悪徳令嬢は悪魔とケチャップトッピングで。
投げやり感ハンパ無い
「失礼ねあなた」
今私の目の前にいるこいつは私に突然悪徳令嬢らしいじゃないかと声をかけてきた。
何処の馬の骨とも分からないこいつは、学園内の廊下でそんなことを言い始めたのだ。
「事実を言ったまでだろう? 現に今トイレから出てきたのだって、誰かをいじめていたからだろう?」
「何を根拠にそんなことをおっしゃいますの?」
「頬に赤い血が現についているじゃないか、流石に暴力はどうかと思うけど」
私は頬に手を当て拭う、そこには確かに赤いものがついていた、けれど言えない、これが血などではなく、トマトケチャップだなんてことは。
「ふん、私に逆らうのがいけないんですわ」
わー! 私は口から出まかせを、何言ってしまっているんだ!
「何があったか分からないけれど、ほどほどにしなよ? 退学ともなれば家名に泥が付くからね、じゃ」
「え? それだけ?」
男はそのまま立ち去ってしまった。
私は子供の頃から他人と接するのが苦手と言うかもはや不自由で誰とも仲良くなれなかった、そのため他人との接し方を忘れ、強く当たってしまうこともしばしば、そのため人目を避け今では上位ベンジョメシストになり果ててしまったわけだ、外で食べればいいと言うが、他人の目が気になってしょうがない、だからトイレで済ませていたのにトイレにいてもいちゃもんを付けられる羽目になっている。
どうしたものか、この学校に通っている理由があるとするのならば、先ほども言われた家名と今目の前にいる先生が心の支えになっているというぐらいだろうか?
「本当のことを言えば良かったじゃない? 私はただトイレで食事を済ませていただけだって」
「そ、そんな恥ずかしいこと言えませんわ!」
「このまま誤解されっぱなしでいいの? それこそ家名にケチャップじゃなかった泥がついちゃうかも知れないじゃない?」
「話せたら苦労してませんわ、そんなこと!」
「それにここで食べればいいじゃない私はいつでも歓迎するわよ」
「ヴィナ先生は人気があり過ぎて昼でも男子たちが寄ってたかって来るじゃありませんの」
「そんな私をラフレシアみたいに言って、別に相談を受けているだけよ」
この子は気づいていない、その相談に来る男連中が全ての内情を把握して、貴方と言うヴィーナスを気にかけていると言うことを。
私は世界で1人鷹のような存在だ、だが彼らのように空を自分の手にすることは出来ない、何故なら私には翼が無い、この地上という世界で人との接し方を忘れた私には手に入れることが出来ないだろう、だから今もこうして1人庭の四阿にいると言うのに・・・
「奇遇だね、今度はテリトリーの確保かい?」
「私を犬か何かと勘違いなさっていますの?」
「そんなに鋭い目つきで当たりを見渡していたらそう思う他あるまい?」
私は昔から目が悪く、他人の顔の表情を見るには目を細めることでようやく確認出来た、メガネをかけても何故かぼやける、そのため裸眼のままだったのだ、そして今誰もいないことを確認していたらさっきの男が近づいてきた。
わざわざ私に話しかけて来るなんてよっぽど暇なのか。
「その通り! ですので私のテリトリーに入ってこないでいただけますの? 男臭くて敵いませんわ!」
「淑女の口から男臭いなんて言葉を聞く日が来るなんて、これは面白い」
「何も面白くなどありませんわ! それでは!」
私は焦っていた急に距離を詰めて来るものだから気が動転していたのだろう、だから、「ゴンッ!」目が悪いのも重なって、四阿の支柱に激突した。
「おっと」
後頭部から倒れそうになる私をその男は抱きかかえ。
「大丈夫ですか?」
見える、今この男性の顔が確かに見える、男臭くなどない、紳士的な香りと共に凛々しく流麗な輪郭、まるで剣のような鋭くも艶やかなシルバーの髪、そして神によって作られたような顔のパーツの数々が、そこにあるのが当然と言うように整列していた。
私はそのまま見惚れてしまっていた、だが私は早く気付くべきだったのだ、私の目では見えるはずのない顔が見えることに・・・
「これだけ顔を近付けてやっとお見えになるのですか」
「え」
「目があまりよろしくないと聞いていましたがこれ程とは、ですがこうして見ることで貴方の美しいご尊顔がケチャップなし、悪魔に取り憑かれたような目つきなしで見られるとは、近づいて正解でした」
「悪かったわね悪魔で」
私の顔から悪魔は出て行ったものの、ケチャップが顔全体に広がっていた。
ケチャップはねぇだろってちょっと思いました。
表現も結構雑かな
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