表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さて、このたびの離縁につきましては。  作者: 朱宮あめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/26

21

「目眩しのつもりか? こんなもの、千里眼を持つわたしにはなんの意味もないぞ!」

 地鳴りのような咆哮が、凄まじい勢いでふたりの元へ向かってくる。

 桃李が刀を構えた。

 視界は不明瞭だが、妖狐が地を蹴る音がものすごい勢いで近づいてくる。

 まずい、と思ったときにはもうすぐ目の前で妖狐が大きな口を開け、睡蓮たちに襲いかかっていた。

 その刹那。

 ピン、と強い光が一瞬、睡蓮たちの周囲を包んだ。

「ギャンッ!」

 悲鳴が聞こえた。おそるおそる目を開けると、睡蓮の目の前に小さな小狐がいた。綺麗な毛並みの、ほんの猫ほどの小狐だ。

「えっ?」

 思わず可愛い、と呟く睡蓮。

 ぺたっと地面に張り付いていた小狐は、むくっと起き上がると、

「貴様、よくも! わたしの力を返せ!!」

 と、叫んだ。声が異様に高く、やかましいだけでさっきまでの迫力はまるでない。

「なにがわたしの力、だ。ひとを喰らわなければ妖狐の姿すら維持できないくせに」

「黙れこのやろー!!」

 小狐は小さく唸りながら再び楪に飛びかかってくる。楪はそれをハエでも叩き落とすようにぺっと弾くと、冷ややかに言った。

「さて。覚悟はできているよな?」

 楪の瞳が淡く発光し――耳をつんざくほどの大きな爆発音が響いた。

「ギャァァア!!」

 小狐が悲鳴を上げる。

 突然の爆発音と小狐の悲鳴に、睡蓮は反射的に強く目を瞑る。

 空から降った落雷が、妖狐を直撃したのだった。

 ほどなくして音が止み、周囲に静けさが戻ると、睡蓮はようやく目を開けた。

 目の前にあるのは、焼け焦げた地面とぼろ雑巾のようになった小狐だった。小狐は力尽きたのか、地面に伏せたまま荒い息をしていた。

「くそっ……貴様のような人間ごときにわたしが屈するなんて……くそっ、くそっ!」

 喚く小狐に楪はゆっくりと歩み寄り、低い声で言う。

「もう一度言う。死にたくなければ、今すぐ睡蓮に魂を返せ」

 小狐は楪を見上げ、鼻で笑った。

「断る」

 楪はやれやれとため息をついた。

「……そうか。なら力ずくで返してもらう」

 楪の瞳が青白く光る。

 大地が唸り、なにもなかった地面に旋風が巻き起こる。旋風の中心から水が吹き出し、その水は束となって容赦なく小狐を覆っていった。

「なっ……なんだこれは!」

 怯んだ小狐に、楪はゆっくりと近付き、煙管の煙を吹きかけた。

 その刹那。

 パキッと音がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ