11-6 ナイツエクストラクター・フェーズ2
「なにこれ?!」
光輝いたナイツエクストラクターには少しの変化が見られた。光っていた中央のランプが時計で言うところの12時の位置に移動し、中央には針が設置され、それを囲うように1から12の数字が記述された。
1から12までの数字の下に、様々な絵が書かれている。空を舞う姿、炎を纏う姿、その他諸々。
そして現在は12に針が向いている。
「回せって、こと?」
シーリアは油断なくフォーゲルの動きを見ながらも腕のブレスレット、その新しく出来た針を1へと進めた。
『パーシヴァル』『フレイムアップ』
その言葉と同時に、盾の表面に炎が発生した。
「なんだィそれはァ?オモチャかい?」
フォーゲルはそう言いながら蹴りを放つ。
バシュゥッ!!
「うぁっつぁっ!?」
フォーゲルの余裕ぶった顔が初めて崩れた。
盾にぶつけた彼女の脚に炎が舞い、纏っていた薄手の鎧の一部を燃やした。
「な……さっきまでこんなの無かったのに……!?」
先程まではフォーゲルの攻撃を受け止めるしかなかったシーリアが突然攻撃に転じたこと、そしてその攻撃が自らの鎧、ガルーダフォースの防御を超えた事に、彼女は驚きを禁じ得なかった。
「なにこれ」
だが驚きを禁じ得ないのはシーリア自身も同様であった。自分が何をしたのかよく分かっていない。が、すぐに彼女は理解した。
これは『使える』という事に。
「よ、よっしゃあ!!」
「舐めるなよォ色ボケがさァ!!」
吠えるとフォーゲルは飛び上がり速度を増す。彼女は若干の焦りを感じていた。故にまずはこの眼前の女を潰さんと、アクトやサーラを狙いから外した。
「誰が色ボケだぁ!!」
シーリアは怒りを堪えながらブレスレットの針を動かす。
フォーゲルの狙いが自分に向いた事は理解出来た。ならば一気に攻めるだけだ、シーリアは自分に言い聞かせる。
そして針を10、空を舞う絵に合わせた。
『トリスタン』『フライングアップ』
その音声と共に、シーリアの鎧の背に羽が生えた。
「なっ……」
超音速でシーリアへと向かっていたフォーゲルは思わず驚きの声を上げた。
「これで互角以上ね!!」
トリガーを引いて杭を撃ち込むシーリア。
「その程度で互角とは思わない事ねェ!!」
それを腕のガントレットで逸し、返す刀でそのガントレットから覗くカタールを振るう。衝撃波も走らんという勢いで振るわれたそれだったが、瞬間的に見切ったシーリアが新たに得た鎧の機動力を生かして回避する。
「避けたわよ」
「煩いよォ!?」
フォーゲルの口元が怒りに歪み、腕のカタールが再び振るわれる。
シュッ。
それを躱して盾のバンカーを撃ち込む。
シュッ。
それを躱してカタールを振るう。
シュシュシュシュシュシュシュシュシュッ。
凄まじい速さで二つの塊がすれ違い、反転し、再びすれ違う。
「何が起きとるのか全くわからんが、頑張れシーリア殿ー」
サーラはアクトを庇うようにしながらそのぶつかり合いから離れる。
「うう……なんかチカチカする……」
アクトはズルズルと引きずられながら、空でのぶつかり合いが薄目にチラリ写り、魘されるばかりであった。




