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聖王女のまったり魔境ライフ  作者: 長城万里
Mattari 1

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13/103

彷徨いし英雄

二人の頭と身体を繫げるように並べる

二人の髪の毛を少しだけ切りそれぞれリボンで束ねる

二人への土産にと買った緑と桃色の二つのリボン

アイテム袋へ大事そうにしまう

シーツをそっと被せて部屋から出る


泣いて叫んで後悔して、二人の死を受け入れる

それは二人を忘れることではない、ずっと心に宿すためである


「まずは状況を確認していく」


まだ敵がどこかに潜んでいるかも知れない

慎重に現場を確認していくシュナイダー


(最初は魔族の残党かと思ったがこれは違うな)


この国の兵士ではない兵士の遺体があった

冷静になって見ていくと他国の襲撃だと一目瞭然であった


魔族の襲撃にすべての国が一丸となって立ち向かった

その復興に各国は懸命に動いている


そんな状況で他国へ戦争を仕掛ける国があるということ


(人同士が今争っている場合ではないだろうが!)


怒りが再び湧いてくる、だがなんとか落ち着ける


敵兵の鎧や持ち物を調べる

西側にある隣国の紋章があった


(一番近いから真っ先に助けに行った国だ)


シュナイダーは理解した

真っ先に救われたから他より被害が少ないので復興も早い

この状況下なら他国を攻め落としやすいと踏んだのだろう

しかしこのセイル国には英雄シュナイダーがいる

英雄が留守になるチャンスを待っていたのだ

セイル国も復興で忙しい、兵士たちも疲弊している

英雄が留守になり、ここぞとばかり攻めてきたのだ


「駄目だ、やはりこの怒りは抑えられない」


英雄の称号を得たときにもらった勲章を千切り捨てる


『お前たちの国も滅ぼしてやる』


シュナイダーは復讐を誓う

国と民の、なにより妻と娘の仇は討つと誓った




セイル国の西側にある隣国タバロ

セイル国を攻め落としたあと一時撤退をしていました

英雄を討つための準備をするためです


予定より早く帰って来ていることを知りません

そのため準備は完全ではありません

そもそも英雄に勝てると思っている時点で考えが甘い


シュナイダーがタバロ国に到着します

英雄の顔を知っている者は上の人間ぐらいです

門兵が知るわけがありません


「身分証の提示を」

「その前に聞きたい、セイル国との戦争にあなたは参加しましたか?」


「セイル国? なんだもうあちこちに広まっているのか?

 俺はいつもどおり門兵してたよ」


「そうか、参加はしていないが知っているんだな

 セイル国を落とせて嬉しいかい?」


「もちろんだ、あの国土が手に入ればタバロはもっと発展するからな」

「そうか、なら死ね」

「え?」


門兵の首が落ちる


騒ぎになって詰所の兵士たちがなんだと出てきます

取り押さえようとしますが次々と仕留められていきます


城へ向かってただ愚直に走るシュナイダー

立ち塞がる者は躊躇なく斬る、迷いなく殺す

立ち塞がらなくとも目に映るこの国の民を屠る

だが女と子供と年寄りだけは見逃していた


(妻と娘が怒るだろうから見逃してやる)


本当ならこの国すべての人間を殺したいと思っていました

それでも妻と娘なら殺すなと言うはずなので堪えています


城内に突入します、誰も止められません

100万の魔族を1時間で倒せる男を止められるわけがありません


兵士だけでなく城や建物も行く手の邪魔なら破壊して進みます


城内なので王族と貴族もいます、もちろん殺します

貴族は命乞いをしますが聞く耳持たず殺します

戦争の指揮、立案などは貴族がしています

すなわち戦争を仕掛けた連中なのですから

そしてタバロ国王に辿り着きます


「だ、誰かいないのか!」

「来る途中ですべて沈黙させた、お前で終わりだ」


「待て英雄、そうだ、あの国をお前に任せよう

 お前があの国の王だ、そしてワシらと同盟を結ぼうではないか」


いけしゃあしゃあとほざくタバロ国王


「黙れ、私の大切なものを奪っておいて戯言を言うな」

「大切なもの?」


「私の家族、妻と娘だ」


「ワシが殺したわけではないぞ

 わかった、殺した兵士を差し出そう」


ザシュッ


「ぎゃあっ!?」


右腕を斬り落とす


『お前が私の国を落とす命令をしたのだろう?

 ならばお前が殺したことには違いなかろう』


明確な怒りと殺意を浴びせられ震える国王


左腕も斬り落とされる

続けて左足と右足もゆっくり斬り落としていく


『楽に死ねると思うなよ外道』


両耳を削ぎ落し、両眼を潰す、そして首をはねた


落ちた頭を掴んで窓から放り投げる


シュナイダーはゆっくり城から出る

まだ生き残っている兵士がいるが向かってこない

行く手を阻まなければ見逃してやっていた

ただし、貴族だけは見つけしだい斬り刻んだ


そしてシュナイダーはタバロ国の王都から立ち去った




すべてが終わって残るのは焦燥感だけ


故郷も守った国も消えた


魔族も人間も奪い合うばかり


何もかもが嫌になった


この大陸から出てどこか遠くへ行こうと決める




港街までやって来る

別の大陸へ行く船に乗る


(どの大陸行きか確認しなかったな、まあどうでもいいか)




辿り着いた大陸でパティアと名乗り冒険者になる

Sランクのカードは破棄しました


ランクアップは目指さず、目立たず細々と暮らしました

45歳になったとき、つい実力を出してしまい目立ってしまいます


すぐさま夜逃げしてまた別の大陸へ行きました




次の大陸では冒険者をやるのはやめました

それ以外の仕事を探しました


とある街の領主様の屋敷で使用人を募集していました

パティと婚約してから貴族としての教育を受けさせられました

なので貴族の屋敷での仕事なら把握できています


採用されて執事見習いになりました

執事長に認められ5年で正式な執事となります


それから10年後、引退した執事長に代わって執事長になります

さらに10年後、70歳になって引退します


引退後は当てのない旅行を楽しむことにしました

まったく遊ばなかったので貯金がいっぱいあります


(残りの余生は家族と訪れたかったような場所を訪ねよう)




ロマンスグレー一人旅、旅を続けて4年が経ち74歳になりました


まさかこんなことになるなんて


船旅中に大嵐、英雄と言えども自然には勝てません

船は大破して海に投げ出されます


気を失い、気がつくとどこかの大陸に流れ着いていました

目の前にあるのは大森林、というか魔境です


「これもまた人生か」

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