晴れた日はお庭でティータイム
ある晴れた日、木々に囲まれた森の中
そよそよと心地良い緩やかな風が舞う
森の中の少し拓けた場所、教会に似た洋館が建っている
その庭先に白い丸テーブルと白い椅子が三脚
その一脚に小さな女の子が座っています
フリル多めの白いドレスを身にまとった少女
少女の名前はローラ・ルーラ、金髪碧眼の13歳
「今日は良い天気ですね」
優しい陽射しを浴びながらお茶の時間を楽しむローラ
少し離れたところに老齢の執事が立っている
銀髪茶眼の74歳、背筋もまっすぐなロマンスグレー
執事の名はシュナイダー
ローラの傍らには二人のメイドが立っている
お茶を淹れたりお菓子を用意したりローラのお世話をする
小さいメイドはリナ、黒髪黒目の15歳
大きいメイドはジャンヌ、赤毛赤眼の見た目17歳
「ローラ様、お茶のおかわりでございます」
「ありがとうリナ」
「ジャンヌさん、こちらの食器を厨房へ戻しておいて下さい」
「任せろリナ先輩」
ジャンヌは食器を片付けに行く
リナの方が先輩メイドなのである
この館の主はローラ
従者はシュナイダー、リナ、ジャンヌの三人
四人だけがここに住んでいる
森の動物たちの鳴き声、鳥たちのさえずりがBGM
なんてことはありません
森の中には魔物や魔獣が闊歩しています
空にはドラゴンやワイバーン、たまにハーピー
空を飛べる魔物などが飛び交います
「あら、久しぶりにワイバーンが飛んでいますね」
「ローラ様、お好きですよねワイバーンのお肉」
「今夜はワイバーンのお肉が食べたいわ」
「シュナイダーさん、お願いできますか?」
「承知致しましたローラ様、リナ殿」
執事シュナイダーは館に戻り二本の剣を取ってくる
そして森の中へ消えていく
ワイバーンは空の上
シュナイダーは森の木を蹴りながら跳び移る
高い木の頂へ辿り着く
そこから剣を投擲してワイバーンの腹に突き刺す
剣には鎖が繋がっておりそれをつたってワイバーンに到達する
もう一本の剣を抜き一閃、ワイバーンの首をはねる
落下するワイバーン、シュナイダーは木に跳び移り地へ下りる
「ディナーの食材を運んでまいりましたリナ殿」
「ありがとうございます、解体もお願いできますか?」
「承知致しましたリナ殿」
ワイバーンを瞬時に解体して厨房へ運ぶシュナイダー
「そろそろお部屋へ戻りましょうかローラ様」
「そうね」
ローラは館の中へ入っていく
リナはテーブルのお茶とお菓子を片付ける
ローラが部屋へ戻るまで約五分
その一分後にはローラの部屋へリナはやって来る
片付けた食器はキレイに洗われ棚に置かれていた
少し遅れてジャンヌも部屋へやって来る
「ジャンヌさん、ここはお任せします」
「任せろリナ先輩」
ジャンヌに任せて厨房へ行くリナ
「部位別に仕分けておきましたリナ殿」
「ありがとうございますシュナイダーさん」
「では私もローラ様のところへ参ります」
「お願いします」
ワイバーンの肉料理の準備を始めるリナ
「さて、今日はどんな料理にしましょうか」
目にも止まらぬ速さでレッツクッキング
次々と料理が出来上がっていく
「お待たせしましたローラ様」
食堂でディナーの料理を待っていたローラ
「楽しみだわ♪」
前菜にワイバーンの翼膜チーズ巻
たっぷりのチーズを薄くスライスした翼膜で巻いた料理
「翼膜を噛んだときのプチッとした軽い食感が良いですね
そして濃厚なチーズの味が膜と溶け合って美味しいです」
続いてワイバーンのもも肉と青野菜のコンソメスープ
軽く炙ったつみれ状にしたもも肉が3つ入っている
芥子菜と小松菜を少量入れたコンソメスープ
「芥子菜は少し苦手ですがあっさりしたもも肉と相性が良いですね
小松菜の食感もほど良く上品な美味しさですわ」
メインのワイバーンの胸肉のステーキ
「ナイフが軽く入りますわね、とても柔らかいですわ」
「ビネガーでしっかり処理を致しました」
「ワイバーン料理はこのステーキが一番好きです」
ホクホク顔でステーキを食べるローラ
「それではデザートをお持ち致しました」
ワイバーンの角膜オレンジゼリー
角膜のコラーゲンとオレンジ果汁を混ぜたゼリー
「このプルプル感がたまりませんわ♪
さわやかなコラーゲンがオレンジの酸味をまろやかに
それでいてほのかな甘みがとても美味しいです」
満足顔のローラ
その顔を見た執事とメイドたちもほっこり
食後、少し休憩してから入浴
リナがローラの身体を洗う
ジャンヌがローラの髪を軽めの吐息で乾かす
ローラ就寝
「今夜はジャンヌさんの当番ですね」
「そうだぞリナ先輩」
「では私は眠らせていただきます」
「おやすみなさいませシュナイダーさん」
「また明日だシュナイダー」
「ではジャンヌさんよろしくお願いします」
「任せろ、ゆっくり眠っててくれリナ先輩」
ジャンヌは外に出る
「さて、今夜の寝ずの番は我だ
破いたら怒られるからさっさと脱ごう」
服も下着も脱いで全裸になるジャンヌ
「変化解除」
人の姿から巨大なドラゴンの姿になるジャンヌ
いや、これが本来の姿なのだ
レッドドラゴン、これがジャンヌの正体である
普段は人の姿で後輩メイドとして働いている
もちろんローラもリナもシュナイダーも知っている
齢1300歳を越えている赤き竜
人の姿のときは17歳ぐらいの見た目
「我が守っておるのだ、魔物どもも襲えはしまい」
ドラゴンが鎮座しているところを襲撃するバカな魔物はいない
こうして夜は更けていく
翌日、本日も快晴なり
場所は魔物や魔獣が闊歩する所在地不明の魔境
そんなのお構いなしに緩やかな日々を過ごす四人
そして今日もお庭でティータイム
新連載です、緩やかにやっていきます
主人公はローラです、全然活躍していないけど主人公です
従者の三人は準主人公となります、こっちが目立っていますね
メインキャラの紹介的なお話でした、次から四人の過去話になります
この館に住むようになった経緯とかです
基本的にほのぼのですが、根底はダークかも知れません
それではお楽しみいただけると幸いです♪