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聖王女のまったり魔境ライフ  作者: 長城万里
Mattari 3

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隠密ルージュの受難

逃げることも戦うこともできないルージュ

シュナイダー、アイン、ジャンヌが目を離しません


「貴様は何者で何をしにここへ来た?」


アインがゆっくり近づきます


「お待ち下さいアインツェルゲンガーさん」


ロレンスが止めます


「私は別に彼女を糾弾したくて話したのではないのですよ」

「そうなのか? だがこいつは普通ではないぞ」


(悪魔に普通じゃないと言われたくない)


「たしかに素性を隠し、嘘をついていました

 それでも私たちをここまで連れて来て下さいました

 おかげでローラ様と再会できたので感謝しているのです

 船が見つからず困っていましたからね」


「そうか、いいだろう、少しは弁明ぐらいさせてやる」


そう言いながらも怪しい動きをすれば容赦しないといった目でルージュを睨む


「ビアンカさん、ここまで連れて来て下さりありがとうございます

 それで嘘をついてまでなぜあなたはここへ来たかったのですか?」


ロレンスの人の好さのおかげでチャンスが巡って来ました

ルージュはこの好機を逃すまいと必死に考えます


「嘘をついて悪かったよロレンス、すまなかった」


手を合わせて頭を下げて謝るルージュ


「この大陸は100年も結界で阻まれていただろ

 きっとなにか財宝でも隠すためだと思ってたんだ

 だから他の奴が手をつける前にお宝をいただきたかったんだよ

 欲張っちまった、おかげでこのザマさ」


やれやれといった感じで苦笑するルージュ


「まさか魔王の私有地だなんて思いもしなかったよ

 さすがにそんなところからなにか盗ろうなんて思わないよ

 だから見逃してくれよ、頼む!」


アネラに向かって懇願する


「それも嘘ではないのですか?」


シュナイダーが問いかける


「酷いよ英雄さん、本当に小悪党が欲張っちまっただけなんだよ」


「ですが貴女、裏の人間ですよね

 身のこなし、気配、目の奥の鋭さ、物語っていますよ」


(くそ英雄がっ!)


「手を血に染めた人間の匂いもするぞ」

「なるほど、暗殺者の類でしたか」


(くそドラゴンがっ!)


「わかった、正直に話すよ、そのとおり裏の人間さ

 暗殺の仕事もたまにやっている」


アインがリナの前に、シュナイダーがローラの前に立つ


(この状況で殺すための動作なんかしないよ!)


「だけど最近は依頼も少なくてジリ貧なんだよ

 だから一攫千金を狙ってお宝探しに来ただけさ

 ほんと見逃してくれ、頼むよ」


裏の人間であること、暗殺者であることをばらしたルージュ

認めたことと言っていることは間違っていない

アインたちはどうするか相談し始める


「わかった、だが最後に確認だけさせてもらう」

「なんだい?」


(このくそ悪魔、尋問でもするつもりか? 拷問か?)


どちらにせよ大人しく従うしかないルージュ


「アネラ、頼む」

「はい、アインツェルゲンガー様」


アネラがルージュの前に立つ


(妖精族の生き残りか、何をするつもりだ?)


アネラの虹色の眼が揺らめく

その輝きから目を離せないルージュ


「なるほど、わかりました」

「妖精さん、今何をしたんだい?」


特に身体にも精神にも影響がないだけに不気味がるルージュ


「妖精族の王家のみが持つ<妖精眼(ようせいがん)>を使いました

 心の奥底にある真実を見抜く眼でございますルージュ様」


「!?」


「ルージュ? この人はビアンカさんですよアネラさん」

「妖精眼で本当の名前を知れました、ビアンカという名は偽名でございます」


(真実を見抜くだと? どこまで見抜かれたのだ・・・)


「すべてを知ることはできませんのでご安心下さいルージュ様

 信念や重要だと思われていることなど強い想いだけを見抜く力でございます」


すべてが知られなくとも一番重要なことは確実にバレるということです

ルージュは死を覚悟しました


「それで何が見えたアネラ」


アインに聞かれて少し沈黙のあと語り出します


「ルージュ様、抗わずこの場にいて下さいますか?」

「この面々に囲まれて抵抗など無駄なことはわかっているさ」

「ありがとうございます」


ルージュはもう大人しく従うしかないため逃亡も抵抗も諦めています


「この方はルージュ様、初老の女性に変装していますが本当は若い女性です

 とある方の密命で勇者様方を見張っていたようでございます」


「私たちを? 気づきませんでした、ですがなんのために」


ロレンスがルージュを見るが答えません


「ローラ様とココ様の暗殺、状況に応じて勇者様方の殲滅のようです」


ざわつく勇者一行


「ほう、ローラ様の暗殺ですか、ならば今すぐにその首を」

「ローラを狙っていたのか、なら燃やそう」


シュナイダーが双剣に手をかける

ジャンヌがブレスを吐こうとします


「お待ち下さいお二方、まだ黒幕がわかっていませんよ」


ロレンスに止められて二人は攻撃するのをやめる


「そうですな、ではアネラ様、黒幕もわかっているのでしょう?」

「はい」


(パール様申し訳ありません、私が口を割らなくてもバレてしまいました)


ルージュは主を守れなかったことを悔やみます

しかしアネラは迷っていました


「どうしたアネラ、黒幕は誰だ、すでに見抜いているのだろう?」

「アインツェルゲンガー様、そうなのでございますが・・・」


アネラは困り顔でローラを見る


「アネラ様?」

「ローラ様、黒幕の名を聞いても心をしっかり持って下さいませ」


アネラの言葉に首をかしげるローラ


「ルージュ様の主、暗殺の命を下したのは・・・」


(終わったな)


「ルーラ国第一王女パール・ルーラ様でございます」

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