
言葉どおり衣類や布製品を作り上げるスキル
目にも止まらぬ速さでレッツメイキング
ただの布たちが一つの服へと仕上がっていく
そしてジャンヌ用のメイド服が完成する
「お待たせしました、これを着て下さいジャンヌさん」
「おお、メイド服なのだ!」
「作ったのですね」
まとっていたシーツを投げ捨てるジャンヌ
「部屋で着替えて下さいっ!」
「ごめんリナ、怒るなよ」
ジャンヌはシーツを拾って部屋へ逃げ込む
そしてメイド服に着替えて戻ってくる
「なかなか着心地が良いのだ♪」
「採寸してジャンヌさんに合わせてありますからね」
家事職人の裁縫スキルの一つ<採寸>
これまた言葉どおり対象のサイズを鑑定するスキル
ただし<仕立て>や<手直し>を使用するときにしか使えない
「ありがとうなのだリナ、いやリナ先輩♪」
「先輩?」
「人間の仕事とかでは先輩後輩の序列があるのだろう?
我はリナの次にメイドになったから後輩だ
だからリナは先輩、リナ先輩だ♪」
「なんだかこそばゆいですね」
満面の笑顔のジャンヌと少し照れるリナ
男爵家では後輩メイドがいませんでした
なので先輩と呼ばれるのは少し憧れていたのです
「では夕食の準備をしている間、ローラ様を頼みましたよ」
「任せろリナ先輩♪」
リナは少しウキウキしながら夕食の準備をします
ジャンヌはローラからメイドについて教えてもらっていました
王宮でメイドたちの仕事ぶりも見ていたのですぐに覚えます
ジャンヌはバカそうに見えてじつは結構賢かったりもします
「誰がバカだ? 燃やすぞ」
「ジャンヌさん? どうかしたのですか?」
「いや、なんかバカにされた気がしたから」
しばらくして夕食を三人でいただきます
お腹を少し休めてからお風呂に入ります
「王宮の風呂より小さいな」
「王宮と比べてはいけませんわよ」
「平民のわたしからしたらこれでも大きいのですけどね」
お風呂から上がってローラの髪を丁寧に拭いていきます
「それ時間かかりそうだな、我が乾かそうか?」
「どうやってですか?」
ジャンヌはローラの髪に軽く吐息を吹きかけます
「あら、心地良い熱風ですわね」
「我は炎を司るレッドドラゴンだからな
調節すれば髪を乾かす程度の小さな熱風も起こせる」
「これは助かります、ジャンヌさんありがとうございます
家事職人のスキルには乾かすスキルはありませんから」
これでドライヤー問題が解決したようです
ローラを寝かしつけてリナとジャンヌは廊下へ出ます
「ジャンヌさん、改めてこれからよろしくお願いします」
「任せろリナ先輩♪」
そしてそれぞれの部屋へ入ります
「もしかしたら他にも誰かがいるかも知れませんね
ジャンヌさんのようにこの大陸へ辿り着いている人がきっと」
無人の大陸ではないことがジャンヌの存在で判明しました
この大陸へ辿り着く者が他にもいるかも知れません
ですがそれが善き人か悪しき人かはわかりません
リナは少しだけ期待と不安を抱きながら眠りにつきました
「久しぶりに友達ができたぞ♪ メル以来だな・・・
メル、元気でいるかな、我は元気だぞ・・・」
新たな友達が二人もできて嬉しいジャンヌ
その反面、メルとの別れを想って寂しい気持ちになる
ジャンヌは少ししんみりしながら眠りにつきました
こうして三人での魔境生活が始まりましたとさ




