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・4話

 ホープが日本的な年齢で10歳の頃に”言葉”からもらった加護が使えるようになったようだ。ハッキリ「加護が使える」と言えないのは、それが魔法なのかどうか解らなかったからである。

 

 

 2年前に父親のサムを流行り病で亡くしてから、母のグレースと小さな農園をホープなりに支えてきた。今日も放牧していた家畜を厩舎へ戻し、餌と水を与えて一段落ついたところだった。

 

 ふと、自分と同じぐらいの女の子が苦しんでいる”声”が聞こえた気がした。その浅く早い呼吸は亡くなったホープの父親のことを思い出してしまうほどで慌てて辺りを見渡すのだが、厩舎の周りには誰もいない。

 

 耳に手をあてたり塞いでも女の子の苦しむ声は聞こえてくる。ホープは突然それが双子の妹、のぞみだと気づいた。なぜ?をうまく説明は出来ないが、強引に推理するならボレンティール村にはホープと歳の近い女の子は住んでいないから、となるだろうか。

 

 

 「めぐみ?めぐみか?」

 ホープは思いきって声をかけてみた。が、女の子の苦しむ声は変わらず反応もない。

 

 「のぞみ、のぞみ、熱になんかまけるな!』

 

 「”言葉”と約束したんだ!、のぞみとかーちゃんを助けてくれるなら、オレはどこにだって行くって!」

 

 「だからのぞみ、お前は熱になんかにまけるな!絶対に治る!。にーちゃんがついてる!」

 ホープは厩舎の裏で必死に声をかけた。何度も何度も繰り返しのぞみを励ました。

 

 

 長いことそうやって励ましていると苦しげだった女の子の呼吸が少し治まったようだった。

 

 『・・・・・。』

 女の子のつぶやきがホープの耳に届く。

 聞いたことがない言葉だがはっきりと聞こえたその小さな声にホッと肩の力が抜ける。

 

 「にーちゃんもこっちで頑張って生きてるから、のぞみも頑張れ!」

 もしかしたら自分の言葉は伝わってなかったかもしれないが、それでも励まし続けるホープだった。

 

 

 ホープ的にはこれは加護/魔法だと思うのだが、今まで聞いたことがない魔法だった。

 

 村で魔法が使えるのは勉強を教えてくれるおばちゃん先生の治癒魔法と、収穫祭の時にやってくる商人が使っていた火の魔法や土の魔法ぐらいだっったので、てっきり”言葉”からもらった加護もそういう魔法のどれかだと思っていたのだった。

 

 「風の魔法なのかもしれないな…わかんないけど。」

 

 風の魔法は見たことがないので一縷の望みを掛けていたのだが、それから4年後に予備役として赴いた戦場で、あちこち追いかけ回された巨大な竜巻こそが風魔法の真髄と聞かされたため、今でもよくわからない加護?として使い続けている。





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