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第34話 初めての神託

 グレースが眠りに落ちる寸前に脳内に念話が響いた。


『こんばんは、あなたが新しい聖女ね。そっちの子猫はモフドラか。人を守護することなんてあったっけ? まあ、いいか』


 シルバはグレースの胸の中ですでに寝ていた。


(あなた様は女神様?)


『そうよ。転生の女神ラクタよ。よろしくね。最初は聖女の転生を担当した女神が神託するのが慣例よ。私はあなたの転生を担当したみたいなの。でも、私もあなたもお互い忘れてるのが超ウケるぅ。さて、神託行くわよ』


 軽い、軽すぎるわ、この女神様。


『人もし汝の右の頬を打たば、左をもむけよ』


(? そ、それが神託でしょうか?)


『そうよ、じゃあ、確かに伝えたからね。バーイ!』


(あ、あ、ちょっと待って下さい)


 行ってしまった。まずい、神託の内容をちゃんと覚えてない。突然で意味不明な内容なんだもの、覚えてなんかいられないわよ。


 まあ、いいか。適当に言っても誰にも分かりはしない。それよりも、私の転生を担当したってことは、シルバの転生も担当したのではないだろうか。


 もう一度、話す機会があれば、その時に聞いてみよう。


 グレースはその日はそのまま就寝した。


 翌朝、目を覚まして、寝室を出ると、部屋の外にマリアンヌが控えていた。


「おはようございます、聖女さま」


 何だか元気一杯だ。汚名挽回に燃えているのだろう。


「あなた、ずっと外にいたの?」


「いいえ、今朝早く参りました」


 どうやって母屋に侵入出来たのだろうか。


「誰に許可をもらって母屋に入ったの?」


「執事のセバスチャンさんです」


 ちっ、余計なことしかしないわね、あのバーコードは!


 バーコードが何かをグレースは知らないが、シルバがセバスチャンをそう呼ぶようになったので、グレースも真似をしている。


「で、何か用?」


「聖女さま、お付きは常に聖女さまに付き従い、行動をともにして、聖女さまの手足とならねばなりません」


 そんなことローズ先生のお姉さまはおっしゃってたっけ?


(ちょっとシルバ、起きてよ。この小娘の言っていることは本当なの?)


『んにゃ、ウソだにゃ』


(き、きたあ、シルバが寝ぼけたときだけ出るニャンコ語、可愛すぎるぅ)


 マリアンヌがグレースのデレた顔をマジマジと見ていた。


 いかんいかん、この娘の前では気を引き締めねば。


「マリアンヌ、私は元聖女様お付きのお姉さまから事前に情報収集しているのよ。いい加減なことを言わないで頂戴。死にたいの?」


 この聖女の「死にたいの?」は、本気で死にたいかどうかを聞いてきているので、マリアンヌは慌てて否定する。


「い、いえ、私はそういう意気込みです、という意味です、はい」


「却下よ。用があるときに呼ぶから、部屋で控えていなさい」


 反論は死だ。マリアンヌは頷くしかない。


「わ、わかりました。ところで、昨晩、神託は下りましたでしょうか?」


「なぜ?」


「聖女様交代の初日の夜に、ほぼ毎回神託が下りますので」


「あら、そうなのね。下りたわよ。行くわよ」


 マリアンヌには、グレースが一生懸命考えているように見えた。


「人も死なない右の頬を歌う、額を向け」


 微妙にズレた内容がグレースの口から飛び出て来た。マリアンヌの顔は疑問符だらけだ。


「すいません、どういう意味でしょうか?」


『くっくっく、こりゃあ、まるで伝言ゲームだな』


(シルバ起きたのね。あなた神託の意味がわかるの?)


『人もし汝の右の頬を打たば、左をもむけよ、だろ? 色々解釈があるから、言葉を受け取った人が考えればいいんだよ』


(そうね、そう言っておくわ)


「これはね、いろいろな解釈があるのよ。この言葉を受け止めた本人が解釈すればいいのよ」


『いや、グレースの言った言葉には、もはや意味はないだろうよ』


(今更言い直しできないでしょ。もうこれで押し通すわ)


『無茶苦茶な聖女様だな』


「マリアンヌ、早く教会に届けて来なさい」


 まずい、とマリアンヌは思った。うろ覚えなのだ。この聖女に聞き返そうものなら、殺されるかもしれない。仕方がない、感性で伝えてこよう。


「はい、直ちに伝えて参ります」


 翌日、教会から神託が発表された。


 人も知らない右の頬の歌、タイを剝け


 あまりにも難解な神託であったため、異例ではあるが、補足があった。


 色々な解釈があるため、正解はない。自分なりに解釈すれば良く、決して質問しないこと。

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